株式投資は配当金を収益の中心に|配当金の魅力・仕組み・指標を紹介

株式投資のリターンは配当金を中心に考えるべき!プロが解説!!

預貯金の利息が、雀の涙ほども付かない時代。
それだけに、株式投資は資産形成において重要な存在です。

一般家庭の所得が伸び悩んでいることもあり、政府も制度的な後押しによって株式投資を促そうとしています。

株式投資で収益を上げる方法はいくつかありますが、なかでもオススメなのは配当金です。
配当金は、株式投資に詳しくない方でも計画的に資産を増やしていきやすいからです。

そこで、この記事では株式投資における配当金の魅力・仕組み・指標について、お話しいたします。

株式投資の配当金がもつ3つの魅力

株式投資を「初心者に難しい投資」と決めつけることは間違っています。
株式投資は、長期投資・短期投資といった投資スタイルによって、難易度が大きく異なるからです。

初心者であっても、配当金を目的として長期投資するのであれば、資産を増やしていくことは難しくありません。

そこで、まずは株式投資における配当金の魅力をお伝えいたします。

《魅力その1》株価の利ざやを狙うよりも確実性が高い

株式投資で利益を得る方法は、以下の3つに分けられます。

  • 配当金
  • 株主優待
  • 株価の売買差益

株式投資における配当金は、株主還元にあたります。

株式を買った人は株主となり、定期的に現金で配当金を受け取ることができます。
ちなみに、配当金の金額は株式の保有数に比例します。

株主優待は、配当金と同じく株主還元の一種です。
配当金の一部を、企業のサービスを受ける権利などに変えたものと位置づけられます。

配当金と株主優待の2つは、一定期間、企業の株式を保有していれば受けられます。
(株主優待は一部の企業に限ります。また、株式を一定数保有していることも条件です)

株式投資は、出資したお金を企業の事業活動の元手にしてもらうのが本来の目的。
配当金や株主優待は、一定期間、出資した見返りとして受け取れるわけです。

しかし、株価の売買差益は、配当金や株主優待とは性質が異なります。

なかでも株価の利ざやを目的とした短期売買は、企業の事業活動の手助けにはなりません。
そのため、配当金などは受け取れないので、株価の利ざやのみで利益を上げる必要があります。

株価の売買差益は、うまくいけば配当金よりも大きな利益を狙えます。

ただ、大きな損失リスクを伴いますから、知識や経験が不可欠です。
加えてプロの投資家が相場を支配している以上、初心者が株価の売買差益で稼ぐのは難しいでしょう。

したがって、株式投資は配当金を目的とするほうが、初心者にオススメです。

《魅力その2》一般的に預貯金よりも投資リターンが多い

日本における預貯金の利率は0.001%ほど。
定期預金などでも、せいぜい0.2~0.3%程度です。(2022年8月現在)

わずかな利息でも課税対象になりますので、リターンはほとんど得られません。

つまり、預貯金だけで資産を増やすことは、今はほぼ不可能といえます。
それどころか、インフレや増税により、預貯金は目減りしていく危険があります。

その点、株式投資の配当金は、投資金額に対して2~3%くらい生じます。
(上場企業の場合。後述する配当利回りベース)

配当金には、預貯金のような元本保証はありません。
それでも、投資リターンを考えれば、配当金を得られる株式投資にも資産を振り分けたほうがよいでしょう。

《魅力その3》売買や管理の手間が少なく不労所得になる

配当金は、企業の発行株式を長期的に保有しているだけで受け取れます。
すでに述べた通り、配当金の原資となる利益は、投資家の出資金を元手にした事業活動によって生み出されるからです。

つまり、基本的には株式を買っておくだけで、配当金は自動的に入ってきます。
基本的には、何か手続きを求められることもありません。
(ただし、後述する受取方法の指定には注意)

一応、株価にかかわるニュースには、目を光らせておくべきです。

とはいえ、不祥事や経営危機といった余程のことがない限り、株式を売る必要はありません。
ほとんどのケースでは、株価が一時的に下落したとしても、いずれ元の水準まで回復するからです。

配当金について知っておくべき3つの仕組み

配当金を目的とした株式投資は、初心者でも取り組みやすいといえます。

ただ、効率よく株式を買ったり、NISAで税負担を軽くしたりするためには、配当金の基本的な仕組みについて知っておきたいところです。

よって、次は配当金に関わる仕組みのうち、必ず知っておくべきことを3つご紹介いたします。

《仕組みその1》配当金の受け取りは年1~2回が多い

配当金は企業の判断で行われますので、年間の回数に決まりはありません。
ただ、年1~2回としている企業が多数派です。

年2回以上の配当がある場合は、決算後の期末配当とそれ以外の中間配当に分けられます。
年1回の配当の場合は、期末配当のみです。

配当金の特徴 3月末決算企業の配当時期
期末配当 決算後の財務状況によって決まる配当金 6月下旬あたり
(株主総会の決議後)
中間配当 決算期以外に分配される配当金 主に9月
(四半期配当の場合は3・6・9・12月等)

つまり、株式投資した企業から配当金を受け取るには、半年から1年ほどかかることがあります。

なお、ネット証券の配当情報には、一般的に配当金が1年間の総額で記載されています。
年2回以上の配当がある場合、1回あたりの配当金は配当情報よりも少額になります。

配当金の詳細を知りたいときは、企業の公式サイトで公開されているIR情報などを確認するとよいでしょう。

減配・無配になるケースもある
配当は企業の判断次第ですから、配当金が減ったり無くなったりするケースもあります。
その多くは業績悪化に伴うものであるため、投資先企業のニュースはチェックしておきましょう。

《仕組みその2》権利付最終売買日までに株主になった人が配当対象

上場企業を中心に、株式は日々売り買いされています。
株主が目まぐるしく変わる以上、どこかのタイミングで配当対象者を確定させなければなりません。

そのため、権利確定日を迎えた時点で株主名簿に名前が載っていることが、配当対象となるための条件になっています。
といっても、株式を買うだけで株主名簿に記録されるので、特別なことをする必要はありません。

ただし、株式を買うと同時に、株主名簿に記録されるわけではない点には要注意です。
タイムラグが生じるため、権利付最終売買日までに株式を買っておきましょう。

タイミング 配当対象
権利付最終売買日 権利確定日の2営業日前 配当の対象になる
権利落ち日 権利付最終売買日の翌営業日 次回の配当から対象
権利確定日 企業の決算日など 次回の配当から対象

※配当対象の判断は、中間配当・期末配当問わず、各配当ごとに行われます。

なお、権利付最終売買日は、駆け込み需要によって株価が上がる傾向があります。
反対に、権利落ち日は株価が下がりやすくなります。

つまり、配当金を最短で取得しようとすると、株価の下落幅が配当金の金額を上回って損する可能性が高まるわけです。
配当金は長期投資で受け取るべきもの、という認識を持ちましょう。

《仕組みその3》NISAを使うには「株式数比例配分方式」が絶対条件

配当金には、原則20.315%の税率がかかります。(2022年9月時点)

ただ、NISA口座を使うと、株式投資で生じた配当金などが非課税になります。
NISA口座には上限金額があるものの、配当金を目的とするのならNISAは必ず利用するべきでしょう。

実際にNISAを利用するときは、配当金の受取方式に要注意。
受取方式を誤ると、NISA口座を使っても配当金に課税されてしまうからです。

配当金の受取方式には、以下のような種類があります。

  • 株式数比例配分方式
  • 登録配当金受領口座方式
  • 配当金領収証方式
  • 個別銘柄指定方式

上のリストのうち、NISAによって配当金が非課税になる受取方式は、株式数比例配分方式のみ。

異なる受取方式を併用することはできないため、株式数比例配分方式を必ず選んでおきましょう。

ちなみに、株式数比例配分方式を選んでいると、配当金が自動的に口座へ入金されます。
配当金を受け取るための手続きがなくなるので、NISAを使わない場合でもオススメです。

配当金を重視して銘柄を選ぶときの3つの指標

配当金を目的にするのでしたら、少し知識不足の状態でも株式投資を始めることができます。
最初のうちは、経営が安定している有名企業の銘柄を選んでおくとよいでしょう。

ただ、指標などを参考にできれば、もっと効率的な株式投資を実現できるはずです。
配当金に関わる指標を知っておくだけでも、だいぶ投資効率を上げられます。

そこで最後に、配当金に関わる指標を3つ取り上げます。

《指標その1》配当利回り:高いほど投資効率がよい

企業ごとに配当金の多さを調べるときに用いられる指標が、配当利回りです。
配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標を指します。

配当利回りの計算式
配当利回り(%)
= 1株あたり年間配当金 ÷ 株価 × 100
= 配当総額 ÷(株価 × 発行済株式数)× 100
※「株価 × 発行済株式数」は時価総額と同じです。

株価は、その企業に対する投資金額とみなすことができます。
株価が低い銘柄ほど、投資金額は少なくてすみます。

また、配当金は投資リターンであり、配当利回りは投資効率を表します。

そのため、株価が低く配当金が多い銘柄ほど、配当利回りは高くなります。
つまり、同じ投資金額で受け取れる配当金が多くなるので、投資効率に優れると判断できるわけです。

ただし、株価が下がりすぎているために配当利回りが高まっている銘柄には要注意。
購入時よりもさらに株価が下がり、元本割れを起こすリスクがあるからです。
経営悪化に伴い、配当金が減配・無配になることも考えられるでしょう。

株価が低いということは、その銘柄が投資家から不人気であることを意味します。
ほかの投資家が手を出さない理由があるはずですので、安易に買わないようにしましょう。

なお、先に触れた通り、成熟した上場企業の配当利回りは2~3%程度が一般的です。

株式投資における利回りついて、プロが解説!! 株式投資は配当利回り4%~5%が理想的|利回り重視のリスクも解説

《指標その2》配当性向:高いほど株主を重視している

企業が稼いだ利益をどれくらい配当金として株主に還元しているのかを示す指標が、配当性向です。
配当性向は、1年間の配当金を利益で割って算出します。

配当性向の計算式
配当性向(%)
= 1株あたり年間配当金 ÷ 1株あたり税引後当期純利益 × 100
= 配当総額 ÷ 税引後当期純利益 × 100
※売上高から、あらゆる費用と税金を差し引いて残った最終利益のこと。

配当性向の高い銘柄は、株主還元を重視していると判断できます。

ただし、企業の利益は、次の成長に向けた事業投資の原資にもなります。
ですから、成長のための事業投資を怠り、配当にばかり利益を回している企業に未来はありません。

ちなみに、いわゆる成長株(グロース株)といわれる銘柄は、一般的に配当性向は低めです。
その半面、利益を事業投資に使うため、企業価値・株価の上昇が期待できます。

なお、配当性向は30%程度が一般的といえます。

《指標その3》連続増配年数:多いほど長期投資に向いている

いくら配当利回りや配当性向が高くても、株式を買ったあとに配当金が減ってしまっては意味がありません。

そこで、配当金を何年連続で積み増しているのかを表す、連続増配年数を参考にして銘柄を探す方法があります。

連続増配年数の多い銘柄は連続増配株と呼ばれ、長期投資に向いています。
保有していると配当金が増えやすいうえ、株価も下がりにくいからです。

株価が下がりにくい理由は、主に2つあります。

1つめは、経営が安定していると考えられるから。
配当金を毎年増やせるということは、安定成長を実現できている何よりの証拠です。

2つめは、株価の下落局面で株式の買い支えが入りやすいから。
連続増配年数が多い銘柄は、一般的に投資家からの人気が高めです。
不況時でも株式を手放す人が少なく、手放されても他の投資家に買われやすいので、結果的に株価は安定する傾向があります。

なお、連続増配とまではいかなくても、毎年配当の水準を維持している銘柄なら購入検討の対象として問題ありません。

まとめ

この記事では、株式投資の配当金について、魅力・仕組み・指標をテーマにお話しいたしました。

配当金を目的とした株式投資でしたら、初心者の方でも比較的容易に始められます。
配当金の仕組みについて最低限知っていれば、投資を始めるには十分です。

投資効率を上げたいのでしたら、配当利回りなどの指標も押さえておきましょう。

いずれにしても、配当金を目的とするのでしたら、早めに株式投資を始めることが一番。
長期投資になるほど、配当金の累計金額が増していくからです。

配当金を新たな投資に回す、複利効果も期待できます。

証券会社で口座を開いていない方は、さっそく開設してみてはいかがでしょうか。

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