米中及び中印が、今、危なさを増しているホットな対立!

米中対立

前回、有事の金についてお話しました。では、有事が起きそうなところはあるのでしょうか。

実は2021年7月現在、有事として紛争や政治的対立が起きそうな国や地域はいくつもあります。実際、小さい戦争が起きているところもたくさん。

いざ有事が大きくなっていけば、金をはじめ金融市場が乱れることになるでしょう。

特に、米中対立が激しくなると2020年のようにゴールドに資金が流れ込み、大幅に上昇していくのではないかと思います。

冷戦時代、有事といえば米国とソ連の対立。その代理戦争があちこちで起きて、その度に核戦争や世界大戦の恐怖に世界がおびえていました。そのため、金が資産を守る手段として活躍したことは、前回お伝えした通り。

今、有事といえば、米中対立が一番

米中対立

ソ連がなくなった今、一番危険なのは、米国と中国。互いに高い関税をかけることで、貿易戦争と呼ぶ事態が起きたのは、少し前のことです。

この両国の対立は年々、緊張感を高めているのは、皆さんご存知の通り。チベット・香港・ウイグルと中国の勢力範囲はじわりと広がっています。

何しろ、中国の人口は約14億人。米国は約3.3億人と人口力は大差を付けて中国がリード。経済力を付けた中国は、かつてのソ連以上に米国の脅威になりつつあります。

そのため、金が買われるほどの有事として、注目を集めるところはやはり中国中心。彼ら自身、アヘン戦争で没落した清帝国の二の舞はごめんとばかりに、国力の維持に注力。経済・軍事力・人口ともにアジア地域で最強になりました。中国国防費は過去30年間で、なんと約44倍(防衛省発表)。

それでは、個別の地域を見ていきましょう。

中国と台湾・日本の対立:バックにアメリカ

一つの中国を旗印に台湾併合を考えている中国。同時に沖縄・尖閣諸島へ圧力をかけることで、日米を圧倒して海の支配圏を広げようとの狙い。

当然、それを阻止せんとする台湾・日本。そのバックにいる米国との対立は激しさを増しています。米国にとっても台湾・日本の防衛ラインから引き下がることは、太平洋の制海権を手放すことになりかねず、全力で守る構えです。

中印国境紛争:人口で1・2位の国同士

アジアの二大国。中国とインドも国境線において対立し、にらみ合いを継続。両国とも核兵器を保有していることもあって、紛争がエスカレートした場合、周辺国は、核の脅威にさらされることになります。2020年には死者が出る衝突を起こしており、不測の事態が起きるリスクをはらんでいます。

インドの人口も約13.6億。いずれは、中国を抜いて世界一の人口になると予想されています。これが何より怖い。人口増加・経済発展となると、厖大な資源が必要になりますよね。かつての中国がそうだったように。

中印国境紛争

そうなると、中国とインドの対立が激しくなるであろうことは明らか。今はまだ、インドが一歩引いている情勢ですが、経済成長が進み、引くに引けなくなった時、中国とインドの対立がどうなるかは悪いシナリオをたくさん想像してしまいます。

そしてこの両国、ゴールドが大好きという価値観で一致しています。このゴールド好きが、両国の仲を取り持ってくれるといいのですけどね。今後、この両国の関係が悪化していけば、有事の金買いが増えるのではと考えることもできます。

中国の南シナ海進出

日本海・東シナ海とともに、中国の進出が目立つのは南シナ海。1992年にフィリピンから米軍が撤退。その穴を狙ったのが中国。九段線の設定や南沙諸島(スプラトリー諸島)の軍事基地化によって、実効支配力を強めています。

この地域。一つ一つの国力は小さいため、集団での防衛が必要。米中の直接的な衝突リスクも抱えています。

2014年クリミア半島併合から続くウクライナ問題

米国と対立しうるもう一つの国がロシア。経済力こそ落ちたものの、軍事力・資源力を生かして勢力を拡大中。ウクライナの支配権をめぐり、ロシアとEU・米国の綱引きは今も続いています。米大統領選挙に介入したとの噂もあることから、情報戦争においても両国は対立中。中国とロシアの同盟が成立し、米国と真っ向から対立するシナリオは最大の有事シナリオ。

朝鮮半島:北朝鮮の核

北朝鮮はミサイル・核の実験場としても機能しており、常に火薬庫のまま。北朝鮮の核脅威は大きい。国家の崩壊リスクも抱えており、いつ活動が活発化するかわかりません。韓国がどう行動するかも不明であり、半島情勢は日本も注目です。

中東:イラン対サウジアラビアなど

中東地域は原油を生産できるようになったことで、米国が力を弱めていく地域。すなわち、どの国が支配力を掴むかカオスが続いています。相変わらずのイスラエルもあって、とにかくややこしい政治の続く地域。

サウジアラビアとイランの二大国による対立が、もっともキーとなる対立構造。それだけではなく、原油をめぐる争い、ロシアの南下、ISやアルカイダなどテロ組織の活動と複雑な政治構造を持っています。

シリア内戦

2018年12月、トランプ大統領が、IS(イスラム国)の打倒に成功と宣言。しかし、シリア政府と反政府軍の内戦が再開。停戦・攻撃再開と内戦状態は続いています。米国・ロシア・トルコ・イランなどの国々が支援する勢力の小競り合いが、また、ISのような存在を生む可能性あり。

トルコのエルドアン政権

かつては親米・西側諸国の一員としての立ち位置。NATOにも加盟中。しかし、近年エルドアン政権による西側民主主義国のモラル・主義に反した行動が増えており、米国・ドイツなどとの関係が悪化。

中東地域の大国であり、トルコがどこの国と協力関係を築くかで勢力バランスが変化しかねず、注目を集めています。

いくつか代表的な有事が起きそうな地域をご紹介してみました。これ以外にも多くの国が火種を抱えており、水面下で有事の金買いをしておくのもいいのではと思います!