リスクオン・オフと金投資を分かりやすく解説しました

リスクオン リスクオフ

投資・資産運用の世界で良く出てくる言葉の一つがリスクオンオフ。この言葉は、金投資そして金価格にも影響するので見ていきましょう。

リスクオン・オフとは市場の心理状態のこと

  • リスクオン=リスク選好:リスクを取りやすい投資環境⇒金価格は下がりやすい
  • リスクオフ=リスク回避:リスクを取りにくい投資環境⇒金価格は上がりやすい

リスクオン・オフそして金価格との関係を一言で言うとこのような内容になります。

投資を行う上で、あらゆる金融商品・投資には、リスクとリターンがあることを前に、説明しましたね。

一つ例をあげましょう。銀行預金は、ローリスク・ローリターンの典型。つまり、損しない分、利益も少ない金融商品。そして、新興国の株式は、ハイリスクハイリターンの商品です。このように、金融市場にリスクとリターンがある中で、市場全体のムードを大事にするのが、リーマン・ショック以降の投資家たちです。それが、リスクオン・オフという考え方。

つまり、投資家及び市場全体として、現在のリスク度合いをどのように考えているかというのが基本。

集団心理がスピードアップ

近代の投資・資産運用は、ボタンひとつ、マウスのクリックひとつで大量の売買ができます。そして、情報の伝達スピードがとても早いことが特徴。そのため、集団心理による売買判断が大事になってくるのです。

  • リスクオンの状態:投資家は、リスクを取って、利益を狙う傾向。この場合、新興国の株式や高金利通貨などが買われやすくなります。信号機が青の状態とお考えください。皆で一斉にリスク資産を買いに走ります。なお、ゴールドは、安全資産と判断されているため、リスクオン時には、売られやすくなります。
  • リスクオフの状態:投資家は、リスク回避のために、リスクの少ない資産へと資金を移動させます。信号機が黄か赤の状態です。あなたが売るなら私も売るとばかりに、リスク資産が売られることになります。その分、米ドルや日本円・国債などリスクが小さいと考えられている資産が買われやすくなります。そして、ゴールドも安全資産のため、買われやすくなります。

★リスクオン・オフ時の資産動向の例リスクオンオフ時の動向

リスクオンで買われやすい資産

リスクオン時に買われやすいのは、リスクはあってもリターンが大きい資産。そのため、同じ株式であっても、リスクオンの度合いが高いほど、先進国の株式よりも新興国の株式の方が買われやすくなります。ゴールドや債券は、皆の意識がリスクオンに傾いていると売られやすくなります。

どんな時にリスクオンやリスクオフになるのか

リスクオンになる時は、景気回復や経済成長のつながるニュースや経済指標が出た時。また、戦争やテロの不安が弱まった時もリスクオンになります。

リスクオフは、その逆に景気が悪化した時や戦争・災害などが起きた時。投資家心理は悪化してリスクオフになります。

これが、リスクオン・オフの基本。ただし、この傾向は、時代の変化によって、変わりますので、いつも同じと考えていてはいけません。

応用編とを一つ見てみましょう。

景気が悪化していることを示す経済指標が発表されました。⇒でも、リスクオフにならないこともあります。例えば、FRBやECBなどの中央銀行が金融引締めによって、景気を冷やそうとしていたのに、景気悪化の指標が出た。⇒金融引締めは起きないとの市場判断から、リスクオフではなく、リスクオン的な市場の動きになることもあります。

新型コロナウイルスの拡大で、株と金が同時に上昇

新型コロナウイルスの拡大、普通なら景気が悪化するリスクオフの場面。ということは、株が売られて、金が買われるのがセオリーですね。しかし、株も金も買われて上昇。これは、パンデミックによる経済的な被害を抑えるため、世界的な金融緩和と金利引下げを実行したから。それによって、株と金が両方ともに上がるというセオリー破りが起きたのです。

金融市場の面白くも難しいのは、A=Bという絶対的な式がないこと。こうなりやすいというセオリーはあっても必ずそうなると言い切れないので、その辺りに注意しながら金投資をはじめとした資産運用をする必要があります。

リスク度合いは、VIXやゴールドで測ることができる

リスクオン・オフ度合いを測る方法としては、VIX index(恐怖指数)という市場の値動き(ボラティリティ)指数をシカゴ・オプション取引所が公表しています。米国のS&P500指数オプション取引を基準にしており、数字が高くなると、リスク度合いが高いと判断できます。

また、金価格もリスクオン・オフ度合いを測る方法として、考えられています。金価格が上昇していれば、何か良くないことが起こる・起きているとして、リスクオフと判断できます。

それ以外にも、マーケット市況の解説などで、リスクオン・オフの言葉は、頻繁に登場しますので、意識して見ていけば、今の市場がどちらに傾いているか判るようになっていくので、気をつけて見ていくようにしていきましょう。

有事の金 核・世界大戦の危機にこそ輝く「有事の金」とは何? VIX指数 投機的な売買をしなくても、知っておきたい「VIX指数」とは?