経済危機が起きれば米ドル不足で買われやすい、外貨投資の知っておきたいセオリー

外貨投資 セオリー

中国恒大集団の債務危機・エネルギー価格の高騰・インフレと経済危機につながるかもしれない芽がいくつも出ていますね。

もしも、経済危機が本格化すれば、安全通貨「ドル」への需要が高まり、逆に、新興国の通貨や株式は下落する可能性があります。これ、外貨投資のセオリーとして大切です。

合言葉は、危なくなった時は、「米ドル」

基軸通貨&安全通貨として米ドル需要の高まり

基軸通貨であり、安全通貨としての役割を持つ米ドルは、経済危機が起きた時、需要が増えて、米ドル不足や米ドル上昇が起きやすいという特徴があります。

2007年のサブプライム危機~リーマン・ショック~世界金融危機の時も米ドル不足によるドル高でした。2020年の新型コロナウイルスパンデミックの時も一時的にドル不足によるドル高。

米ドル インデックス

米ドルインデックスの月足チャート

・2008年:リーマン・ショックからの金融危機
・2014年1月から10月:FRBのテーパリング(段階的な量的緩和縮小)
・2020年:新型コロナのパンデミック

なぜ、経済危機時は、米ドルの需要が高まるの?

基本的に、国際的な貿易決済で使われるのは、基軸通貨の米ドル。なぜなら、流動性・安定性・コストとあらゆる面で米ドルが優れているからです。

日本と米国で取引を行う場合、素直に、米ドルを使えばOK。しかし、例えば、アフガニスタンの会社が他国と取引する場合を考えてみましょう。先日、タリバンがアフガニスタンを実効支配したため、通貨の「アフガニ」は、大きく下落しました。こういうことがあると商売がしにくいですよね。

実際、日本の会社が、アフガニスタンの通貨を受け取る場合、下落リスクが心配。契約した時と受け取る時の通貨レートが、全然違うなんてことが頻繁に出てきます。そのため、基軸通貨の米ドルか自国通貨である日本円で取引したいところ。そうすれば、相場変動リスクも小さく、両替や決済のコストも安い。

では、アフガニスタン側の事情を見てみましょう。自国通貨「アフガニ」で受け入れてもらうのがベストながら、それは、相手から拒否。となると、米ドルか日本円で払わざるを得ません。もし、取引先が日本の会社だけなら、日本円でもOK。しかし、様々な国の会社と取引していれば、その国ごとに通貨を用意するのは大変。ならば、どこの国相手でも取引できる基軸通貨「米ドル」でとなるのは必然。

さて、通常時でさえ、このように、米ドル中心に決済が行われています。ここに、経済危機が生じればどうなるかをイメージしてください。

経済危機時は、価値の安定している安全通貨がほしい

経済危機は、多くの資産が下落や乱高下に見舞われる状態。そんな状態で、価値の安定していない通貨は、誰も受け取りたくありません。そこで必要になるのが、「米ドル」。

経済危機下では、流動性・価値の安定の2つが大切。そして、米ドル需要が高まれば高まるほど、価格も高くなりやすい。逆に、新興国は、自国通貨が安くなりがち。

経済危機 安全通貨

しかも、新興国や途上国が、外貨で借りているお金=外貨建て債務は、米ドル建てが約2/3。もとから、米ドルの比重が高い。

これ、外貨投資的観点から見ると、経済が好調で拡大している時、米国のドルは、どんどん供給が増え続ける構造になりやすいということ。つまり、供給が増えれば、ドル安になりやすい。

◆世界的な経済好調時は、米ドル安新興国通貨高に動きやすいというセオリーにも繋がります。もちろん他の要因もあるので、一概には言えないことはお忘れなく。

そして、経済危機が起きると、逆の動き。経済危機⇒米ドル高自国通貨安⇒米ドル建て債務の負担が重くなる⇒危機の深刻化という負のスパイラルに落ちてしまいます。

つまり、経済危機時は、米ドル高になりやすいということ。新興国通貨に投資しようと考えたとします。経済危機時は、一番まずい状態だということです。