「インデックスファンドとアクティブファンド、いったいどっちが儲かるの?」というようなご質問は実際あるため、筆者も返答に困ってしまうことがよくあります。
というのも、以前ご紹介したコラム、経済成長に賭ける!という発想が「インデックス投資」や、独自運用で企業成長に賭ける「アクティブ・ファンド」でお伝えしてきたように、一般的にはそもそも、判断基準の目安や解釈の仕方が異なるアプローチであるため、同じ土俵で比べること自体に意味があるとは思えないのです。
もちろん、正解があるわけではありませんので、最終的には「あなたが決めること」になってしまいますが、主に投信による長期積立投資家が、今後とくに注目しておいて損はないという視点についてご紹介しましょう。
目次
コロナ禍で明確になった商品格差
コロナ禍による株価暴落局面から回復局面、そして上値追い局面で、テーマ・業種によって、コロナショック後の安値からの株価の回復度合いには大きな差が生まれ、巣ごもり消費関連やビッグ・テックなどのプラットフォーマーの株価が、特に大きく上昇した「K字回復」は記憶に新しいでしょう。
アメリカの主要株価指数である「NYダウ」「S&P500」「NASDAQ100」においても、たった1年半弱で大きな差が発生しました。
コロナショック後安値から2021年7月27日までの高値(終値ベース)
※米国NASDAQ(ナスダック)市場の代表的な企業の株式で構成される株価指数(2021年7月26日現在102銘柄)です。NASDAQ市場全体の時価総額の7割程度を占めます。(2020年12月時点)
実はこの動きは、すでにコロナショック以前にも差が顕著になっており、直近5年単位でみても、各インデックス(NYダウ・S&P500・NASDAQ)を5年前と比較すると、下記のようになっています。
NYダウ ⇒ 約1.9倍
S&P500 ⇒ 約2倍
NASDAQ ⇒ 約2.9倍
筆者が「0円投資」で実験をしている積立投資については、すでにコロナショック以前より、NASDAQ100や次世代テーマ投信への投資を行っていたため、予想以上のペースで積立資産を増やすことができました。
あくまで結果論という話にはなりますが、時代の大きな変化が訪れると、この差が実は後から大きな差になってしまうのです。
待望されるインデックスファンドのさらなる充実
上記でお伝えしたかったことは、未来を予測するとか、良いインデックスを選びましょうという話ではありません。
ドルコスト平均法(定時定額投資法)による長期積立投資で資産形成をしていく場合において、全世界株式やS&P500などの人気インデックスのインデックスファンドだけではなく、他にも選択肢はあるよということです。
どういう働き方をしているのか、積立投資をいつまで継続するのか、残された積立年数は何年かなどにもよりますが、筆者として個人的に最終的な投資先は、全世界株式に集約する予定ではいますが、そこにいたるまでの投資先はいくつもの選択肢があります。
ただし、どの選択肢が結果的に有効だったかは、実際に積立投資をしてみないとわかりません。わかりませんが、より細分化されたインデックスの登場・充実が望まれるところです。
ETF(上場投信)においてはかつてより細分化されてきていますが、円建てETFがまだ物足りなかったり、少額積立をベースに考えると、ETFよりもインデックスファンドのほうが使い勝手が良くなります。
筆者がまずは新規設定してほしいと願っている、低コストのインデックスファンドは、「日米を除く先進国株式」や「アメリカを除く先進国株式」「ラッセル2000」、日本国内では成長市場・新興市場に特化したもの、といったところでしょうか。
残念ながら、コロナショック後の株価回復ペースにばかり焦点があたっているため、NASDAQ100の動きが目立ちますが、インデックスとしてのNASDAQ100の優位性は、すでにコロナショック以前に明白となっていました。
この事実にどうやって気づけるのか、気づいたとしてどう活かせるか。初心者投資家ではない方や、中級者へと成長途中にある方には、とても重要な視点になるだろうと確信しています。
「未来格差」を生む現状把握と歴史教育、そして想像力
このスキルを身につけるか否かで、今後も資産形成において「未来格差」が発生してしまうでしょう。一般的な、少額による長期積立投資をしているのに、その積立てる方法が少し異なるだけで、大きな差が生まれる可能性が高まっているのかもしれません。
では、どうすれば気づく力が身につくのか、事実を見てわかるようになるには何が必要なのか。未来格差の負け組になってしまうことを防ぐポイントは、「現在・過去・未来」を可能な範囲内で学ぶことです。
現在とは、いま目の前で起こっている事実のメカニズムをより詳細に把握することです。主にニュースや新聞などを読み、その因果関係などや将来への影響などをイメージできるようになっておくことです。
過去とは、人類の歴史上、かつて起こった大きな変化や、特筆すべき変化のメカニズムを知っておくことです。農業革命・産業革命などを始め歴史を学ぶこと、特に世界史や地理なんかがメインになるかもしれません。
「歴史は繰り返さないが韻を踏む」とは筆者が好きな言葉のひとつですが、めまぐるしい歴史上の多くの展開を通じて、人間の行動の特徴やクセ、心理的傾向によって、ある程度の方向性をなんとなく理解し、
いま起こっていることの延長上、あるいは一見、まったく関係ないと思えるくらいの急激な変化がもしかして起こりうるかもしれない、ということなどをイメージできるようになっておくことです。
このような視点は、経営者の方であればピンとくるかもしれません。
単純で退屈な長期積立投資による資産形成を継続しつつ、本業に集中するのはもちろん良いですが、積立投資を通じて「現在・過去・未来」を学んでおくことも、そのまま本業のビジネスにも通じることでもありますので、これはこれで有効でしょう。
あまり難しく考える必要はまったくなく、日常の情報収集、歴史教育をベースに、未来をイメージすることを繰り返し続けていくだけで、結果は全然異なってくるでしょう。筆者が証券営業時代に成功した投資の発想で、最も大きな成果をあげたきっかけが実は、まさにこのあまりに抽象的なアプローチだったのです。
次世代テーマ型投信3選
最後に、話題の次世代テーマ型投信をシリーズで扱っている運用会社のうち、3社のラインナップをご紹介しておきましょう。
ぜひWEBサイトを覗いてみてください。テーマ株投資は投資のセオリーとしてはあまり好ましくない手法とされていますが、近視眼的な短期間のパフォーマンスにとらわれることなく、時代の変化や技術革新の大きなうねりを感じていただきたいと思います。
なにか面白い発見に出会えるかもしれませんね。