こんにちは。JACK佐々木です。
前回より引き続き、「視野を広げて海外の投資に目を向ける」をテーマに特別な内容をお伝えします。
投資先を選ぶ上で非常に大切なのが「今後、その国が経済的に成長していけるかどうか」という点です。
そこでご紹介したいのが「インドネシアの経済状況」になります。
インドネシアは、様々な分野において景気が順調に回復しており、これから資産構築を考えている方にとっては、まさに最適な投資先と言えます。
今回の記事では、そんなインドネシアの経済状況と今後のさらなる成長の可能性について詳しく解説していきます。
さらに、今後インドネシアの投資で注目すべき分野についてもお伝えいたしますので、ぜひ海外投資に興味がある方は、最後までご覧いただければと思います。
目次
2月、3月の貿易状況について
インドネシア中央銀行によると、2月の電子商取引(EC)の取引総額は、前年同月と比べて45%増の27兆2,000億ルピア(約2,035億円)、取引件数は約2倍の1億7,460万件とのことでした。
さらに、インドネシア中央統計局が発表した貿易統計によると、3月の貿易収支は15億6,740万米ドル(約1,700億円)の黒字となりました。
これで昨年5月から11カ月連続の黒字です。
新型コロナウイルス感染症の拡大で経済全体が落ち込んだ前年同月から、輸出は30%を超える大幅増加となり、前月と比べても輸出入ともに20%台の増加でした。
専門家は今後も、製造業や石油ガスの堅調な輸出が貿易をけん引するとの見方を示しています。
輸出額は前年同月と比べて30.5%増の183億5,460万米ドルとなり、その95%を占める非石油ガスの輸出額は30.1%増という結果になりました。
石油ガスも38.7%増加しています。
三井住友銀行の市場営業統括部エコノミスト、鈴木浩史氏はNNAのメール取材に対し「製造業を中心に堅調だった。石油ガスも、コモディティー価格が堅調に推移して輸出の追い風になっている」と語っています。
主要11カ国・地域の非石油ガスの貿易収支は、対オーストラリアが5億2,930万米ドルの赤字となり、11カ国・地域中で最大の赤字額です。
その他、韓国、タイ、中国、シンガポール、台湾を含めた計6カ国・地域に対して赤字となっています。
一方、黒字は対米国が13億3,930万米ドルと最大になり、対日貿易収支は1億560万米ドルの黒字となりました。
トヨタとダイハツによる新車発売
インドネシア自動車製造業者協会(ガイキンド)によると、3月の新車販売台数(ディーラーへの出荷ベース、確定値)は、前年同月と比べ11%増の8万4,910台でした。
同月から一部新車の奢侈(しゃし)税減免措置が始まったことが促進力となりました。
※奢侈(しゃし)税とは、贅沢品の範囲と認められる商品・サービスへの間接税。
そんな中で、トヨタ自動車のインドネシア販売会社トヨタ・アストラ・モーター(TAM)とダイハツ工業の同国現地法人アストラ・ダイハツ・モーター(ADM)は、新型車「ライズ」「ロッキー」の発売直前オンライン会見を開きました。
2003年発表の小型多目的車(MPV)「アバンザ」「セニア」の共同開発から始まった両社協業による新型車の発売は、16年発売のエントリー向けMPV「カリヤ」「シグラ」以来で、通算5回目です。
会見の中でトヨタ自動車の宮崎洋一アジア本部長は「ライズは今後、約50カ国に輸出する計画だ」と表明、トヨタグループのグローバル戦略において重要なモデルになると語っています。
また、ダイハツ工業の奥平総一郎社長は、ADMはインドネシア最大の研究開発(R&D)拠点を持ち、同国の社会に最適なモデルを製造していることを強調しており、今回の新型車ロッキーは「最新の安全性と求めやすい価格を兼ね備えている」と述べました。
会見に同席したアグス産業相は、1~2月の国内の自動車販売において、ライズ、ロッキーが該当する1500cc以下の車の割合は、34.1%を占めると説明し、両モデルはインドネシアの消費者の要望に添うものだとの見方を示しています。
さらにアグス産業相は、ライズとロッキーの12月までの生産目標は3万4,300台で、うち8,800台は輸出向けであると説明、両モデルの投入がインドネシアの自動車生産国としての地位をさらに強化すると、期待を語りました。
鉄道開発も順調
インドネシアの首都ジャカルタを南北に走る都市高速鉄道(MRT)を運営するMRTジャカルタのウィリアム社長は、作業進捗についての記者会見を開きました。
その中で、中央ジャカルタのブンダラン・ホテル、インドネシア(HI)駅からハルモニ駅までを結ぶ上下線のトンネル合計6本と、サリナ駅とモナス駅を結ぶ「CP201」工区の進捗率が、25日時点で15.4%に達したと発表。
同工区は清水建設と国営建設アディ・カルヤの共同事業体(JV)が事業を請け負い、2025年3月の完成を目指しています。
この件についてウィリアム社長は「現時点での進捗率は予定通りだ」と語り、さらに4月のMRT利用者が52万3,662人だったと明らかにしました。
多い日は、1日3万人を超えることもあり、コロナ禍からの乗客数回復に期待をのぞかせています。
また、一部の建設工事には三井住友建設も参加します。
マンガブサール駅からコタトゥア地区までのトンネル工事(1.4キロメートル)を含むCP203工区を請け負うことが決まっており、総工費は4兆6,000億ルピア(約340億円)、工期は9月から2027年8月までの72カ月を予定しています。
州政府は今回の工事区間周辺で再開発や公共交通指向型都市開発(TOD)を進めており、旧市街地を中心に文化財的価値のある建築も多く残ることから、駅の出入り口は景観に配慮した設計にしていくと発表。
この件については、契約調印式に出席したアニス知事が「政府や国公営企業、民間企業で一体となって整備を進めたい」と述べました。
国際モーターショー開催で約75億円の売上
インドネシアの首都ジャカルタで、4月15日から25日の期間で自動車展示・販売会「インドネシア国際モーターショー(IIMS)ハイブリッド2021」開催されました。
主催者のイベント会社ディアンドラ・プロモシンドは、開催期間中の成約台数は2,580台まで伸び、1兆47億ルピア(約75億円)の売上になったと発表しています。
また、新型コロナウイルスの感染対策として、今回のモーターショーは実際の会場とオンラインでの同時開催となりました。
実際の会場で開催するモーターショーとしては、今年初めてで、11日間の来場者数は約10万人にも上ります。
オンラインでは、23日までにモーターショーのホームページが72万3,000回閲覧され、633万4,787インプレッション(広告が表示された回数)の実績を上げました。
日本企業「丸紅」がタイヤ小売事業の経営権を取得
インドネシアの不動産開発大手リッポー・カラワチの子会社のリッポー・モールズ・インドネシアは、丸紅が出資する自動車部品販売・メンテナンス会社ビークイック・オートモーティブ・インドネシアと協業合意書を締結したと発表しました。
リッポーが運営する商業施設内に、ビークイックが店舗を開設するのはこれが初めてです。
今年後半には、バンテン州タンゲランの「マックス・ボックス・リッポー・ビレッジ」や、西ジャワ州ブカシの「ブル・プラザ」にもオープンする予定となっており、店舗面積はいずれも400平方メートルの予定。
3月時点の国内店舗数は9店舗で、いずれもジャカルタ首都圏に展開しており、23年までに25店舗の出店を目指しています。
宅配大手「J&Tエクスプレス」の企業価値が約8,492億円に
米調査会社CBインサイツは、インドネシアの「宅配大手J&Tエクスプレス」をユニコーン(企業価値が高い新興企業)として認定した。
インドネシアでは他にも「配車・配送サービス大手ゴジェック」「電子商取引(EC)大手トコペディア&ブカラパック」「旅行サイト運営トラベロカ」「電子マネー・ポイントサービスOVO(オボ)」の計5社が、ユニコーン企業として認定されています。
CBインサイツによると、J&Tエクスプレスの企業価値は78億米ドル(約8,492億円)と評価されており、ゴジェックの100億米ドルに次ぐ第2位となっています。
CNBCインドネシアよると、J&Tエクスプレスは、中国現地法人である紅杉資本中国基金などから20億米ドルの資本調達をしたばかりで、さらなる成長が期待されています。
そしてその期待に答えるように、J&Tエクスプレスは3月下旬から貨物輸送機の運用も開始しました。
新型コロナの影響で宅配需要が増加しているため、ジャワ島外への輸送ルートを拡大する方針です。
ロビン・ロー最高経営責任者(CEO)によると、EC関連の物流需要は年間で5~7割増えているとのことで、宅配業界はこれからさらに業績を伸ばしていくと見られています。
今後注目すべき投資先
ここまでインドネシアの経済状況についてご紹介してきましたが、景気向上の兆しがあらゆる業界にあるのはご理解いただけたかと思います。
特に私が投資先として注目しているのは、ECサイト関係の事業です。
その中でも物流業界の成長が著しく、J&Tがユニコーン入りしたことが、まさにその証明と言えるでしょう。
現在日本のEC市場の物販取引総額は10兆円以上と言われていますが、インドネシアの人口は日本の約2.3倍、単純計算で23兆円の利益が見込めることになるので投資先として申し分ないです。
さらにインドネシアは、この先10年は消費が活発な世代になるので、2035年頃までは人口ボーナス期は続くと言われおり、今後も経済成長し続ける国であるとされています。
また、インドネシアの経済成長の波に乗っている日系企業が非常に多いです。
国営企業と一体となり、日本の企業がインドネシアの未来への開発に携わっているのは、日本人として嬉しく感じます。
大手のこの動きに追随して、中小や個人レベルでも参画(さんかく)できる事業投資案件も登場しています。
※参画(さんかく)とは、事業・政策などの計画に加わること。
例えば、バス会社へのバスリースや、銀行のローン返済不能による担保流れ、不動産の仕入れなど、非常に面白い案件が取組める形になっています。
そして、これらの事業投資に参画する際には、受け皿としてPMAと呼ばれる100%の外資法人を活用します。
PMA法人は、不動産投資をする際に活用するケースが一般的です。
インドネシアにおける不動産のルールは複雑なところもありますので、また機会を改めて、不動産の所有方法などについて解説できればと思います。
インドネシアの事業投資はハードルが低い
それでは最後に、外資100%の法人設立についてご紹介させていただきます。
外国投資による企業の設立は、通常、株式会社として設立することが条件づけられています。
外国投資法では、外国資本により設立された会社をPMA企業(Penanaman Modal Asing)と呼び、他の国内企業(Penanaman Modal Dalam Negeri = PMDN)と区別しています。
これまで外資100%の法人による所有は、それほど件数が多くありませんでした。
というのも、資本金は25億ルピア、準備資本金100億ルピアが必要とされており、数千万円ないと始められない上に、設立に半年以上かかるとされてきたからです。
ですが今ではハードルが下がり、120万円以下で投資家ビザとセットで設立可能となり、しかも1ヵ月程度で完結する流れになりました。
建物の使用権との組み合わせで土地の購入なども可能になったので、法人による口座開設、個人での口座開設なども可能になります。
さらには、他のビジネスへの投資や事業投資案件も参画できるので、現地通貨による資本強化を目指していくこともできます。
このようにインドネシアは、投資環境が大きく改善しているので始めやすく、景気も右肩上がりなので、今後のさらなる経済成長が期待できるでしょう。
海外投資を考える上で、これほどの好条件な投資先もないので、ぜひ今回の記事を参考に検討してみるのはいかがでしょうか。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
アジア投資の鬼才 JACK 佐々木にインタビュー|前編