こんにちは、鈴木優平です。
今回は2019年問題についてお話します。
この言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、
「2019年問題」とは何かをまずご説明します。
2019年以降に不動産市場が大きな転換期を迎える可能性がある不動産が、東京を中心に下落する、暴落するのではないかと予測されている問題です。
なぜ、2019年が注目を集めてしまったのか、その理由はいくつかあります。
目次
不動産価格に影響を与える3つの要因
1つ目は、ちょうど2019年に日本の世帯総数が、ピークアウトしていくようなタイミングになってしまうこと。
世帯数が減れば、それだけ不動産の需要も減ってしまうと考えられますよね。
2つ目は、オリンピックの前年であるということ。
世界の色々な所で行われているオリンピックですが、オリンピックが終わった後は、値段が下がっているケースが多く、実際にオリンピック前というのが一番のてっぺんだったというケースも諸外国の中で起きていますので、オリンピックの前年である2019年を気にする人が多いんです。
そして3つ目が税金問題。
不動産を売却すると「譲渡所得税」という税金がかかるのですが、所有期間が5年以上になってから売却すると、税率が短期譲渡所得から長期譲渡所得へ変わり、支払う金額が低くなります。
実はタワーマンションなどが売れたピークは2013年くらいで、ちょうど5年くらい経つと、2019年になります。
つまり、2013年あたりに不動産を購入された外国の方々や、中国の富裕層の方々が、長期譲渡の対象となる2019年以降のタイミングで、売りに出すのではないかと言われています。
そうなると市場に出回る不動産が増え、価格の低下を招いてしまうリスクが考えられます。
「世帯数の減少」「オリンピック」「税率の変化」などという、複数のポイントが重なってしまうので、2019年問題と呼ばれているのです。
投資家たちの予想と実態
ただ、私も色んな方から2019年問題について聞かれる中で、私の肌感覚で申し上げると、2019年9月の段階で、タワーマンションや、高級ファミリーマンションは、少しは動きが鈍くなってきたかなとは思います。
その中で値段はこれ以上あがりづらいのかなと思いますが、ただ一方で、事業者にニーズがあるのがホテル用地なんです。
ここ10年で、東京へのインバウンドの観光客は何倍にもなっています。
そして10年くらい前はAPAホテルが一時期5,000円位で借りられた時もありましたが、今APAホテルを東京で借りようと思ったら2万円くらいします。
何が起きているかというと、ホテルの一部屋はだいたい10平米くらいなのですが、宿泊費として1日に2万円の利益をあげているので、もし30日間ずっと宿泊客が絶えなかったとしたら、2万円✕30日で合計60万円。
つまり、10平米しかない1部屋でも月に60万円の収入を生み出す仕組みになっています。
少し土地の値段が高いとしても、60万円も10平米で収益を上げられてしまうわけですから、土地が高くても買われてしまうんですね。
建築資材の値段も、上がっているんですが、それでもホテルを建てれば、収益が出てしまいますので、買われていきます。
では、それ以外の土地は需要が減り価格が大きく下がるのかというと、そうではありません。
なぜなら、大手の不動産会社には「建てない」という選択肢がないからです。
不動産を建てる時の原価から考えると、価格の上昇は頭打ちしている感はあるのですが、個人が買わなくても事業者が購入するので、値段は下がりづらい状況でもあります。
なので、今あるのような3つの要因が、そのままシンプルにダイレクトに影響して、値段が下がるのは難しいのではないのかなと思っています。
ホテル用地以外も、価格が下がりづらい例として、ファミリーマンションを販売している7大メジャーの会社などは、土地が少しでも下がれば、そこを買って自社のファミリーマンションを建てています。
実は一部屋最低でも1億円もするような、高額のタワーマンションでも、即完してしまうことがあるんです。
これはどういうニーズで買われているかというと、日本の60歳以上の方が持ってる現金が、1,600兆円を超えていると言われていますが、1,600兆円がそのまま放置されたら、ほとんど相続税に取られてしまいますよね。
税金で取られてしまうのはアホらしいので、相続税対策のためにマンションを買っていく方々が、今後も増えていくでしょう。
そういった方たちが、息子さんのために家やマンションを買って、相続税対策とか、お子さんが不動産を購入するための税金の控除というものが、非常に大きな枠として取られています。
そういったニーズもあって高いマンションは売られても、即完するのです。
そうすると、大手の不動産会社は、そういう大きな用地で高額なマンションを建ててもニーズがあるので、建てたい、作りたいがあるわけです。
なので、2019年以降に懸念されている問題があっても、価格は下がりづらいと考えられますが、マンションのニーズもまだあり、建てる際の原価も落ちづらい状況のため、価格の上昇も頭打ちの感は否めません。
なので、相対的なところの需要の部分は、不動産価格というのは上がるのは難しいかもしれませんが、下がるのも難しいような状況を抱えているわけです。
不動産価格が下がらない理由
我々がメインで扱っているのは、投資用不動産です。
それも1R(ルーム)の投資用不動産をメインで扱っているのですが、1Rで見た時にこの値段と需要を支えてくれるのは何かというと、そこに「住む人」です。
実際に単身者のマンションに住む人がいなければ、当然家賃も取れませんから、資産価値は生まれません。
では単身者自体の動向はどうなのか。
これは今も増えています。
昨年だと、10万人弱くらい、東京の単身者が増えているというデータがあります。
今後も2030年、2035年と単身者はまだまだ増えていくと予想されています。
なので、実際に単身者用のマンションというのは、住む方がいるのであれば、需要が高まりますから、供給と需要のバランスの中において、家賃も高まっていくでしょう。
今でも東京の市場は上がっていますが、家賃という競争力において、高い価値や家賃を維持することで、不動産価格はある程度高い所で、推移していくだろうと予想されています。
オリンピックは本当に悪影響なのか?
もう1つのポイントである東京オリンピック開催前年という要素ですが、オリンピックという1つの言葉だけでも、色んなオリンピックがあります。
特に不動産の視点からオリンピックを見た場合は、「良いオリンピック」と「悪いオリンピック」の2種類に分けられます。
「悪いオリンピック」とは、オリンピックのだけのために街作りをした開催地のことです。
例えばリオ・オリンピック。
リオは、オリンピックを開催するために、その周辺をキレイにしたり、裏側のスラムを見えなくするために立て看板をしたりしましたが、オリンピック後、不動産の価値は下がってしまいました。
では、「良いオリンピック」はどんなオリンピックなのか。
それは、そのオリンピックが行われる地域から空に拡充させた周辺のインフラの整備も含めて、長期計画の一部としてオリンピックがあって、再開発を進めたようなもの。
例えばロンドン・オリンピックは「良いオリンピック」でした。
ロンドン・オリンピックは将来的な展望も踏まえて、都市を再生していく都市整備の中の一環として、オリンピックを位置づけたため、交通網の整備や都市開発も相まって、どんどん住みやすい街になっていきました。
結果、今のロンドンはオリンピックが行われた前年よりも、倍ぐらいの値段で物件取引がされています。
ひとえにオリンピックということだけで片付けてしまうのではなく、「どんなオリンピックの位置づけで、都市計画されているのか」ということが重要なポイントです。
それを踏まえると東京という街は、もともと交通インフラとしては、世界の都市の中でもNO.1を誇るような場所であると思います。
なので、東京オリンピックは、「どちらかと言えば」ではなく「明らか」にロンドンに近いようなオリンピックになるのではと考えています。
さらに、オリンピックが開催されると決まってから、高速道路が新しく開通して伸びたり、新しい地下鉄の開通計画が始まったり、様々なインフラ整備が進んでいます。
今後、オリンピックが行われた後も、国や東京は、まだまだ交通インフラを発達させていく予定です。
便利になる、ますます発展していくことの1つの契機として、東京オリンピックがあったに過ぎないということですね。
つまり、東京の不動産価格に関しては、今の値段をピークに下がっていくということは、人の住まいを根幹から考えてみると、なかなか起き得ないことだと考えています。
長期譲渡のタイミングは本当に実現するのか?
そして最後に、外国の方が長期譲渡所得になる5年を待ったタイミングで一気に売却するのではという問題。
これを懸念しているトピックスや記事もありますが、現状でいうと外国の方々が一気に売りに出されているというのは、今のところ聞いたことがありません。
もちろん「いずれ売却する」ことが目的の方でしたら、売りに出されるかもしれれません。
しかし、現実的に今はまだあまり起きていない状況だったり、元々一番ピークの値段からすると、少し落ち着いてきたような状況から考えても、果たして思うような値段で実際に売れるのか?といったこともあります。
だからと言って、思っていた値段以下の値段で売るということも、投資家としては判断しづらいのかなと思います。
こればっかりは分かりませんが、長期譲渡所得タイミングで市場に売り物が出てきて、値段が下がってしまうというのは、私としてはあり得ないと思います。
中々「because」をつけて回答するのは難しいですが、そこまで大きな原因にはならないかなというような気はしております。
なので、2019年問題ということにおいては、私の肌感覚としては、1つのタイミングとして考えていくくらいの捉え方でいいのかなと考えています。
もちろん、この問題を考慮して、不動産というものを買う買わないという判断をする方々もいるとは思うのですが、そもそも不動産投資をすることにおいては長期で持っていただくということがベターであり本質なので、短期で利益を得ようとするものとは本質がずれています。
株や投資信託、FXというような商材とは違いますから、底で買って、てっぺんで売ろうとすると、本質を欠いた失敗する不動産投資になってしまう可能性があります。
出口を考えた2019年問題と考えて実際に何か動かれるのであれば、逆に短期の売買を目的とした株とか投資信託の1つの目安の情報として、使っていただいたほうがより有効的な皆さんの情報になるのではないでしょうか。
なかなか、話をまとめるのが難しいですが、皆さんに少しでも参考になるご回答になっていれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。