「配当性向」とは?株主還元に積極的かを見る尺度

「配当性向」とは?株主還元に積極的かを見る尺度

株式投資で得られる金銭的利益は2つのタイプがあります。1つは値上がり益。売った時の株価と買った時の株価の差で、「キャピタルゲイン」とも呼ばれます。

もう1つは株主配当金で、投資先企業が事業で得た利益の一部を、出資者である株主に還元するお金です。株主配当金の額は、投資家にとって投資効率の良しあしを判断する材料にもなります。

今回は、株主配当金を使った投資指標「配当性向」について、わかりやすく解説していきましょう。

株主配当金とは

株主配当金は、通常、「配当金」と呼ばれ、1株当たりの金額で示されます。半年や1年といった決算の対象期間に会社が稼いだ利益の一部を、株主にキャッシュバックするものです。

株主は、その株式を保有している間、決算が訪れる都度、保有する株式数に応じた金額で配当金を受け取ることができます。基本的には利益の一部ですから、投資した会社の業績しだいで増減するのが原則です。

けれど一昔前は、利益が多かろうが少なかろうが、毎年恒例で同じ金額を配当する会社が多く見られました。最近は、以前に比べれば、決算期ごとに利益に連動した金額で配当金額を決めるようになっています。

配当性向とは

「配当性向」は、株式会社が事業で得た利益のうち、どれだけの割合を株主に分配したかを示す指標です。決算期の純利益のうちの、株主配当金の割合です。

配当性向を見ると、株主還元をどれだけ積極的に行っているかがわかります。配当性向が高ければ、株主に多くの利益を還元しているといえます。

配当性向を経営目標の一つに掲げる傾向

近年は、株主還元を重視して投資判断を下す傾向が高まっています。資産運用会社や外国人投資家が、株主として、高い配当金を投資先に要請する事例が増えています。また、配当金が高い会社は投資家から好まれ、結果として株価上昇にもつながります。

これらを経営側が意識して、配当性向を高めることを経営目標の一つに掲げる上場会社が増えてきました。

ただし、単純な判断はNG

毎年同じ配当金を出す傾向の会社

利益の額に連動するように配当金額を決めている、「業績連動型配当」の会社は、利益が少ない年度は配当金も少なくなります。年度ごとに配当性向が大きく変わることはありません。

一方、前述した「利益の額に関わらず、同じ額の配当金を出す」タイプの会社では、配当性向が年度ごとにブレやすくなります。上記の式を見て頂くと分かるように、分母である利益が例年より少ないのに、分子である配当金額がいつもと同じ額だとしたら、計算の結果、配当性向が高く出ることになります。

利益の多寡に関わらず配当金を毎年同じ金額で出している会社の場合、配当性向は、株主還元の指標として機能しなくなってしまいます。以前なら「安定配当」として好まれていた配当政策は、配当性向を使った投資判断には適していないので注意が必要です。

配当性向が高ければ良いと言い切れない

もう1つ気をつけておきたいのは、どの会社にとっても配当性向が高ければ良い、というわけではない点です。

成長段階にある会社は、株主に利益を分配するより、来期以降の事業資金を会社に残して事業を拡大させる方が、より重要な場合もあります。株主としても、目先の配当金を受け取るより、会社の成長に伴う株価上昇の方が、より魅力的に映ることでしょう。

単に、株主にアピールするためだけに、高い配当金を出すのは本末転倒です。

利益のうち、多くを配当金に回してしまえば、翌年以降の事業資金として会社に残す額が少なくなります。人件費や研究開発費などの投資資金が不十分であれば、チャンスが来ても事業を拡大できませんし、リスクへの対応も後手になることでしょう。

株主に還元することも大事ですが、それ以上に、会社の事業の持続性は重要です。

まとめ

配当性向は、利益をどれだけ積極的に株主に還元しているかを見る指標です。投資家から配当性向が注目されるにつれ、配当性向を経営目標に掲げる上場会社が増えてきました。しかし、配当性向が高ければ良い、と単純に判断するのは早計です。

利益に見合った配当金額かどうかや、将来の事業資金を着実に留保しているかどうかなども併せて、投資判断を下すようにしましょう。