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世界最大の年金基金GPIF
国内最大規模の機関投資家であり、世界最大の年金基金でもあるGPIF(Government Pension Investment Fund:年金積立金管理運用独立行政法人) の直近の運用状況が2021年8月6日に公表されました。
累計収益が100兆円。
GPIF が2001年度に市場運用を開始して以降、2021年6月末時点の累積収益額は約100.3兆円、平均収益率は年率3.70%であるとのことです。過去は債券中心の運用でしたが、近年は株式の割合も増やし、着実に収益を増やしてきました。
そして、累計収益としては100兆円を突破したことがわかりました。
100兆円という巨額な収益ですが、利益の内訳などはどうなっているのでしょう?
速報値:2021年度第1四半期
- 収益率
+2.68%(期間収益率) - 収益額
+4兆9,819億円(期間収益額)
うち、利子・配当収入は1兆612億円 - 運用資産額
191兆6,189億円(2021年度第1四半期末現在)
累計:市場運用開始以降(2001年度~2021年度第1四半期)
- 収益率
+3.70%(年率) - 収益額
+100兆3,182億円(累積収益額)
うち、利子・配当収入は41兆2,152億円
利益の内訳
100兆円という巨額の利益ですが、内訳は以下のようになっています。
- キャピタルゲイン:59兆1,030億円
- インカムゲイン:41兆2,152億円
キャピタルゲインは、株式や債券の値上がりから得られた利益、そしてインカムゲインというのは、株式の配当や債券の利子から得られた利益です。
株式市場の上昇によるキャピタルゲインの大きさは想像できるのですが、意外にインカムゲインも結構な割合を占めることに気づきます。
グラフを見てみると、市場の変動の影響で、キャピタルゲインはマイナスの年もありました。一方でインカムゲインは運用開始以来、毎年利益をもたらしてくれています。
私たち個人の資産運用でも配当や利子を積み上げていく戦略、インカムゲインを意識した運用手法は安定性があることを気づかせてくれます。
定期的な公表
「年金積立金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要ですが、国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から、作成・公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか、四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うものです。」とされ、年度の四半期ごとに公表されています。
宮園理事長のコメントでは「当法人は長期的な観点から運用を行い、投資原則・行動規範を遵守し、年金財政に必要な積立金を残すためにしっかりと受託者責任を果たしてまいります」としています。
まとめ
GPIFは公的資金なので運用成績が悪いときほどニュースで報じられる印象があります。しかし、グローバルでリスクをある程度とっていく姿勢に変更しており、ここ数年の成績は評価をできるものです。
GPIFの指針は国内の他の企業年金などのガイドラインにもなるといわれており、私たち個人投資家にも一つの参考になるものといえるのではないでしょうか。
公式サイト
https://www.gpif.go.jp/
公式ツイッター
https://twitter.com/gpiftweets