日本はなぜ、物価上昇へとつながらないのか?!原因を解説

チャート

 

世界的に「インフレ(物価上昇)」が話題になっています。それに対して、各国・地域の反応はまちまちです。

物価上昇を表す「CPI(消費者物価指数)」は前年同月比で、

アメリカ(10月): 6.2% / ※4.6%

ユーロ(11月) : 4.9% / ※2.6%

日本(10月)  : 0.1% / ※▲0.7%

※価格変動の大きいエネルギー・食品を除いた「コア指数」、日本は同「コアコア指数」

アメリカはパウエルFRB議長の発言の通り、8月末ジャクソンホール会議の講演で「高インフレは一時的」と説明していたにも関わらず、量的緩和縮小(テーパリング)のペースを速めるべく、2・3カ月のテーパリング終了前倒しに触れました。

前回記事のトルコとは正反対の、セオリー通りの方針ということになりますが、日本のデフレ継続が浮き彫りになっており、日本人の我々からすると、海外資産への投資をさらに加速したくなるような状況となっています。

なんだかんだ言っても、着実に安値を切り上げながら株価上昇してきたアメリカと、そうでもない日本とを比べてしまうと、国際分散投資をしている日本人からすると、ちょっとツラいものがありますよね。

こらからいったいどのような点に注目し、どのような声を政治家に届けていけば良いのでしょうか。

賃金や物価が上がらない原因にこそフォーカスする

「経済」と聞くと、とても難しい分野のお勉強というイメージがあるかもしれませんが、統計や数学、確率論を引っ張りだしてくるまでもなく、自然体で考えていくだけでもある程度は理解できます。

大手企業の賃上げや販売業者の価格転嫁がよく話題になっていますが、これらはあげたくても簡単にあげられるものではなく、賃金や物価をあげる話をする際に、最も大切なのは「需要に先高観があるかどうか」です。

特に全国民に共通する、日常生活に欠かせない衣食住などにまつわるものへの需要が旺盛になりつつあるか、今後さらに需要の拡大が期待できるか、という視点が抜け落ちてしまうと、そもそも賃金も物価もあがりにくくなります。

需要というのは、我々の欠乏欲求から「欠けているものを手に入れたい」という消費への欲求です。富裕層も、筆者のような庶民も、最低限の消費というのにはそれほど大きな差があるわけではありません。

毎日食べる3食のごはんが典型ですが、我々が食べる量は人によって大きく違うということはそんなにないわけです。

つまりこの消費がちょっとずつ増えていくような状況、ムードを形成していくことができなければ、賃上げや物価上昇につながりにくいわけで、この根本的な人間の特徴をもっと重視していかなければなりません。

我々が貯蓄したいと思うということは、それだけ将来が不安だと思っている証拠であり、貯蓄によって少しでもその不安を軽減させたいという欲求の現れでもあり、給付金を消費に回せない理由がちゃんとあるわけですよね。

消費税を取り戻せるキャッシュレス決済

このように「消費を喚起する」ということだけを考えると、給付金を配るより消費税を廃止したほうが手っ取り早いわけですが、その話はおいといて、筆者が書籍「0円投資」でお伝えしたかったことのひとつに、家計改善が楽にできてしまうしくみがあります。

キャッシュレス決済を使うと、街中では0.5%~2%くらいのポイントが付与されますが、ネットショッピングなどではヘビーユーザーだと、モノによっては数%~数十%のポイントが付与されるケースもあります。

何を買いたいかで、街中の店舗を活用するか、ネットショッピングを活用するか選んでいただければ良いと思いますが、便利で安いというものがあれば、ポイント分だけ節約につながるネットショッピングの活用も一手です。

さらに、広告代理店などが運営するサイトを活用すると、さらにポイントが付与され、収入増につながるケースもあります。

そしてこれらを組合わせながら、獲得したポイントを資産運用にまわすことで、従来の積立投資の原資を増やし、総額で資産を増やすことにもつながっていきます。

経済を体感できる小さな実験「0円投資」のしくみ

「0円投資」の仕組は、以下のイラストの通りになっています。

積立文化の醸成

このように、キャッシュレス決済によるポイントを活用した「0円投資」(ポイ活×資産運用)を活用することで、誰かの支出がほかの誰かの所得となり、それが積立投資によって資産に変わっていく、という経済の大原則を体感できる大げさに考えてみても面白いでしょう。

資本主義経済の面白い点のひとつとして、過去から現在へと受け継がれてきたインフラなどの資産、技術、伝統、文化などが積み重なって、将来世代へバトンをわたしていくというとらえ方ができます。

我々のご先祖や先人たちが作り上げてきたものは、どこかから調達してくれば良いという刹那的なモノではなく、長い年月をかけて地層のように凝縮されてきたモノです。

積立投資を学ぶことでこの感覚が芽生えることが期待できますので、日々の営業活動や人材教育などにも、この発想を活かすことでより本質的な効果を高めることができるでしょう。

筆者はファイナンシャル・プランナーとして、主に企業型確定拠出年金(企業型DC)や資産運用を中心とした個別相談を通じ、有効な制度活用や資産運用の基本についてご案内させていただいております。

この数年つくづく思うのが、ノウハウやテクニックとしての金融教育ではなく、もっと根本的な「経済」(経世済民:すべての国民を豊かにするしくみ)について関わっていかないと、日本はもっと良くならないのではないかと想いを強くしております。

そんな視点から、0円投資や積立投資を考えていただくのも、きっと良いアプローチになるのではないでしょうか。