日経平均株価3万円突破!これだけは押さえておきたい数字とは?

世界的な株価上昇に一服感が出始めているのとは対照的に、少し前まで弱めだった日経平均株価が急騰しました。

「長期・積立・分散」による長期投資においても、日本株のインデックスファンドなどを組入れているかたも、久々に大きく上昇した日本株に驚きを隠せないかもしれません。あるいは、前々回のコラムでご紹介したように、「コア・サテライト戦略」を採用されている積立投資家であれば、この恩恵を直接的に受けられているかもしれません。

こうなってくると必ずでてくるのが、「年末までに日経平均株価は●円へ」というような解説・分析記事です。よく勘違いされることが多いかもしれませんが、このような記事は将来を予測するためのものでありません。

投資初心者のかたにとっては、日経平均株価や個別の株価について、ただの数字の羅列くらいの感覚のかたもいらっしゃるかと思います。確かに目の前の数字は日々の取引の結果ですから、そこに特別に大きな意味はありませんが、筆者も含め一般的なマーケット関係者は、予想屋ではないものの、注目している数字は誰しも持っています。

そこで今回は、日経平均株価が今後どれくらい上昇するのかということではなく、もし上昇するとすれば、投資家としてはどのような数字に注目しておくと便利なのか、代表的な一例をご紹介します。

予想は嘘よ(よそうはうそよ)

投資初心者のかたでも、もしかしたら「チャート」や「テクニカル分析」という言葉を、どこかで聞いたことがあるかもしれません。筆者もよく活用していますが、今回はもっと簡単な話をします。

繰返しになりますがマーケット関係者は予想をしません。左から読んでも、右から読んでも、「よそうはうそよ」とはよくいったもんですが、将来の株価を当てることが目的ではなく、トータルで利益を出し続けることが目的だからです。

将来的には色々な可能性や想定できることがありますが、いろんな事実を集めて、その可能性という想定レンジを狭めていくのが仕事、というイメージです。

日経平均株価を例にあげるとすれば、●円まできたら次は●円。●円を突破したら次は●円が視野に入る。そしていまのところ●円まで到達する可能性が高まってきた、というようなアプローチです。

つまりバブル崩壊後、一度も当時の水準に達していない日経平均株価であれば、遠くに大きな目標値があるとしてそこへ向かっていくとすれば、目先の目標値をクリアすると次の目標値が想定できる、という考え方に基づいています。

日経平均株価に関するご参考データ

日経平均株価:2021.9.8 終値30,181円21銭
日経平均株価の史上最高値:1989.12.29 38,957円44銭(同日終値38,915円87銭)

 

話はそれますが、税引前の配当込み日経平均株価である「日経平均トータルリターン・インデックス(※)」が昨日9月8日に史上最高値(50,313円84銭)をとり、密かに話題となっています。

 

※日経平均株価(日経平均)を構成する225銘柄の値動きだけでなく、各構成銘柄の配当も加味した場合のパフォーマンスを示す指数です。

公表開始は2012年12月3日。1979年12月28日の値を6569.47とし、現在は1日1回終値ベースで算出・公表しています。

 

(日本経済新聞電子版WEBサイトより抜粋)

前置きが長くなりましたが、初心者でもこれだけは注目しておいてほしい日経平均株価という数字について、筆者が好んで使用しているアプローチを2点ご紹介します。

直近高値をチェックする

株価の動きはただの数字の変化ではあるものの、大きなお金を動かす主要なプレーヤーなどのマーケット参加者が、何を見て動いているかというのが重要です。

日経平均株価が目先の高値を突破すると、その勢いが継続する場合には次の高値を目指しにいくという習性がありますので、これをまず押さえておきましょう。

日経平均株価の直近高値

2021.4.6 高値30,208円89銭
2021.3.18 高値30,485円00銭
2021.2.16 高値30,714円52銭

ちょっと数字が接近していますが、日経平均株価が3万円台でしっかり値固めされ、直近高値をとっていくと、さらなる上昇が期待できるという解釈になります。

下げ幅の倍返し

コロナショック時の暴落やその後の急回復など、上下の大きな株価の動きが発生した際に、よく活用されるのが「下げ幅の倍返し」という、株価の戻り具合を視野にいれる方法があります。

コロナショック前後の倍返し

まずコロナショック発生直前の高値と、コロナショック時の安値を調べます。

①コロナショック前の高値:2020.01.17 24,115円95銭
②コロナショック時の安値:2020.03.19 16,358円19銭

この差の値幅がわかったら、それを2倍します。

①-②:7,757円76銭・・・③
③×2=15,515円52銭・・・④

最後に、この数字をコロナショック時の安値に足してあげます。

②+④=31,873円71銭

高値・安値は終値ベースでとるか、日中の高値・安値をとるかは意見がわかれるところですが、筆者の場合は日中の高値・安値を採用しています。

このような計算をすることで、日経平均株価がコロナショックによって暴落した際など大きな変化が起こった場合に、下がった分の倍返しで回復するとどうなるかという目安になります。ざっくりと32,000円くらいです。

以上、ご紹介した2つのアプローチは、日経平均株価という数字をみていただけでは何もわかりませんので、「テクニカル分析」など昔からよく活用されている、将来の可能性の想定レンジを求めるアプローチになります。

日経平均株価がどこまで上がるかということを当てるためのものではなく、さらに上昇するような動きを見せた際に、どの水準を意識しておくと良いかという「羅針盤・方位磁針」のような目安です。

積立投資をしているだけだと、日々勝手に数字が動いているだけというような印象を受けるかもしれませんが、裏ではある程度の目安や根拠をもって日経平均株価などが動いていることを、なんとなく知っておいていただければ幸いです。