独自運用で企業成長に賭ける「アクティブ・ファンド」

独自運用で企業成長に賭ける「アクティブ・ファンド」

前回は、投資信託(投信)の選び方でよくあるご質問・テーマのうち、「インデックスファンドとアクティブファンドはどっちが良いの?」という点について、インデックスファンドに対する考え方・解釈の仕方の一例をご紹介しました。

今回はもうひとつの「アクティブ・ファンド」について、ご参考になれば幸いです。

アクティブファンドは「企業成長」に賭けるオリジナル投資法

アクティブファンドを明確に定義するのはなかなか難しいのですが、運用の専門家(ファンドマネージャー)が独自の運用方針に従って、投資対象を調査・選別し、投資割合を決めたり投資タイミングをはかりながら、経済情勢やマーケット環境に応じて、投資対象の売買を行う投資法です。インデックスファンド以外はほとんどアクティブファンドだと思っていただいても間違いではありません。

インデックスファンドはベンチマーク(運用評価の判断基準)が各インデックス(日経平均株価などの指標)となっており、それと連動させる運用が目的ですが、アクティブファンドはベンチマークがインデックスの場合は、それを上回る運用成果を目指し、ベンチマークが参考程度であったり、そもそも設定されていない場合などは、ベンチマークにとらわれずに長期的に成長し続ける運用成果を目指していたりします。

インデックスファンドが世界・国・地域に含まれる各インデックスの「経済成長」に賭けるイメージでした。

一方アクティブファンドは、一般的には投資対象となる銘柄数などがインデックスファンドよりも少ない傾向にありますので、世界・国・地域の成長というよりはどちらかというと、投資対象の業界や個別の企業成長などに賭けるイメージになります。

そして、アクティブファンドのメリット・デメリットのような話は、すでに各媒体でも多く存在しておりますので、ここではその他、運用方針などの特徴をご紹介していきましょう。

アクティブファンドの運用方針の特徴

現代において、アクティブファンドを運用する専門家は、以前よりも大変な時代になってきているといえるかもしれません。

企業の情報開示やIT化、自動化が進展、ファンドマネージャーと一般投資家との情報格差や発注スピードなどにおける格差が急速に縮まってきています。特に株価暴落時やマーケットの混乱時に損失を抑え、株価急回復時に利益を拡大させることは、インデックスファンドと比べると簡単なことではありません。

とはいえ、アクティブファンドの投資戦略や市場分析、国家戦略に基づいた有望分野への投資判断などは、我々一般投資家の投資行動のみならず、日常の仕事、ビジネスにおける経営戦略・営業戦略などにもヒントになるようなアプローチ、分析、レポートなどが豊富に取り揃えられていることも少なくなりませんので、とても参考になることも多くなっています。

「トップダウン」と「ボトムアップ」

トップダウンアプローチ

GDPや物価、財政・金融政策、家計の消費活動など、マクロ環境の分析や将来予測に基づき、国・地域や特定分野への資産配分を決定し、さらに個別銘柄を決定する運用手法です。より大きな視点からより個別具体的な視点へとシフトしていきます。

ボトムアップアプローチ

個別企業の成長性や財務内容などをリサーチ・分析することにより、いま割高なのか割安なのかなどの投資価値を判断し、その積上げによって組入資産の内訳や資産配分などを決定していく運用手法です。将来、株価が大化けするような企業を発掘していくような、中小型株への投資などもこれに含まれます。

運用方針や投資対象、どれくらいの収益を追求していくかなどによって、両方を組合わせていくこともあります。

「バリュー」と「グロース」

バリュー運用(割安株投資)

個別企業の利益や資産など、一定基準に対して割安、過小評価されているなどの投資対象に投資する運用手法です。現在の株価が利益や資産に対して、割安な水準のまま放置されていたり、配当利回りが高い株式などを組入れていきます。

グロース運用(成長株投資)

個別企業の収益や成長性などを基準に、投資対象を組入れていく運用手法です。国家戦略、市場展望、商品開発力、技術力、製品競争力、業界、業態などから、一定基準に対して利益成長が見込める株式などを組入れていきます。

その他にも、金利動向や返済能力、金・原油などの商品、複雑・特殊な運用手法の組合せなど、様々な運用方法があります。

最終的には運用哲学や価値観を大切に!

このように、アクティブファンドの基本的な運用方法には様々なパターンや組合せが存在していますが、いつも結果を出せるかは未知数であり、時代背景やマーケット環境によって、どの戦略がより大きな成果を出せるかは結果論になってきます。数ヶ月~数年などの短期間で、その運用手法の良し悪しを判断することは難しいでしょう。

アクティブファンドを好む投資家としては、運用手法そのものにおいても、ひとつの戦略に頼らずに分散投資していく必要がでてきます。

また、運用の専門家によるセミナーや勉強会、書籍やメディア情報なども参考にしていただきながら、このファンドマネージャーの考え方なら共感できる、この運用方法のベースになっている価値観に共感できるとか、あなた自身の投資に対する価値観なども考えてみながら、長くつきあえるアクティブファンドと出会えることを願っています。