アクティブファンド受難は続くのか?これからの注目点

アクティブファンド 注目点

アメリカの主要インデックスの好調が継続しています。特にNASDAQやS&P500は再び史上最高値をとってきていますよね。長期投資による国際分散投資のなかでメジャーな分類方法である「先進国株式」においても、米国株が占める割合が逓増してきています。

このように資産形成において中心的な役割を果たすケースの多いアメリカ市場において、主要インデックスの堅調さが、コロナショック時のボトム圏から長期にわたって継続していくと、アクティブファンドにとってはとてもやりづらい相場ともいえるでしょう。

以前、「未来格差のコラム」をご紹介しましたが、今回は別の視点として、優秀なアクティブファンド、トレンドにのったアクティブファンドの抱える構造的な弱点をご紹介します。個別ファンドの推奨や否定を目的としているわけではありませんので、抽象的・一般的な内容になりやすい点はご容赦ください。

好調なアクティブファンドからの資金流出

数年前までは世間を賑わせ、資金流入が続いていたアクティブファンドが、いまでは資金流出が止まらなくなっているという話はよくあることです。直近で資金流出入ランキングを見ても、大きく資金流出している有名なファンドがいくつもあったりします。

一概にはいえませんが、各アクティブファンドの詳細情報を見ると、マーケットに起因する要因については、大きなトレンドが一服するような動きを見せたり、横這い状態が続いたりすると、徐々に解約注文が増えるような傾向にあるようです。

資金流出が継続するようだと、運用サイドから見れば、解約資金を手当てしないといけないため、投資対象資産の価格が上昇しても、そのアクティブファンドの基準価額が同様には上昇しにくくなったりします。

基準価額が上昇しているにも関わらず、その投信の資産規模を表す「純資産総額」があまり増えていないアクティブファンドには特に要注意です。今後、長期で資産形成に役立てようとするには、かなり不安がつきまといます。

ご参考)一般社団法人投資信託協会「投資信託の基礎知識

資産形成ブームがインデックスファンドの追い風

一方、主要なインデックスファンドは、毎月一定額を積立てる投資家や、積立投資家の増加によって、基準価額の上下に関わらず、純資産総額が増え続けていきやすい傾向にあります。

筆者の意見としては、なるべく長期間にわたって、投信による資産運用を継続していくには、この純資産総額の継続的な増加が最も重要な要素になると考えています。

ご参考)拙著「1時間でわかるiDeCo」内(70~73ページ)でも「純資産総額」をご紹介しております。

「インデックスかアクティブ、どちらが良いの?」というご質問はよくありますが、仮に優秀なアクティブファンドであっても、5年や10年もすると、この資金流出がネックになって、徐々に存在感をなくしていくものは少なくありません。

その投信を運用している運用会社(●●アセットマネジメント等)が大手の傘下に入る、取扱いできる金融機関を拡大するというのには、このような安定的な資金獲得を狙った営業戦略も絡んでいるのです。

コア・サテライト戦略の活用

では、どのように対処していけば、アクティブファンドとインデックスファンドのそれぞれの長所を活かせるのか。筆者が長年好んで採用してきた投資法をご紹介いたします。

今となってはよく聞く投資法になっておりますが、これが「コア・サテライト戦略」です。

保有する資産をコア(中核)部分とサテライト(衛星)部分に分けて考え運用すること。コア部分は長期かつ安定的に運用し、サテライト部分はコア部分よりも高いリターンを求めて積極的に運用する。コア部分とサテライト部分をバランスよく保有することで、資産全体としてのリスクやコストを抑えつつ、市場平均よりも大きいリターンの確保を目指す。
※野村證券「証券用語集」より

筆者のイメージとしては下図のようになります。

コア・サテライト戦略のイメージ

 

この比率をどうするかは人それぞれかと思いますが、一般的には、「コア:サテライト=多め:少なめ」になります。どちらかというと証券口座にログインしない方、リバランスをあまり重視しない方は、コア部分がより100%に近づいていくようなイメージでしょうか。

筆者の場合であれば、仕事柄ほぼ毎日ログインしますし、リバランスも重視していますので、「コア:サテライト=1:1」くらいで運用しています。

また、アクティブファンドや投資対象がより狭い国・地域のインデックスファンドについては、このサテライト部分で運用しており、さらにサテライト部分においても、途中で現金化しつつなるべく長期間運用し続ける予定の投信と、いつか現金化していきたい投信とにわけています。さらに、今後の資産運用計画では、最終的にはサテライト部分をコア部分に統合しつつ、現金ポジションを増やしていく予定でおります。

ご参考)拙著「1時間でわかるiDeCo」内(120~123ページ)でも「コア・サテライト戦略」をご紹介しております。

このように投資方針は個性があって良いと思いますが、教科書通りの積立てにこだわりすぎなくても、積立投資は可能です。ただし、アクティブファンドの純資産総額の増減にはくれぐれもご注意のうえ、色々試してみていただくのがオススメです。