「投資を身近に!」をモットーに、分かりやすくイメージしながらお伝えしています。
よくある質問に「積立始めようと思いますが、iDeCoとつみたてNISAどちらから始めたらよいのでしょうか」とあります。
この2つの制度の違いと特長を確認しながら解説します。
目次
iDeCoとつみたてNISAの3つの違い
iDeCoとつみたてNISAの制度には、大きく分けると次の3つの違いがあります。
- 年齢制限
- 節税
- 引き出せるタイミング
①:年齢制限
iDeCoは国民年金の上乗せの制度です。つまり国民年金(基礎年金)に加入している人でなければ、始めることができません。
そして拠出(積み立てること)も60歳、2022年5月からは65歳までと上限があります。
一方、つみたてNISAは20歳から始めることができ、年齢制限はありません。90歳を超えてから始める人もいます。
②:節税
積立金額を確定申告や年末調整で、全額を“控除”できるのがiDeCoの特長です。
全額控除とは、簡単に言うと、所得税・住民税が決まる金額を減らすことができます。もう少し詳しくお伝えします。
事業でいうと、売上-経費=所得(もうけ)となり、この所得(もうけ)に対し、所得税と住民税が掛けられます。
所得税は超過累進課税といい、所得(もうけ)が増えれば増えるほど税額が上がります。住民税は一律10%ですが、元が大きくなれば当然税額が上がります。
iDeCoを始めると、積立金額分を全額、この所得(もうけ)から引いてあげますよという制度です。つまり所得(もうけ)がその分減るため、所得税・住民税が減るという仕組みになっています。
つみたてNISAには、この仕組みがありません。
iDeCoは受け取るときも“控除”があり、受け取り方によって控除の種類が異なります。
一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金で少しずつ受け取る場合は公的年金控除となり、場合によっては非課税、あるいは課税金額が減ります。
つみたてNISAは、積立始めから20年以内であれば、全額非課税で受け取れます。
③:引き出せるタイミング
iDeCoは60歳以降でなければ、積立金額を引き出すことができません。一方、つみたてNISAはいつでも引き出すことができます。
このような特長と違いを踏まえた上で、次に考えたいのがなぜ始めるか?その目的を考えていきましょう。
加入目的を考えよう
iDeCoは60歳、65歳までとその目的は明らかで老後の積立です。また積立金額が全額控除となるため、所得が大きい人や働き世代で仕事を持っている人にとって、大変魅力的な制度です。老後の積立運用と節税を考えるのであれば、iDeCoを先に始める方が良いでしょう。
つみたてNISAも20年間の非課税期間があることから、老後を目的とした積立として制度が作られたことは明らかです。とはいえ、いつでも引き出しができることから、その用途はさまざまです。
たとえば教育費や住宅購入の頭金、結婚式の費用、家のリフォーム等、20年間非課税期間があるものの、必ずその期間を全うしなければならないということではありません。中長期での加入を目的とすることができます。
注意点
iDeCoと同様、つみたてNISAも投資信託を使った運用で積み立てを行います。
そのため、引き出そうと思ったタイミングで元本割れを起こしている可能性もあります。たとえば、コロナで経済が大きく落ち込んだ時には、軒並み運用も下がりました。
このタイミングで引き出してしまうと、元本割れを起こします。しばらく待つことで復活しましたが、しばらく待つことができない目的での運用は避けておいた方が無難です。
たとえば教育費。「大学入試を来年ならお金が増えるかもしれないから待ってね」という訳にはいかないように、子どもの年齢とともにお金が必要なタイミングが避けられないものには適しません。
もしつみたてNISAで準備するのであれば、全額ではなく一部に留めたり、ある程度積み上がった時点で解約し現金化するなど、状況に応じて活用していきましょう。