「投資を身近に!」をモットーに、分かりやすくイメージしながらお伝えしています。
iDeCoのスゴイところやメリットは十二分に理解できた、いざ始めよう!と思っても「本当に60歳まで払いきれるのか」「期間が長いから先が分からない」「途中で支払い損ねてしまったらどうなるのか」そんな不安がよぎることもあろうかと思います。
今回は、もし引き落としができなかった時のケースについて解説します。
1つ目「積立時」、2つ目「運用時」、3つ目は「受取時」以前の記事をご参照ください。
目次
iDeCoの引き落としができなかった月はどうなる?
企業型DCであれば給与天引きですから、支払えない月はなかなか発生しないと思います。しかしiDeCoの場合、口座の残高が足りなかったなどで、支払いしそびれてしまうこともあり得ます。その月の扱いはどのようになるのか、ペナルティはあるのでしょうか。
毎月の引き落としのタイミング
iDeCoの掛金は、翌月26日(金融機関休業日の場合は翌営業日)に口座振替で引き落とされます。たとえば、4月分に充当されるのは5月に引き落としされたものが該当します。
よって、5月・6月と引き落としができなかった場合、実際に納付にあたる月は4月分・5月分となり、その分が支払えなかったということになります。
ペナルティはあるか?
引き落としができなかったとしても、ペナルティは特にありません。以後、iDeCoができなくなるとか、口座が凍結されるというようなことは一切ありませんので、安心して続けましょう。
ペナルティはありませんが、iDeCoのスゴイところを享受することができなくなります。
運用ができる分が少し減る
毎月23,000円の掛金でiDeCoを行っていたとします。もし5月・6月と引き落としができなかった場合、合計46,000円分の運用を行うことができなくなります。ただし今まで支払ってきている分の運用は続きます。
年末調整や確定申告のときの控除が減る
毎月23,000円の掛金の場合、年間276,000円分が小規模企業共済等掛金控除として、控除されますが、もし3か月滞った場合、69,000円分減り207,000円を申告することとなります。
退職所得控除の対象月が減る
以前の記事で、iDeCoをいよいよ受け取るときに、退職金として扱われ、年数により控除額が増えていくことを解説しました。もし支払えない月があると、その控除額が減る可能性があります。
たとえば、一度も滞ることなく掛金の引き落としが19年2か月の場合、端数の月は繰り上げられるので、このケースでは20年行ったものとして計算されます。
よって退職所得控除は
40万円×20年=800万円となります。
しかし3か月滞ってしまい、18年11か月できたとします。この場合、19年行ったものとされ、退職所得控除は
40万円×19年=760万円となります。
これは20年以下の場合です。
もし20年超の場合、計算が変わります。たとえば20年2か月の場合、21年とみなし、
800万円+(70万円×1)=870万円となります。
もし3か月滞ってしまった19年11か月のときだと、20年行ったものとされ、退職所得控除は
40万円×20年=800万円
つまり20年未満の場合は40万円、20年超の場合は70万円、退職所得控除に差額が発生することがあります。
とはいえ年をまたぐ月数の場合はこのように影響がありますが、年をまたがないとき、たとえば、18年3か月と18年6か月では同じ19年と扱われますので、影響はありません。
リカバリーするチャンスはあるか?
もし支払いが滞ってしまった場合、翌月に2か月分支払って穴埋めすることができるか?と考えたくなりますが、それはできません。「なかったもの」として扱われます。
掛金の変更も考えましょう
iDeCoは長い年数を掛けて積み立てを行っていきます。今回のようなケースもあり得ることでしょう。もし何か月も支払いができないようなことがあれば、掛金の変更も考えていきましょう。
1年に1回掛金を変更できるチャンスがあります。iDeCoの開始が5月の場合、5月分の掛金から翌年4月分の掛金分(実際の納付にあたる月は4月〜3月)の変更が可能です。しかし手続きに1か月超時間が掛かりますので、早めにiDeCoの金融機関に申し出ましょう。