投資信託を運用する会社、販売する会社

投資信託

たまに、勘違いをされている方を見かけます。「この投資信託は、●●銀行の投信だから、きっと大丈夫」などとおっしゃるのです。投信は、運用会社、販売会社、信託銀行という3つの機関が関わっています。

それぞれの役割を確認しておきましょう。

銀行や証券会社は、小売店

投信は、あなたが銀行で申込をしたとしても、銀行はただの取扱窓口です。その投信を、銀行が「販売」しているだけ。銀行が投信を「運用」しているのではありません。

投信を一般の商品に例えると

銀行や証券会社は、商品を棚に陳列し、販売している小売店です。メーカーとなるのは、「○○投信」「▲▲ファンド」という名の運用会社(委託会社)。投信の運用をしているのは、運用会社です。

例えば、家電製品で考えてみると、銀行や証券会社は家電量販店や街の電気屋さんです。運用会社(委託会社)は、家電メーカーになります。

銀行や証券会社は、販売のプロ

銀行や証券会社は、販売会社です。投信の特徴や使い方を説明し、販売を行います。

販売店は、大きく分けると、対面型と非対面型があります。街の中に店舗を構えた銀行や証券会社は、対面型です。インターネットやスマートフォンで口座開設申し込みをしたり、購入や解約の手続きをしたりする非対面型は、「ネット証券」「スマホ証券」「ネットバンキング」などと呼ばれます。

以前は系列親会社が幅を利かせていた

昔から、街の電気屋さんは、ナショナルショップ(今のパナソニック)、日立のお店、東芝のお店というように、メーカーの家族のような関係で電化製品を販売していました。家電量販店が台頭した今、国産のみならず海外メーカーの家電も、量販店では比較しながら購入できます。

投信も同じです。銀行や証券会社でも、従来は系列の運用会社の投信だけを取り扱うだけでした。今では、外資系や系列に属さない独立系の運用会社が増え、販売会社が取り扱う投信のラインナップが豊富になっています。

投信の運用会社は、いわばメーカー

販売専門の会社である銀行や証券会社は、投信の運用は行っていません。ノータッチです。顧客に投信つまり商品を案内し、商品説明をし、購入資金を集めることが販売会社の仕事です。運用成績の良しあしは、メーカーの役割である運用会社(委託会社)の能力に委ねられています。

一般に、商品のメーカーは、研究開発に力を注ぎ、品質の良い、消費者の使用目的に合った商品を製造します。投信の運用会社も同様です。常に運用環境をチェックし、分析を行い、投信の純資産が増えるための業務を行います。消費者ニーズにも目を向け、消費者つまり投資家の運用目的に合った投信を作ります。

販売店会社を通さない、メーカー直販も

メーカー直販の投資信託も品ぞろえが増えました。銀行や証券会社を通さずに、投資家が運用会社と直接、取引するのです。直接販売の略で「直販の投信」と呼ばれています。販売会社にかかるコストが抑えられるため、一般に、直販の投信は販売手数料が安めです。手数料がゼロ円、という投信もあります。

販売会社ごとに販売手数料が違う場合も

投信の販売手数料率は、運用会社が、ある低の幅を持たせて提示します。その幅の範囲で、販売会社が決定します。同じ投信でも、販売会社が違えば販売手数料が違う場合もあるのです。

また、販売店独自の戦略として、投信の販売手数料が無料のキャンペーンや、ポイントアップサービスなどを行う金融機関もあります。また、非対面型の販売会社は、人件費や店舗の維持にかかる費用を抑えることができるため、販売手数料が安い傾向です。

信託銀行は、金庫の役割

投信の総資産は、投資家から集めたばかりの現金や、運用中の株式や債券などの証券です。これらの資産は、信託銀行に保管されています。信託銀行は投信の補完や管理を行う機関です。

投信の総資産は、信託銀行独自の資産とは別に保管しています。このことを「分別管理」といいます。投信の純資産は、信託銀行自身の資産とは別に管理されています。万が一、信託銀行が破綻したとしても、投信の資産は守られます。

まとめ

投信を購入する時に、目の前で説明をしてくれた金融機関は「販売会社」。投信の運用をしているのは「運用会社」で、「○○投信」「▲▲ファンド」などの名称です。投信の資産を保管しているところは「信託銀行」。投信の資産は分別管理されているので、3つのどの機関が破綻しても、投信の資産は守られる仕組みになっています。