中国政府が、2021年に打ち出した新たな方針。これ、富裕層が資産を守るため、ゴールドや暗号資産にお金を移していくきっかけになるかもしれません。
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習近平主席の新しいスローガン。「共同富裕」で、資産を守る動きが加速
その方針は、「共同富裕」。みんなで豊かになろうというのは、耳に心地よいですね。しかし、この目標を達成できた国は、資源豊かな国以外にありません。ソ連もかつての中国も北朝鮮も・・・どうなったかは歴史の教科書に載っています。
資本主義に大きく傾いた天秤を共産主義に揺り動かす可能性があるこの政策。市場経済を知った中国企業・中国人達は、おとなしく従うのでしょうか?
資産家達の抵抗は、凄まじいと思います。これまで、必死にためた資産をやすやすと差し出すことはないかと。こういった事態を想定して、これまでも動いていたはず。自分の資産を掴まれやすい不動産・株式からゴールドや暗号資産へと資産を移す動きも加速するのではないかと思います。
共同富裕で格差を縮めることができるのか
共同富裕。今後の中国経済の動きが変わっていく大きなターニングポイントになる大きな動きです。上手くいけば、格差を減らすことができ、世界にも大きなヒントを与えるでしょう。
世界的に、格差拡大が問題になっているのは明らか。米国の若者たちが、サンダース氏の民主社会主義という考え方に熱狂したように、広がりすぎた格差は、21世紀の大きな問題です。そして、トマ・ピケティ氏が、21世紀の資本論で主張したように、富裕層への課税という実験を中国が始めてくれると考えることもできますね。
しかし、悪い方向に進むと、経済や文化破壊などにつながるかもしれません。その場合、リーマン・ショックや文化大革命というネガティブなキーワードが浮かんできます。
共産党政権とゴールド・暗号資産の闘い
忘れてはいけないのは、中国が共産党政権だということ。格差拡大を許せば、政権の正当性がゆらぎます。ここは、共産党政権、最大の正念場です。経済発展を潰さずに、上手く軟着陸できるかどうか、世界が見守る壮大な闘いの鐘が鳴りました。
資産家達は、どのような手段で、これに対抗するのでしょうか。一部の資産を差し出すくらいは想定内。しかし、度を越えれば、国外脱出・政権への反発・資産隠しとあらゆる手段を活用することになります。
金投資や暗号資産にとっても、歴史上、何度もあった私有財産の制限に対する対抗策として機能するかどうか注目する機会がやってきたといえるでしょう。特に、暗号資産にとって、政府との本格的な闘いは、初めての試練です。
高税率、寄付の強制などで、この政策を推し進めていけば、私有財産=悪につながりかねず、金や暗号資産で、隠し資産を貯める動きが強まる。それは、過去の中国王朝で置きてきた官僚及び商人の汚職・腐敗を強める方向ですね。庶民の怒りが、さらに激しくなるでしょう。
難しいですね。
「共同富裕」のスタートは、こちらから
- 合法的な所得の保証
- 過剰な高所得の調整
- 税制改革
- 慈善活動での寄付
最初は、妥当な政策から始まります。しかし、中国のブロガー李光満氏による「資本中心から人民中心への変革」などという言葉を見る限り、共産主義志向を強める方向に待ったなし。
芸能やゲームへの厳しい制限スタート
さらに、芸能人の人気ランキング禁止やゲーム制限も侮れません。人気女優・鄭爽の巨額脱税摘発、同じく少林サッカーなどで有名な女優の趙薇(ヴィッキー・チャオ)が、作品のクレジットから消されるなど、文化方面への締め付けもスタート。こうなると、欧米側とのすれ違いが大きくなり、欧米日と中国の関係にもヒビが入ってくる可能性があります。
ゲームの制限厳しいですよ。18歳未満は、平日のゲーム禁止。週末に1時間だけ許可。そのせいで、大手ネット企業のテンセントは、株価が約4割下落し、なんと、40兆円が吹っ飛びました。
中国は、鎖国に向かうのか
これら、一連のニュースを見ると、何だかんだと近づきつつあった中国との距離が、再び遠くなりつつあるのではと思ってしまいます。明の海禁政策・共産中国に続く第三の鎖国が始まるのではという予感がいたします。
これまでのチャイナ・ショックは、過剰融資や不動産バブルの崩壊という経済面が心配されていました。資金難が続く不動産開発大手の恒大集団(エバーグランデ)のデフォルトリスクもくすぶったまま。少し不動産価格が下がれば、中国版リーマン・ショックのリスクを抱えています。それらもあって、今の中国経済や不動産は、リスクが大きい。
そして、今後は、経済だけではありません。文化やイデオロギーそのものに対する注意が必要です。中国が何を規制するのか。共同富裕の名の元に、私有財産をどう扱っていくのか。それ次第で、金融市場の動きは大きく変わります。そして、膨大な中国人の資産がゴールドや暗号資産・日本の不動産などに流れ込む可能性があります。これら、中国人にとっても代替資産の値動きに注目しておきましょう。