投資判断は「ファンダメンタルズ」と「テクニカル」どっちが大事?

投資判断は「ファンダメンタルズ」と「テクニカル」どっちが大事?

株式投資を始めたばかりの方から、「投資銘柄の判断には、ファンダメンタルズが大事か、それともテクニカルの方が大事か」という質問を受けることがあります。

ちなみにファンダメンタルズ分析とは、業績や財務の内容を重視した投資判断。テクニカル分析とは、株価チャートの動きを見て投資判断をすることです。

結論は「どちらも大事」

結論から言えば、どちらも大事です。ただ、人によって投資の好みや目的が違うため、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のどちらに重きを置くかが違ってきます。

多くの投資家は、良い会社の株式をできるだけ株価の割安な時に買うために、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を使っています。消費者の買い物に置き換えると、「良いものをより安く」という意識に近いのではないかと思います。

良いものを選ぶ=ファンダメンタルズ分析

日常の買い物で「良いもの」を選ぶ際、品質に目を向けるのと同じように、投資したい銘柄の品質をチェックするのが「ファンダメンタルズ分析」です。具体的には、その会社の業績や財務の内容です。

業績とは、売上高や利益など。財務とは、会社の資産や借り入れなどの状況です。例えば、「過大な借金がなく、売り上げが順調に伸びている」という会社の株式を選ぶようなことです。

割安に買う=テクニカル分析

ネットなどで株価情報画面を開くと、株価のグラフが表示されます。株価のグラフを「株価チャート(または単にチャート)」といい、過去から現時点までの株価の動きが示されています。チャートを見ると、現在の株価水準が割高か割安か、これまでどのような値動きをたどってきたのか、などが分かります。

良いものをより安く

王道は「まずはファンダメンタルズを見て銘柄を選び、その銘柄のチャートから売買のタイミングを判断する」という使い方。投資家によっては「長期投資が目的なので、少々の値動きは気にしない」とか「頻繁に売買をしたいので値動きを重視したい」などと、ご自身のスタンスに合わせ、アレンジした使い道もあります。

「良いものをより安く」というコンセプトで株式投資を行うならば、まず、業績や財務を見て「良いもの」を数銘柄選びます。1つの銘柄に絞らずに、複数をピックアップすると良いでしょう。それぞれ値動きのタイミングが違うからです。また、候補の銘柄が絶対ということはあり得ませんので、選択肢として複数銘柄を挙げておくことをお勧めします。

次に、選んだ銘柄のチャートで株価の動きを確認します。投資初心者は、今の株価の位置が、単純に高いか安いかを見るだけでもOK。株価水準を見て、「買いたい気持ちになるかどうか」を確認します。買いたいと思えば買ってみれば良いですし、今は買う時期ではないなと思えば、定期的にチャート画面を確認して、機が熟した時に買うことにします。

良いものを妥当な価格で

ただし、投資経験を積んである程度慣れてきたら、一度ご自身の考えを確認してみることをお勧めします。不慣れな投資家は、単純に数字としての株価が低ければ「安くて良い」と考え、株価が高ければ「高くて買う気がない」と考えてしまいがちです。

ですが、安いなら安いなりの、高いなら高いなりの理由があるはずです。他の投資家が見向きもしない銘柄だから株価が安い、ということがあります。とても魅力的で、多くの投資家が欲しくてたまらない銘柄だから株価が高い、ということもあります。これを見極めるのは大変難しいのですが、こういう時にこそ、ファンダメンタルズに立ち返って頂きたいのです。

ヒット商品が業績を押し上げた、社長の経営手腕が素晴らしい、将来性のある商品を開発した、などと、株価を押し上げる正当な理由があったとしたら、高い株価でも価値に見合うと言えます。「良いものをより安く」と思っていても、魅力が増しているのであれば、「振り返ればあの時が一番安かった」ということにもなりかねません。

そうなると、「より安く」にこだわるより、「妥当な価格で」と考える方が適切です。その判断にはファンダメンタルズ分析が欠かせません。結局、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、投資判断の両輪と言えます。

投資判断は、「こうでなければならない」という一つの形があるわけではありません。経験を積みながら、ご自身の考え方に合った判断の方法を見つけ、それを実践するのが良いでしょう。

まとめ

会社の内容が大事なのか、売買のタイミングが大事なのかは、その投資家の好みや考え方によって違います。1人の投資家が「この銘柄は業績重視、この銘柄はタイミング重視」と使い分けることもあるでしょう。

投資経験を積むに従って、ご自身の投資方針が固まっていくかと思います。その方針に沿って、「良いもの」をファンダメンタルズ分析から発掘し、「より安く」または「妥当な価格で」買うためのテクニカル分析を行う―――といった使い方が良いのではないでしょうか。