前回の記事で、テレビや新聞で報道される為替レートは、金融機関同士が取引するいわば業者同士の価格。これを銀行間レート・インターバンクレートと呼び、一般の投資家が取引するレートとは違うことをお伝えしました。
今回は、外貨預金やFXで取引する価格について、取引会社によって微妙に違うというお話をしていきます。
目次
なぜ、外国為替の取引価格は、会社によって違うのか?
同じ外貨預金・FXでも、取引銀行(会社)によって、取引レートが違います。
こちらは、みずほ銀行と三菱UFJ銀行が公表している外国為替相場です。
外貨預金を取引する場合、この価格で外国為替の売り買い(交換)をすることになります。
※2021年8月3日の外国為替相場
英ポンドの価格を見てください。
みずほ銀行は、TTS(あなたの買値)が155.94円なのに、三菱UFJ銀行は155.96円とわずか2銭ながら差がありますよね。
同じ英ポンドなのに、こういうことが起きるのです。
株式取引の場合、どこの証券会社で取引しても、売買日時が同じなら価格は同じですが、外国為替相場は前回お伝えしたように、相対取引です。
そのため、取引価格は、銀行(取引会社)によって、違って当たり前です。
例えば、電気製品も価格比較サイトで調べると同じ製品なのに、値段が違うのと同じです。
もちろん、あまりにも変なレートを出す会社は、淘汰されていきます。
そのため、市場の一般的な相場と大きく違う価格を出すところは少ないでしょう。
売買する時の価格が取引会社・金融商品によって違う。
特に、短期売買を活発に行う投資家にとって、価格はとても大事です。
株式取引が長い方は、この点に戸惑ってしまい、心を乱してしまうことはしばしばあるでしょう。
大事なのは、指値注文での取引です。なぜなら各会社によって、取引レートの違いが、トレーダーの利益に影響してくるからです。
ここで外国為替証拠金取引における注意点が一つ挙げられます。
さて、指値注文とは、今すぐ売買するのではなく、「いくら以上の価格で買い・いくら以上の価格で売り」というように、買いたい(売りたい)価格を指定して注文を出す方法のことをいいます。
それゆえに、取引会社によって値段が違えば、こんなことが起きるのです。
現在値が、110.00円。
もう少し下がってから米ドル(米ドル/円)を買いたいと考えて、109.50円以下になれば買うという指値注文をしました。
- A会社:109.50円に達したため、買い注文が成立。
- B会社:安値が、109.51円までだったため、1銭の差で、買い注文が不成立。
このように、同じ値段で指値注文を出していても取引会社によって、注文が成立しないということがありえます。
まとめ:短期のトレーダーは特に重要
外貨預金の場合、中長期投資がメインとなります。
そのため、そこまで細かい価格について気にする必要はありません。
しかし、FX(外国為替証拠金取引)を中心に、短い取引期間で売買を行いたい方は、会社によって、価格が違うことを意識しておくことが必要です。
短期トレードを行う投資家は、複数の会社のレートを確認して売買すること。
もし、レートに不信感を抱くことがあれば、問い合わせをしたり、他の会社に取引を移すことを考えましょう。