新型コロナの影響で、価値の下がるお金(通貨)と上がる金(ゴールド)

新型コロナの影響で、価値の下がるお金(通貨)と上がる金(ゴールド)

いま金投資が注目を集めているのは、「お金=通貨の価値」が下がっているからです。

今回は、価値の下がる通貨と、逆に上がる金(ゴールド)について解説していきます。

新型コロナの影響で、金は上がり、お金の価値は下がった

新型コロナのパンデミックで、「お金=通貨」の価値は下がる一方。米ドル、日本円をはじめ、通貨はどんどん安くなっています。金価格と比べれば一目瞭然。

●金CFDの月足チャート

金ドルのチャート
チャート作成:TradingView

上は、金/米ドルの月足チャート。右肩上がりのトレンドを描き、2019年から大幅に上昇しています。

●金先物月足チャート

金円のチャート

チャート作成:TradingView

ドルに対してだけでなく、日本円に対しても大きく上昇しています。

リーマン・ショック後から始まったQE(量的緩和)
これだけでも、ノックアウト寸前だった「お金」に特大ホームランを食らわしたのはコロナのパンデミック。

しかもこれから、世界中にばら撒かれたお金の後始末をしなければいけません。

実質、ヘリコプター・マネーで、金価格は上昇

もしかしたら、この記事をお読みのあなたも「ヘリコプター・マネーや財政ファイナンス」といった言葉を聞いたことがあるかもしれません。

これは、政府と中央銀行が一体となって、お金をばらまく方法。コロナのパンデミック前は「お金の価値が下がる=インフレが起きるリスク」があるとされ、政策の実行にぎりぎりでブレーキが掛けられていました。

しかし戦争にも匹敵するコロナ危機は、そのブレーキをふっ飛ばしてしまいました。過去と同じく「目の前にある危機に対し、将来のリスク」というブレーキは、常に無力です。

世界中で大量のお金がばらまかれた結果、国が発行するお金の価値は下がりました。それは、国をバックに持たない通貨=ゴールドが上昇していることで明らか。

もちろん、コロナ危機から脱するために必要な政策だったとも言えるでしょう。
経済が落ち込んでいるのに、株価や不動産・商品先物とお金以外のモノはどんどん上昇した結果を見ても、成果はあったといえるでしょう。

では、お金の価値が下がっているのに、問題にならないのはなぜでしょうか。

通貨全体の価値が下がっている

いま通貨安が世の中で問題になっていないのは、ほとんどの通貨の価値が下がっているから。もし米ドルや日本円だけが下がっていれば、大問題としてマスコミも騒ぎ出すでしょう。しかし、米ドルだけでなくユーロや日本円も下がっているため、わかりにくくなっています。

もうひとつの理由は、まだコロナウイルスのパンデミックが収まっていないから。コロナ危機が収まってから、ばらまいたお金をどうしていくかの騒ぎが始まるでしょう。

このふたつの理由で、今のところ通貨安は目立っていません。しかし、すでにインフレが起きています。まず最初に上がったのは、金と暗号資産でした。次に穀物をはじめとする食料インフレ。原油もどんどん上がっていますしね。

通貨安の反対にある金と暗号資産の上昇

米ドル・日本円などの通貨がこれからも安くなり続けるとしたら、あなたは通貨を持ち続けますか。誰もがその不安を持っているからこそ、ゴールド・暗号資産が大きく上昇したのです。

世界全体で「13兆8,750億ドル」の大きな経済対策

世界の新型コロナ経済対策は、総額で13兆8,750億ドル(2020年末:IMF)
日本円で約1,445兆円もの巨額の支出。世界最大の経済大国である米国の名目GDPですら、約21兆ドル。日本は約5兆ドルですから、日本のGDPの2.5倍レベルの経済対策です。

本来、何もないところからお金を生み出すことはできません。しかし、金や銀と違って紙幣やデジタル資産の量を増やすのはカンタン。政府と中央銀行が組めば、何でもできてしまいます。

しかし、それを許してしまえば無尽蔵にお金を刷ることができて、ジンバブエやアルゼンチンで起きるハイパーインフレになってしまいます。30%や100%、1,000%のインフレになれば、まともな生活を送ることなどできません。

人気取りの政治家は、お金を破滅させる

そうならないように、人類の叡智として中央銀行の独立性という機能が誕生。政治家に任せると選挙に勝つため、お金のバラマキ政策をしてしまうという反省から生まれた制度です。「政治家は、選挙に落ちれば只の人」と言われるように、選挙こそが大事。

政治家は人気商売

実際、今回のパンデミックの最中に行われたいくつかの選挙で、全市民への現金支給を公約とした候補者が立候補。岡崎市長選挙は、5万円支給の中根氏、丸亀市長選挙10万円支給の松永氏と、生活に苦しむ市民を助けることを目玉政策に当選しました。

この政策の歯止めとして、中央銀行は政治家から独立し、専門性を生かして金融政策を実行するというのが建前。しかし、未曾有の危機を前にしてブレーキはぶっ壊れています。とはいえ、日本銀行の独立性は良くも悪くも、アベノミクスで黒田総裁が誕生した時から半壊状態でした。

お金の価値と金価格の動き

クライマックスの瞬間まで、政治家や中央銀行は通貨を守ると言い続けるでしょう。しかし、経済や金融市場は非情です。インフレによる通貨安・米ドルの切り下げ・株価や不動産のさらなる上昇といった形で、通貨安は続いていくと思います。

そうなれば、最終手段が待っています。それが通貨のリセット。デジタル人民元をはじめ、中央銀行のデジタル通貨へと移行する可能性もあります。

いずれにせよ、通貨安=お金の価値が下がっているかどうかを測る指標として、最も優れている一つがゴールド。金価格が急激に上昇していく時、お金と経済のバランスが崩れたと考えることもできます。

大事なお金を守るためにも、金投資に注目しておきましょう。