皆さん、こんにちは、お金のパーソナルトレーナー鈴木優平の不動産投資コラムです。
最近お客さんとお話しする際に、
「コロナの影響でテレワークが進み、地方の賃貸需要が上がっていて、逆に東京都心の賃料が取れなくなっているのではないか」
そのような、ご不安やご質問を多数いただいております。
そこで今回は、2021年8月27日にアットホームさんが公開した「全国主要都市賃貸マンション、アパートの家賃の動向」という資料を参考にしながら、コロナ禍からコロナ後におけるマンションの家賃の変動について、お話ししていきたいと思います。
目次
東京23区における家賃の動向
まずは東京23区の状況を見てみましょう。
2015年を100として、30㎡以下の単身用のマンションの数値を確認すると、2021年7月時点では108.6になっています。
つまり、6年の間に8.6%家賃が上がっている状況ですね。しかし、2021年7月から前年対比で見ると、2.0%ほど下がっています。
このことから、少なからずコロナ禍のテレワークによる影響が出ているという事実が見られます。
この1年の23区の家賃の変化をどう読むか
もう少し詳しく数字を見ていきましょう。30㎡以下の物件の平均家賃は、2021年7月時点では「8万8408円」ですが、先ほどの2.0%という数字を掛けると「1778円」になります。
この「1778円」が、コロナ禍における投資用マンション、ワンルームの家賃の平均的な値下がりを表しています。
これが、一時的なのか継続的なのか、また復活するのかについては、完全には予測できません。あくまでこれは事実として発表されたデータであり、先を予測するには過去の経験や知識を元に考える必要があるからです。
単純に見れば「賃料が下がっている」という見方となる一方で、コロナの影響が最も出ているであろうこの1年であっても「1778円しか下がっていない」という見方も出来ます。
アフターコロナの先を考える
それでは今後、コロナが収束したその先にはどうなるのでしょうか。
東日本大震災やリーマンショックの時の賃貸動向の経験を踏まえた見解をお話ししますと、有事の後には、完全に復活するというよりも、結果的にアフターのほうが人が増えていく傾向があります。自然の法則なのか、原理原則か、やはり便利な場所に人は集まるようですね。
就業をするエリア、便利な場所を集積している地である東京に人が集まって来ていたと考えると、今後優秀な外国人材などを取り入れる政策を国が行なうことで、東京に住む方が増えることも考えられます。外国人材は、近年では優秀な人材とともに学生も増えています。そういった単身人材が増えることによって、家賃はまた戻ってくるのではないかと思っております。
東京以外の家賃の動向
一方で東京以外の場所はどうでしょうか。2015年を100とした時のデータを見てみましょう。
東京郊外の状況
東京郊外の30㎡以下の単身用マンションは、2021年6月のデータでは97.7の数値になっています。
そのため、2015年と2021年を比べると、2.3%下落しております。直近1年ではマイナス0.4%ですね。
東京郊外でも、若干値下がりしている状況が伺えます。
郊外だから単純にテレワークによって東京の賃料が上がっていることはイコールではないことが言えます。
神奈川、千葉、埼玉の状況
神奈川に関しては、この直近一年で賃料が1.3%上がり、千葉県でも0.7%上がっています。
ただし、2015年から2021年までの6年間で見ると2.0%ほどの上昇に留まっており、千葉、神奈川、埼玉では継続的に大きく上がっているところはありませんでした。一方、東京はこの6年で8.6%上昇していましたね。
短期ではなく、あくまで中長期的に不動産の賃料を考えた時には、やはり東京は安定して伸びているのではないかと思います。
全国的な家賃の状況
一方で、どこの地域が伸びて、どこの地域は伸びていないのかという、全国的なデータもあります。
名古屋は、直近1年は上がっていません。この1年で名古屋は、東京並に人が増えているとシングルのデータでは見受けられます。データでは、名古屋は、100が110になっています。
福岡では、100が基準値とすると、この6年で111.5まで数値を伸ばしています。この内の3%が直近1年間で増えている状況です。
局地的に大きく伸びている影響はいろんな理由がありますが、数字に大きく影響しているのは、一家族が移動したテレワークというよりも企業全体が移動している地域は当然一時的に数字が上がるので、単年だけ切り取って判断するのは心配かなという気がします。
そのため、コロナ禍の家賃状況を過去と比較すると、ワンルームマンションにおいては、ものすごく大きな変動は無いことが数値から伺えます。
ただし、弊社の管理している賃貸物件の中でも、優劣は出てきていると思います。
東京都の中でも、家賃が安い地域、高い地域というのは当然あります。都心の一等地、千代田区、港区、渋谷区のエリアでは、ワンルームの家賃が10万を優に超えるような単身マンションが多くありますが、このようなマンションにおける家賃の目減りが起きてしまっています。一方で、東京においても8万くらいの家賃で住めるところには、目減りする賃料の金額はほとんどない状態で推移しています。
買いのチャンスを見極める
今回のコロナにより大きな影響を受けた企業はいくつもありますが、そういった企業を狙った賃貸需要に変化が起き、一時的に家賃の下落が見られるエリアもあります。
例えばニュースでも話題になった航空関係、羽田空港関係などはそれに当たります。空港で働いていた人が別の企業に出向しているため、羽田に務めている方が減っている状況になっています。つまり、これまでは近くに住んでいた方が、一時的に減ってしまっているわけです。
ただし、コロナが収まって航空需要が元の通り戻ってくれば、空港で働く人員は絶対的に必要になってきますので、現在の減少は一時的でありまた戻ってくるものと言えます。このように、一時的に家賃が下がりマンションの金額も下がったとしても、「物件の価値が長期的に下がったわけではなく、もしかすると買いのチャンスかもしれない」という目線を持っていただけると、投資の観点では素晴らしいと思います。
あくまでも投資は、皆さんが乗っている時に乗るより、皆さんが引いている時に客観的に見て買うほうが、儲けが出やすいものです。不動産は目先の投資ではないかもしれませんが、そういった観点を持つことによって、より良い観点で、将来還元される不動産を購入することが可能になるでしょう。
悲観的になることは大事ですが、悲観的になりすぎて何も考えないことは、チャンスを逸してしまう機会も多くなってしまうと思います。そのため、しっかりと考えて、実は良い投資機会であり、投資チャンスであるという可能性を考えてもらえると良いと思います。