資産運用や投資を始める際に、どのような金融商品に対して投資を行なうのかは非常に重要な判断になります。
自分の大切なお金をそれらの金融商品に対して投資するわけですから、選ぶことに関しての知識や情報は必ず得る事をお勧めします。
それはどうしてか?それぞれの金融商品によって性質が全く変わってくるからです。
今回の記事では、皆さんがよく聞く金融商品の「株式」と「FX」を見比べながら、投資や運用、金融商品という一言でまとまっていてもどれだけ性質が違うのか?投資の際にはどのような点に注意が必要なのか?という点について話を進めて行きたいと思います。
目次
株とFXの7つの違い
株とFXどっちがいいのかを把握するためにもそれぞれの性質の違いをあげながら、説明をしていきます。
違い1:株とFXでは、投資対象が異なる
株とFXでは、投資対象が異なります。
株は個別企業に投資し、FXは各国通貨に投資します。
株式投資は証券取引所に上場している株式が投資対象となり、証券取引所には数千~数万単位でいろいろな会社が上場しています。
その中から自分の投資目的に合った銘柄を探し出し、その企業に対して投資を行ないます。
また、日本国内の企業のみならずアメリカやヨーロッパなど海外企業への投資も可能になっています。
その他にも、各個別の銘柄(企業)を選択できるだけではなく複数の企業を組み合わせてパッケージにした「投資信託」という商品もあり、この投資信託は投資初心者にも人気となっています。
FXは、世界各国の中央銀行が発行している通貨が投資対象となります。
日本・円やアメリカ・ドル、欧州連合・ユーロ、中国・人民元、イギリス・ポンド、南アフリカ・ランドなど世界中の30種類ほどの通貨が投資対象となります。
通常、FXではアメリカドル/日本円、日本円/ユーロなど通貨ペアと呼ばれる2つの通貨の組み合わせの単位で投資を行ないます。
違い2:取引時間が異なる
株式とFXでは、取引可能な時間が異なります。
株式は時間制限がありますが、FXは平日24時間取引可能です。
株式投資は証券会社を通じた証券取引所での取引になりますので、証券取引所が開いている時間での取引になります。
日本の証券取引所では平日9:00~11:30まで12:30~15:00の合計5時間が取引できる時間帯となり、土日祝祭日には取引は行えません。
一方FXは、平日24時間取引が可能です。
世界中のどこかのマーケットで為替取引が行われているからです。これは時間と場所が限定されない為、個人トレーダーとして自由なスタイルで投資することが可能となります。
違い3:必要な資金量が異なる
株式は小さいものでも数万円から、FXは数千円からスタートすることができます。
株式は小さいものでも数万円からの投資資金が必要です。
株の場合は最低取引単位が企業ごとに異なる為、銘柄により価格が大きく違ってきますが、安全性の高い東証一部の大手企業などの株は取引単位が大きい、また株価自体が高いというケースが多く、最低でも数十万円程度の資金が必要となるでしょう。
FXの場合はFX業者によって裁定取引単位が異なっているのですが、低いところですと数千円からの投資が可能となっています。
違い4:レバレッジが異なる
レバレッジとは投資を行なう際に手元にある資金にレバレッジをかけて、数倍の金額で取引する事です。
特にFXの投資を行なう際はこのレバレッジの考え方が非常に重要となりますので、説明しておきます。
- 株式のレバレッジは1倍
- FXのレバレッジは最大25倍
株式投資の場合、現物株のレバレッジは1倍です。
FXに比べると低いと思われがちですが、金融商品としての立て付け自体がちがいますので、この違いをどのように理解して受け止めるかが各個人投資家の醍醐味になってくるでしょう。
FXは最大25倍までレバレッジをかけることが可能です。これは手元に10万円あるとした場合、250万円分の取引が出来るという事になります。
発生してくる損益の幅が25倍になるという事なので、リスクも高まりますが、大きいリターンも狙えるということに繋がります。
違い5:値動き幅が異なる
株式とFXでは値動きに関しても違いがあります。
値動き幅が大きい程ハイリスクハイリターンの投資と言えるのですが、この値動きの性質の違いもよく知っておく必要があります。
株式は1年で10倍となるケースもあれば100倍になることもあります。
一方のFXは、値動きが大きい時でも年間30%程度です。
1年というスパンで見ると随分と違いがあるように感じますが、1日という単位でみると
株式の場合はだいたい1%~30%(大企業の安全株~ベンチャー企業などの成長株)と範囲が広くなり、FXの場合は0.5%~2%程度(通貨ペアで異なる)の幅になります。
違い6:変動要因が異なる
株の場合は各企業の業績など、FXの場合は各国の金融政策、経済状況などが変動の要因になります。
金融商品につきものの価格変動要因ですが、これも株とFXでは大きく異なります。
株式の場合は各企業の業績がおもな価格変動の要因になります。決算に始まり業務提携や合併の話が出た場合、新規事業発表のニュースが出た時なども変動の大きな要因になります。
FXでは取引する通貨の国の金融政策や経済状況が主な価格変動の要因となりますが、要人の発言や政策金利の発表時などは短時間で大きな変動を見せる場合もあります。
違い7:売買差益以外の利益が異なる
株式でもFXでも売買差益以外にも保有しているだけで得られる収益があります。
- 株式の場合:配当金
- FXの場合:スワップポイント
株式の場合は、配当金と呼ばれるインカムゲインを年に1~2回もらう事が出来ます。
これは株式を保有している株主に対して企業が事業利益の一部を分配する仕組みです。
業績がよい時ほど大きな配当金を得られる場合が多くなりますが、業績が悪くなった場合、配当金無しというケースもあります。
FXのスワップポイントとは金利差調整分ともいわれる2カ国間での金利差によって発生してくる利益のことです。
日本のような金利の低い国の通貨を売って南アフリカのような新興国の金利水準が高い国の通貨を買うと、スワップポイントと呼ばれる収益が得られることになります。
株とFXを見比べていてもどちらが良いか悪いかという判断基準で選ぶことはできず、それぞれの金融商品としての特徴を踏まえた上で、自分に合ったものを選ぶという視点が重要だと思います。
各自、ご自身の投資スタイルもありますし、手持ち資金の多い少ないという事情も関係してくるでしょう。
最後に株式とFXのそれぞれのメリットとデメリットを見ておきましょう。
株のメリットとデメリット
株のメリットとデメリットは、下記の通りになります。
- メリット
- 投資対象となる銘柄が多い
- 銘柄によれば値動きが大きくなり、ハイリターンを狙える
- 配当金、株主優待という売買差益以外のリターンがある
- デメリット
- 初期の投資費用(資金)にまとまった金額が必要
- 流動性リスクが高い場合がある
FXのメリットとデメリット
FXのメリットとデメリットは、下記の通りになります。
- メリット
- 手持ちの資金が少なくてもレバレッジによる手持ち資金以上の投資が可能
- 売り、買いのどちらの局面でも利益を得る事ができる
- 取引のコストが安い
- 平日24時間取引が可能
- デメリット
- レバレッジはもろ刃の剣となる
- 大きな損失が出るケースが多い
こう見てくると、どのような金融商品に対してどちらが良いとは一概には言えないですね。
株FXどっち?:まとめ
投資初心者の方にこの株式とFXの両方に挑戦したいという考えがあるなら、下記のような順序で行う事が良いと思われます。
- まずは少ない資金、自分の負担にならない範囲の資金でFXを始める
- ある程度、金融の相場に慣れてくると、世界情勢、金融情勢に対する理解も深まるので株式に挑戦してみる
- 知見が増えてくれば更なる金融商品を探してみる
- 自身の将来設計に沿ったポートフォリオを組んでみる
今回は株式とFXを比較しながら金融商品の違いについて書いてみましたが、投資対象となるものは沢山ありますので、先ずは何かに挑戦しつつ金融投資についての知見を深められてください。