コロナ禍での各国が進めた金融緩和・・財政支援が世界的なカネ余り→インフレを起こしています。
牛肉・ガソリン・小麦の値上がり・・・と日常生活でも実感がわいてきているのではないでしょうか?
国際通貨基金(IMF)は消費者物価の上昇が今年の秋にピークに達し、2022年半ばまでにコロナ禍前の水準に緩和するだろうという見通しをたてています。
さて、「インフレ」は資産運用に置ける大きなリスクといわれます。
実はかつて日本に「100年定期預金」なる金融商品がありました。
ご存知でしたか??
今回はここからインフレについて考えてみます。
目次
100年後には339倍になる!?
大正時代の日本の話ですが、新潟貯蓄銀行(現第四銀行)が超長期の100年定期預金というものを募集していました。
大正天皇即位の記念定期預金とのキャッチフレーズだったようです。
話題になったのは2015年の秋ごろ。
ある方が、「父親の遺品を整理していたら満期になる100年前の証書が出てきた」ということで同行に問い合わせをしました。
その100年定期預金の内容が以下です。
- 募集開始は1915年(大正4年)
- 満期は100年後の2015年
- 利率は年利6%の複利
預入したお金は100年後には339倍になる計算の預金というわけです。
仮に現在この定期預金が存在し、100万円預入したとすると、
満期時には・・・
3億3,900万円!!
になるという夢のような定期預金です。
いくら満期で戻ってきたのか?
1915年(大正4年)に預入した定期預金ですから、ご本人はすでに亡くなっていますが、預入した金額の339倍もの金額を結果的に遺族に残すことができています。
すばらしい高金利です。
生命保険よりかなり大きなレバレッジ効果があるようにも感じますね。
さて、夢のような定期預金ですか、満期で実際にいくらが戻ってきたのでしょうか?
様々な説があるようですが、当時の初任給は小学校教員で10~20円程度といわれています。
20円といえば現在の20万円くらいの価値だったかもしれません。
この方のお父様が当時いくらを預け入れたかは不明ですが、仮に100円(当時の100万円くらいか?)をこの定期預金に預入して満期を迎えた時にはいくらになっているのでしょうか?
5,000万円?
1億円?
3億円?
正解は・・・
『100円×339倍=33,900円』
です。
預金のリスク
銀行は破綻しなければ、預金の額面はしっかりと守ってくれます。
評価されるのは「価値」ではなく、「額面」の数字ということです。
100年前に先祖が残してくれた胸わくわくする金融商品での財産。
「証書は有効だが、解約しても額面の数字しかお支払いできない」と銀行より回答があったようです。
受け継いだ子孫の失望感はいかほどだったのでしょうか・・・
皆さんご察しの通り、これがインフレの恐ろしさになります。
現在の貨幣価値は当時の数千分の1以下になっていたため、多くの場合、わずかな金額にしかなりませんでした。そのため、問い合わせた方々は記念に保管するという選択をした方も多かったようです。
ちなみに以下が日本の主なインフレのデータです。
価値が数千分の一になってしまうとは・・・
ここまでのインフレは当時預金をする方は想像にもしていなかったのではないでしょうか・・・
この100年間で起こってきた主なインフレ
▶︎終戦後
1934~1954年
約300倍に上昇
▶︎高度成長期
1956~1972年
年平均4.5%上昇
▶︎石油危機(狂乱物価)
1973年 11.7%上昇
1974年 23.2%上昇
まとめ
預貯金率の高い日本ですが、改めて預金だけしておく危険性に気づかされます。
長引く低金利の影響もあり、銀行も口座管理手数料等の諸々の手数料を課してくるように変化もあります。
インフレに強い資産を持つ事がどれだけ重要なのか、強く身に染みる話題だったのでは無いでしょうか?
「額面」を守るのでなく、「価値」を守りましょう。
皆さんはインフレ対策に何をしていますか?
何をポートフォリオに加えていますか??