インボイス対応で会社設立予定の個人事業主のための企業型DC

個人事業虫 企業型DC

先日、とある業界に所属する個人事業主のためのマネー講座の収録をしてまいりました。有料で動画販売をするそうです。

個人事業主といっても、そのステージは人それぞれかと思いますが今回は特に、法人成り・会社設立を視野にいれている個人事業主のかた向けにお届けします。

数年前より、1人社長・夫婦経営など、小規模の会社設立ニーズが高まっているように感じています。特に、大企業を退職され、個人事業主として独立、2年後に会社設立というように、計画的にプランニングされているかたも少なくない印象を受けます。

そのようなスモールビジネスの経営者にとって、会社を活用して貯蓄する効率的方法として人気なのが、企業型DC(企業型確定拠出年金・401k)です。

節税しながら老後資金を貯める企業型DC

節税 企業型DC企業型DCは、月55,000円(年66万円)を上限に、経営者の企業年金として、退職金のように一括か、年金のように分割か、または併用で老後資金を受取れる制度になっています。

毎月の積立時に、その積立てた金額については役員報酬としてみなされず、経費として、社会保険料の算定対象外の収入として、そのまま老後に仕送りができるため、スモールビジネス経営者にとって人気が高まってきているのです。

スモールビジネス経営者の場合、毎月の役員報酬にそのまま満額55,000円を上乗せするタイプの制度設計をされるかたが多い印象を受けます。

積立期間中は、主に投資信託で資産運用を継続するのが一般的なため、近年の株高による資産増を受けて、すでに企業型DCに加入されている経営者からのご紹介も増えつつあるのでしょう。

企業型DCはちゃんとした国の制度であり、制度導入にあたっては、金融機関を通じて、厚生労働省厚生局と、申請書類のやり取りをしますが、制度の導入申請から導入開始までに最低半年かかりますので、経営者としてはなるべく早く導入したいというケースがほとんどです。

厚生年金適用事業所の承認届があれば申請できる

企業型DCの導入には、下記書類が必要になります。

企業型DC導入に必要な書類等

  • 就業規則
  • 賃金規程
  • 育児介護休業規程
  • 継続雇用規程
  • 履歴事項全部証明書
  • 保険料納入告知額・領収済額通知書

企業型DC 必要書類原則として社会保険料の納付実績が必要になるのですが、厚生年金適用事業所の申請が受理され、厚生年金適用事業所の「適用通知書」がお手元に届いていれば、社保の納付実績がなくても、企業型DCの導入申請が可能となっています。

個人事業主時代に、iDeCo(個人型DC)に加入されていた場合は、併せて手続きをすることで、企業型DCへの移換も可能です。

会社設立が視野に入ったら、企業型DC導入の検討も一手

個人事業主で事業が軌道に乗り出した経営者であれば、消費税の免税事業者である2年をめどに、会社設立されるかたも多いでしょう。

消費税は、下記の場合には納税する必要があります。

  • 基準期間(前々年)の課税売上が1,000万円超
    ※事業開始後2年間は基準期間がないため、消費税の免税事業者
  • 特定期間(前年1月1日から6月30日まで)の課税売上および給与等支払額が1,000万円超

また、2023年10月からは「インボイス(適格請求書)制度」が開始予定であり、受付開始は2021年10月からとなっており、段階的に制度が確立されていくシステムになっていますが、この制度は免税事業者としての個人事業主としては、今後の対応がせまられる制度です。

個人事業主にとってこのインボイス制度は、簡単にいってしまうと、法人と取引がある場合に、個人事業主側が課税事業者になっていないと、相手方の法人がその分の消費税を納付することになります。それを嫌がる法人から取引を打ち切られる可能性もでてくるわけです。

それを見越して今後さらに、個人事業主の会社設立ニーズが高まることが想定されます。会社設立前後はとてもあわただしくなることが想定されますが、企業型DCについてはもちろん他制度等の活用や対応についても、事前に余裕をもった計画をたてることをオススメします。