金投資の魅力とは、いったい、どこにあるのでしょうか。
投資と一言でいっても、株式・不動産・債券・投資信託と「金」以外にも、様々な方法がありますよね。その中で、他の投資とひと味違うのが「金投資」の醍醐味。本連載記事では、金投資の持つ魅力=魔力に迫っていきます。
なぜ、株式や不動産だけでなく、金投資を行う必要があるのか。まず、考えなければいけないのは、お金の持つ役割。これを理解することが、金を資産運用に組み込む道への第一歩です。
目次
金投資の魅力とは?
そもそも、お金とは、人々がモノを交換する時、物々交換の不便さを補うために生まれたもの。そのお金には、大事な役割が3つあります。
お金の役割とは
- 価値の表示:モノに値段をつけることで、そのモノの価値を示す
- 対価の支払い:モノやサービスの交換を行う時の支払い(決済)を行う
- 貯める役割:お金を、将来のために、貯めておくことができる
もっとかんたんに、言い換えてみましょう。お金として、役立つためには、「皆が受け入れる価値(信用)を持つこと」「持ち運びに便利なこと」「長く価値を保ち続けること」の3つが必要ということです。
この3つの役割を満たすには、皆が共通して、そのお金というモノを数十年~数百年の長きに渡り、信頼することが必要。コレクターが集める道具のように、分かる人にしか分からないものでは、お金として広く使うには、不便です。
そして、価値の貯蔵という役割を果たすには、かなりの期間、品質・価値ともに、下がらないことが大事。米や麦などの作物は劣化し、石や貝は、どこにでもあるありふれた品。
石や貝・作物をお金代わりに使っていた人類の前に現れたのが、「金」。金は、この3つの役割を自然に満たしている奇跡の物質と言えるでしょう。
世界最古の金貨は、なんと紀元前7~6世紀ごろのトルコにあったリディア王国か紀元前11世紀頃の中国と言われています。つまり、今から数千年いや1万年近くの昔から、金は、お金だったということ。その間、金の価値が地に落ちたことは一度もありません。これ、とてつもないことだと思いませんか。
それだけ、長い間、金が価値を保ち続けていたのには、理由があります。
美しさという共通の価値観
ダニエル・S・ハマーメッシュ氏の著書「美貌の格差」によると、赤ん坊でさえ、美しいものと醜いものを見分けるといいます。つまり、人が、美しいと感じるモノには、学習や刷り込み以外の本能的な部分があってもおかしくないでしょう。すなわち、金も、見た瞬間に理解できる本能的美しさを持っていると思います。
金の持つ第一の魅力、「美しさ」は、世界共通。古くから、「金」は、人々を魅了しました。この黄金色に輝く金属は、食べることもできず、美しさを愛でることしかできないのに、交流すらない世界中の地域で、高い価値を持つモノでした。
現代においても、財宝と聞いて、まず。頭に思い浮かべるのは、金貨や宝石。これは、日本人だけのガラパゴス的考えではなく、世界で共通の価値観だと言えるでしょう。
エジプトのファラオ、日本の大和朝廷、中国の古代王朝、欧州の王家、どの国家でも、金は、権力の象徴・財宝として高い価値を持っていました。王朝だけでなく、宗教でも、神の権威・美しさを表すものです。京都の金閣寺、奥州平泉の金色堂。欧州の大聖堂などで、金をふんだんに使った建築物を近くに見ると、信者でなくても厳かな気持ちになります。
ギリシャ神話のミダス王は、触れるモノすべてを黄金に変える能力を得たばかりに、食べ物そして最愛の娘すら黄金に変わってしまい、その強欲を後悔することになりました。それくらい、黄金の輝きは、古代から人々を魅了してきたのです。
それ以外にも、金が大切なモノとされてきた証は、絵画・彫刻など、芸術において、たくさん見る事ができます。
何百年、何千年も品質が変わらない金
金は、劣化しないきわめてまれな資産です。古代よりお金として使われた貝や石。現代の紙幣。これらを、数百年、そのままの状態で保管することはできません。鉄は錆びますし、紙は、ボロボロになってしまいます。何世紀も品質が変わらないというのは、とても貴重で類を見ない性質です。
金は、錆びることなく、熱にも強い。火事・水害・虫食いなど、モノが劣化する3つの要因すべてに強いという稀有な物質。
- 化学的要因:火災などの熱や紫外線などの光、酸化に強い
- 生物的要因:カビや虫に食われることがない物質
- 物理的要因:地震による揺れ、風水害による損傷にも強い
これら3つすべてに対して、金は、耐えることができるのです。
本記事を読んでいただいたあなたも、人類にとって、金がいかに有用な物質かおわかりいただけたのではないでしょうか。
金は、限りある貴重な資産
いかに有用な物質でも、砂や塩のように、ありふれたモノであれば、お金として使うことはできません。いかに有用であっても。誰も空気や水に高いお金を払いません。その点、金は、限りある資産という点でもお金の役割を果たすのにピッタリでした。
貴重であっても、ダイヤモンドは、現代の技術を使えば、作ることができます。しかし、金は、錬金術・現代科学のどちらを使っても作ることができません。
これまでに、採掘された金の量は、約19万トン。そして地下にある金の量は約5.4万トンと言われています。あわせて、約24.4万トン。これが、地球上にある金のすべて。
鉄鉱石の1兆トン以上、銅の6億トン、亜鉛3.3億トン(可採埋蔵量)に比べて、かなりの少量しかないことが、おわかりいただけるかと思います。
通貨や株式のリスクヘッジとして信頼されてきた金
このように、金は、お金の持つ3つの役割を満たす貴重な物質です。
そして、国家が発行する通貨や会社の発行する株式が、長くても百年程度の寿命しか持ちません。戦争や天変地異などの影響で、国家や会社が、おかしくなれば、通貨や株式の価値が下がります。その時、相対的に価値を上げるのが、最も長く生き続けているゴールドなのです。
数千年、人類が、お金として信頼し続けてきたゆえに、その間に、数多くのドラマが生まれました。その歴史が、金の持つ魅力を強めています。