ゴールドは、すでに時代遅れなのでしょうか。暗号資産クラスタの賑わいに比べると、いささか地味に感じるところもある金投資。両者は、共存できるのか。それとも、ライバルとして、どちらかが消えていく運命にあるのでしょうか。気になりますね。
目次
ゴールドと暗号資産のポジション争いについて
昔から、ずっとゴールドを見てきた私としては、ゴールドの価値がなくなることはないと主張したいところ。まあ、少しだけ、ポジショントーク気味にはなってしまいますが、その辺りを見ていくことにいたします。
暗号資産とゴールドの市場規模
さて、まずは、その市場規模。ビットコインを筆頭に暗号資産は、価格上昇と発行量の増加で資産規模の拡大ペースが早い。そのため、ゴールド以上の規模になるとの予想がほとんど。
現在、ゴールド(金)の時価総額は、投資用途で約2兆ドル。その他の宝飾品なども含めると約8兆ドル。それに対して、暗号資産全体の時価総額も、約2兆ドルとゴールドと同じレベルまで来ました。アライアンス・バーンスタイン:2021年5月
両者とも価格次第で大きく上下しますが、市場規模としては、妥当なところだと思います。
ゴールドと暗号資産どちらを選ぶ
こうなると、ビットコインをはじめとした暗号資産は、代替資産として、ゴールドのライバルになったと言えるでしょう。そして、今後、暗号資産の市場規模が伸びれば伸びるほど、ゴールドの価値が下落していくのではないかと考えるのも不思議ではありません。
資産運用会社大手のブラックロックや大手銀行など、ビットコインがゴールドの代替となる可能性を指摘しています。
ゴールド及び暗号資産は、米ドルをはじめとした法定通貨の代替として代表的な資産。インフレヘッジとして利用される点でも、同じような役目を担います。その点、ゴールドと暗号資産は、同じような扱いを受けてもおかしくありません。
あなたは、どうでしょう。ゴールドと暗号資産が同じだと思いますか?
若年層にとっては、ゴールドよりも暗号資産の方が取引しやすい資産になっています。ゴールドを取引する先物取引所や貴金属商よりも暗号資産の取引所の方が、テレビCMや雑誌広告・特集などで目立ちますからね。おそらく、若い人が、米ドルや日本円といった通貨を保有することに不安を感じた場合、暗号資産を中心に検討することになります。
一方、古くからのお金持ちや大手ファンドなどにとっては、ゴールドのニーズの方が高い。ビットコインをはじめとした暗号資産は、歴史も浅く、まだ投機的な動きが続いていることが第一。さらに、暗号資産のリスクは、まだ不透明。
- 本質的な価値基準が明らかではないこと。
- サイバー攻撃のリスクやネットワークトラブル。
- インターネットやスマホ、PCを使えない環境になった場合
- 暗号資産内での競争
- 高すぎるボラティリティ(価格変動率)
- 大口保有者の動向やインサイダー問題
政府の規制に対して、どの程度、耐えられるかもわかりません。そのため、大手ファンドの担当者には、暗号資産とゴールドは、同じリスクを持つ資産とは言えません。
つまり、同じ法定通貨の代替資産として、似ているところはあるものの、違うニーズを汲み取る存在になるのではないかと思います。
増えている米ドルと世界の金融資産
米国の通貨「米ドル」の通貨供給量(M2)は、コロナウイルスのパンデミックで増え続け、20兆ドルを超えました。さらに、世界の家計金融資産は、2020年末、過去最高の250兆ドルに増加。不動産などの非金融資産も過去最高の235兆ドルへと・・・。(ボストン コンサルティング グループ)
これだけの資産がある中、投資用ゴールドの2兆ドルは、まだまだ少ない。パンデミックで増えたお金と資産は、株式中心に高いリターンを求めて動きました。そして、株式や不動産がかなり高くなった今、安全な資産を求めるニーズは増えています。
つまり、ゴールドから暗号資産への資金移動に強く怯える必要はないと思います。どちらかというと、株などの資産からゴールドや暗号資産に移る金額の方が多いと予想します。実際、近年の、金価格は、高値安定。ビットコインの価格が上昇しても下落しても、それほど、大きな影響は受けていません。
・ゴールドの月足チャート
もちろん、リスクを取りやすいリスクオン場面をはじめ、暗号資産ブームが生じた時、暗号資産は、価格が急上昇しやすい。そんな時、ゴールドが売られて、暗号資産が買われる動きが起きやすくなることもあるでしょう。しかし、ゴールドからの資金移動をそんなに怖がる必要はないでしょう。
米ドルや人民元の危機時には、どうすればいい。
一つ、リスクシナリオを考えてみましょう。米国の貿易赤字と財政赤字がふくらみ続け、米ドルの価値を下げる以外に、米経済を維持する方法がなくなった。
このように、米ドルの価値が下がる局面において、暗号資産もゴールドも両方、上昇していくでしょう。米ドルを持っていても価値が下がる一方となれば、大事な資産を守るために、米ドルに代わりうる資産は、一斉に買われますからね。しかも、そういう時に移せる資産は、いくらでも欲しいという状態になるでしょうからね。
暗号資産(仮想通貨)は、ゴールドのライバルになる部分もありますが、メイン通貨の代替資産として、同じように、重宝されていくというのが、私の予想です。