前回は、上手くいけば、大きく利益を得られる円キャリー・トレードの話をしました。今回は、キャリー・トレードの上級編。これから、外貨金利が上昇してくる可能性があるため、ちょうど、良いお話になると思います。
スワップポイントと為替差益の両得を狙う「円キャリー・トレード」とは何?目次
今後、外貨の金利が上昇してきそうな局面で、キャリー・トレード
こちらは、キャリー・トレードの中でも、ワンランク上のお話。現在ではなく、今後に期待して、円キャリー・トレードを仕掛けていく方法です。
為替予測は難しいが、金利の方向は予測できる。
まず、このことを抑えておいてください。
為替相場が上下どちらに動くか予測するのは、ご承知の通り、難しい。しかし、中央銀行の金融政策は、予測できます。
なんといっても、金融政策を決める中央銀行自身が、金利を上下させる・金融政策を変更する前に、様々な情報を提供してくれるから。しかも、予想外のことをすることは、滅多にありません。事前に、アナウンス的なことをしてきますし、議事録の公開・中央銀行メンバーによる発言などで、あらかじめ市場に準備をさせるのです。
もちろん、ある程度、予測できるとはいえ、経済指標などのデータ次第の面もありますし、時々、サプライズでの利上げや利下げがあることも覚えておいてください。サプライズばかりだと、金融市場に無用な混乱を与えたとして、評価が下がってしまいます。
つまり、為替相場が上下どちらに動くかは予想しにくくても、金利については予測できるということです。
それなら、今後、金利が上がっていきそうな局面を狙い、先回りして円キャリー・トレードを行うのもありですね。
日本と海外の金利差が開いていく?
それでは、まず、現在の市場で確認してみましょう。主要国の金融政策の状況です。
各国の金融政策
- 米国:量的緩和を段階的に縮小する(テーパリング)のスタートを検討。
- 欧州:量的緩和「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を維持。ただし、債券購入ペースを調整する。
- 英国:量的緩和は現状維持するも、9月の会議で、賛成7に対して減額を提案する委員が2人になる。12月に利上げが行われる可能性あり。
- オーストラリア:量的緩和のテーパリングを開始。
- 日本:量的緩和を維持。
おっと、日本以外は、量的緩和を縮小していく方向。ということは、今後、日本と海外の金利差が開いていく可能性がある!
欧米を中心に、インフレが加速中。そのため、各国の中央銀行では、金融政策を量的緩和⇒正常化へと戻す動きが出つつあります。第一段階が、量的緩和の金額を減らしていくテーパリング。つまり、金利は上昇方向に向かいやすい。
その中で、日本だけ違う世界。まだ、インフレ率が低いままなので、量的緩和終了のトレンドに乗れていません。
日本の金利が低いまま、海外の金利が上昇すぎるとチャンス
このまま、日本の金利が低いレベルに据え置かれて、海外の金利が上昇していけば、円キャリー・トレードのチャンスあり。前回、お伝えしたような、円キャリー・トレードによる円安強化もありえます。
すなわち、金利差=スワップポイントと円安のダブルで利益を得られるチャンスがあるということ。もちろん、為替相場は、金利差だけで決まるものではありません。そのため、金利差が開いたからといって、円安トレンドに動くとは限らない。
外貨投資を検討中の方は、リスクに注意しながら、為替相場と金利の動向を追いかけてみてはいかがでしょうか。
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