新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」が発生し、金融市場ではVIX指数が上昇。その後、オミクロン株への警戒感が和らぐと、VIX指数は落ち着きました。
VIX指数は、株式市場が乱高下する場面で、目立った動きをします。
VIX指数は値動きが大きいため、投機的な売買をしない投資家の中には、関心が薄い人もいるでしょう。けれどじつは、そういう人でも知っておきたい指標です。
では、どのような指標なのでしょうか。
なぜ知っておいて欲しいのか、お伝えします。
目次
VIX指数とは
VIX指数とはVolatility Indexの略で、今後の米国株式市場の値動きの大きさがどのくらいかを示す指数です。
投資家心理を測るものさしです。相場の先行きを予測して動く指標です。
値動きが急で大きいと予想する投資家が多ければ、VIX指数が高くなります。反対に、米国株が安定して、急騰や急な暴落の可能性が低いと投資家が思う時は、VIX指数が低め。
けれど急に大きく株価が上がることはほとんどなく、多くの場合は急激な暴落のケースです。そのため、一般的には、数値が高くなると「投資家が先行きに対して不安を感じている」と言われ、「恐怖指数」とも呼ばれます。
VIX指数で投資家心理は予想できるのか
VIXの「V」、Volatility(ボラティリティ)とは、値動きの激しさや上下の幅のこと。マーケットは、常に投資家の思惑で動くものです。投資家が楽観的になれば上昇し、投資家が悲観的になれば下落します。
VIX指数は、米国の代表的な株価指標「S&P500種指数」のオプション取引の値動きをもとに、シカゴ・オプション取引所が算出・公表しています。S&P500は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック証券取引所に上場する、代表的な500銘柄の株価を基に指数化したものです。
なぜ、オプション取引の価格を使うのでしょうか。
オプション取引は、相場の先行きを読んで売買するものだからです。さらに、元になる指標(VIXの場合はS&P500)の変動が大きいとオプション価格は高くなり、元の指標の変動が小さければ小さくなるという性質があります。
米国株に対して投資家が不安に思えば、S&P500オプションの値動きは荒っぽく、値幅が大きくなります。このようなとき、VIX指数は跳ね上がります。反対に、投資家が米国株の先行きを楽観視していれば、VIX指数は低めで安定します。
VIX指数には、投資家の心理が反映しているのです。
コロナ・ショックは恐怖指数最大級に
それでは、過去にVIX指数が高騰したきっかけになった主な出来事と、その時の値を振り返ってみましょう。
- 1997年10月 アジア通貨危機 48.64
- 2001年 9月 米国同時多発テロ 49.35
- 2002年 7月 エンロン不正会計事件 48.46
- 2008年10月 リーマン・ショック 89.53
- 2015年 8月 中国の経済停滞 53.29
- 2018年 3月 米国雇用好調を受けた長期金利上昇(VIXショック) 50.30
- 2020年 3月 コロナ・ショック 85.47
リーマン・ショックやコロナ・ショックのように、80を超える水準は「想定外」のさらに圏外になるほどの異常値。投資家は、最大級の恐怖を感じていたと言えます。
数年に1度程度に起こる株式市場の暴落時で50前後。
(平常時は15~20あたりです)
また、VIX指数は、大きく上昇する時こそスピードも速く動きがちです。
VIX指数を参考に現物株の取引
オプション取引? ボラティリティ?
ここまで読んで頂いて、「リスクが高いんじゃないの。自分には向いていないし、長期投資の方針だから、関係ない」と思う方は多いでしょう。
それでも、現物株を売買していたら、安いところで買いたいし、売るなら高い時に売りたいと思うのが自然です。
でも、そのような理想的な売買ができるのは、神様だけ。
普通の人間には無理な話です。
けれどやっぱり、少しでもタイミングを見計らいたいという投資家には、VIX指数が参考になります
また、VIX指数は米国株に対する投資家心理を見るものですが、今や世界中のリスク資産は米国株の動向に合わせて値動きしています。
現物で日本の個別株に投資をする人も、米国株市場を無視できない状況になっています。
もしも相場全体に影響を及ぼすような暴落が起こり、前から狙っていた現物株を買うタイミングを見計らっていたとします。
たいていの人は「いま買ってみたいけれど、もっと下がるかもしれない」と考えます。
そのような時に、VIX指数をチェックしてみませんか。
高かったVIX指数が下がり、20~15あたりで安定するようになる頃には、冷え込んだ市場のムードが回復し、投資家心理は改善し始めていることでしょう。
まとめ
投資家心理を測るものさし、VIX指数。一般的には、数値が高くなると「投資家が先行きに対して不安を感じている」と言われ、「恐怖指数」とも呼ばれます。
オプション取引の値動きが基になって算出され、VIX指数が動くときは、急激で大幅です。
だからといって、「現物株を長期保有するから関係ない」と無関心ではもったいない。
投資判断の1つの材料として、チェックしてみましょう。