ついに来た:2021年冬は、エネルギー危機によるインフレ勃発か!?

エネルギー インフレ

日本はまだまだですが、世界はインフレの波に突入。これから冬が来るのに、エネルギー価格や食料価格が高騰しています。生活必需品やエネルギー価格の上昇は、民衆の不満に直結する危ないサイン。寒い・食えないとなれば、政府や企業に対して、言葉と暴力で不満をぶつける可能性が高くなります。

かつて、オイルショックやアラブの春が起きたように、世界中の政治・経済を混乱させるリスクが拡大。

そして、ゴールドは、インフレヘッジの役割と長期金利上昇による下げの綱引きの中、高値推移。これから、ますます、金投資に注目が集まると思います。

インフレが起きている3つの原因

今回、インフレが起きている原因は、コロナパンデミック。すべての仕事をテレワークで行うわけにはいかず。また、生産を担う人の死去。ロックダウンや移動制限による流通網の寸断などのせいで、スムーズな生産・流通ができなくなりました。

・新型コロナのパンデミックによる金融緩和
・パンデミックによる生産・供給網の乱れ
・経済回復による需要増加

半導体不足は、深刻で、コンピューター系はもちろん、給湯器やガスレンジなど多くの部品が不足しており、流通に乱れが生じています。壊れた給湯器の交換に2~3ヶ月かかるなどという話も出ています。寒い冬にお湯が出ないのは笑えない話。

日本国内のレギュラーガソリン価格は、1リットルあたり160円ちょうどと三年ぶりの高値(2021年10月4日 経済産業省)。そして、EUのエネルギー価格は、8月に消費者物価ペースで前年比+11.0%まで上昇。

景気回復によるエネルギー需要の増加

ワクチン接種の進んだ国では、パンデミックからの回復が現実化。スタジアムは、防御策を講じながら、スポーツやライブを開催。こうして、経済がもとに戻るスピードに追いつかないのが、生産・物流網。2年近くのパンデミックで寸断された生産をすぐに戻すのは難しい。

そのため、各国で国境をまたいだ移動がさらに増えれば、エネルギー資源をはじめとしたモノ達は、供給不足に陥ることになります。

さらに、エネルギーインフレに拍車をかけているのが気候対策。

SDGs(持続可能な開発目標)は、只今、政治経済で大事な言葉。気候変動対策のため、化石燃料から再生可能エネルギーへの切り替えが、世界中で行われています。日本も、各地で、太陽光発電を推進していますからね。使わなくなった土地を有効利用していく分には、とてもいいことだと思います。

ただし、デメリットは、安定した電力供給に難ありということ。⇒今年の欧州は、天候悪化で、発電量が低下するという事態に見舞われました。

そして、中国は、電気新聞の報道によると、温暖化対策のため、化石エネルギーの使用抑制指示が出たため、電力不足が深刻化。

欧州・中国のエネルギー不足で、天然ガス・原油ともに上昇し、インフレ率をぐぐっと押し上げているのです。

天然ガス 先物価格

天然ガスの先物価格:月足チャート

長く続いていたレンジ相場をブレイクし、上昇トレンドへ。

原油価格は、100ドルを目指す?

原油価格は、75ドルを突破し80ドルを視野に。もし、今冬、寒波などでエネルギー不足が深刻化すれば、WTI原油価格は、100ドルを超えていく可能性も指摘されているほど。産油国からは、100ドル超の価格を維持していくのは、困難などの話が出るなど。すでに、原油価格が100ドルになったらどうしようという議論をしている様子です。

原油価格

WTI原油価格の月足チャート

これまで、米国の中央銀行(FRB」は、インフレについて一時的との見解。イエレン財務長官は、年末4%、その後に2%に低下すると、まだ楽観視を止めていません。春にお伝えした通り、FRBは、インフレという魔女をあしらう必要があります。

これ、楽観視していていい状況でしょうか。もちろん、いずれは、供給網はもとに戻るはず。インフレによって、物の生産量が増えるのは、価格メカニズムの本筋ですからね。ただし、それに、株価が耐えられるのか。本来、株価を見て、経済・金融政策を決めるのは、本末転倒。株価は、経済の一要因に過ぎず、下落するのもまた自然なこと。でも、今の中央銀行と政府は、株価重視の政策を取らざるを得ず。下落を放置することはできないでしょう。

・消費者物価指数(CPI)【前年同月比】:2021年1月:1.4%⇒4月:4.2%⇒8月5.3%

インフレ率が上昇していけば、最初にお伝えしたように、国民の生活に影響が出てきてしまい、政府と中央銀行に対するプレッシャーは強まります。2%のインフレは目標通りでも、4~5%のインフレが当たり前になるのは、なかなか厳しい。

そのため、インフレ率が高くなれば、インフレを止める政策である金融引締め・利上げを急ぐ必要が出てくるのです。

インフレ率が高くなれば、FRBの金融政策は、引き締めへと転換。

2021年後半に、量的緩和のテーパリング(段階的な縮小)をはじめようとしていたFRB。インフレ率次第で、テーパリングや利上げスピードが早くなる可能性があります。景気動向次第では、2022年中に、金利を引き上げる利上げを行う可能性があります。

インフレ FRB

そうなると、株式市場の下落や景気悪化のリスクが顕在化。つまり、今後は、インフレ率の上昇を止めながら、景気や株価を維持するという難しいミッションの達成が求められるのです。これこそが、以前より危惧されていた量的緩和の罠。

これによって、株価が大きく下落すると、現金化の動きで、ゴールドも売られる場合がありますので、要注意です。もし、その後、量的緩和の再開があれば、ゴールド最大のチャンスが来たと思いましょう。