金本位制のデメリット:復活を望むのは、お金に対する大事な哲学があるから!

金本位制

2022年は、通貨やゴールドも大きく動きそうな予感がいたします。世界中でインフレが起きていますからね。そうなると、ゴールド好きには、興味津々!

金本位制を復活させようという話が一部でちらほら。さて、メリットに続いては、金本位制のデメリットやその根底に流れる思想・哲学をご紹介します。

金本位制のデメリットや哲学

金本位制のメリットは、「信用補完・通貨安定・通貨価値の維持」。それが機能するなら、通貨価値が下がる=インフレを防ぐため、金本位制を採用すれば良いという復活論者の意見はもっとも。

しかし、金本位制は、ニクソン・ショックで終わりを宣告されて以降、復活する気配はありません。なぜなら、どうしても解消できないデメリットがあるから。

高価で希少な金を保有しなければいけない

金本位制は、希少な金を保有しなければ、通貨を発行できません。基本ルールとして、発行した通貨の分だけ、金を持っていなければいけない。これは、政府や中央銀行にとって、大きな負担。

そして、金が希少である以上、通貨を増やしたくても金の保有量をカンタンに増やせず、通貨の増産にブレーキがかかりがち。紙幣の場合、印刷するだけですからね。

紙幣はすぐに増やせても 金はすぐに増やせない

これは、通貨を高く維持しやすいメリットの代わりに=デフレになりやすいということ。インフレになりにくいというメリットの裏側には、デフレになりやすいというデメリットを持つことになります。

経済や金融危機時に、通貨の発行量を増やせない

さて、通貨量を増やしにくいというのは、メリットの裏返し。でも、それが、金本位制の目的の一つ。ここを適当にお茶を濁すのは、金本位制の基本を揺るがすこと。

しかし、経済や金融危機・戦争といったイレギュラーが起きた時はいかがでしょう。その時も通貨を増やせないというのは、大きなデメリットと言えるでしょう。

直近においても、新型コロナのパンデミックが典型的なモデルケース。中央銀行が管理する管理通貨制度だから、今回のような未曾有の危機への対応ができました。金本位制だと、通貨供給量を増やすことができず、パンデミックの経済危機は、悪化した可能性があります。

中央銀行と政府は、格差を拡大しただけという説

おっと。ここで、金本位制賛成派からこんな意見が登場しました。

パンデミックで、通貨供給を増やした分のほとんどは、株価や不動産といった資産価値の上昇に向かい、格差拡大につながっただけ。そして、世界中で、お金をばらまいた副作用は大きい。

パンデミックのさなか、世界中で起きているインフレ。さらに、今後、待ち構える増税をどう思うのか。と言われれば、金本位制を守り、通貨供給を増やさない方法が正解だったという主張にも一理あると思います。

貿易赤字になると、金が国外に流出するため、保護貿易になりやすい

金本位制では、とある国が貿易を行い、収支が赤字になると、赤字分をゴールドで支払います。

ということは、保有する金が減り、通貨の発行量も減ることになります。そして、流通するお金が減ると不景気になって、輸入が減少。それによって、貿易収支も改善されるというメカニズム。

一見、良さそうですが・・・お金が減って不景気になりやすいというのが気にかかるところ。赤字解消のためには、輸入を減らすか輸出を増やすかの二つのみ。輸出を増やすのは、一朝一夕にはいきません。となれば、輸入を減らすしかありません。

他国からの輸入を減らすというのは、典型的な保護貿易。米国が、貿易赤字を解消するために、日本やドイツ・中国からの輸入を減らすとなればどうでしょうか。これが、保護貿易です。

金本位制を止めた理由

これらの欠点から、金本位制は、通貨量を増やしにくい・イレギュラーに対応しにくいという点をおわかりいただけたかと思います。

さて、それでは、実際に、金本位制が終了した時の事をカンタンに見ておきましょう。

●第二次大戦後、疲弊した欧州に代わり、米国が覇権国になる
●基軸通貨の米ドルを金で裏付け、1オンス=35米ドルの金本位制(ブレトン・ウッズ体制)
●米ソ冷戦による軍事費増大と日本・ドイツの台頭:米国の貿易赤字拡大
●ベトナム戦争による軍事費負担による財政難
●米ドルへの信頼がゆらぎ、ゴールドの需要増加
●米国から金が流出し、固定相場制度の維持が困難に
1971年、ニクソン大統領によるニクソン・ショック

ニクソン・ショックで、金本位制&為替の固定相場が終わり、現代も続く管理通貨制度&変動相場制へと移行。その間には、金の価格を38ドルに引き上げるなど、一時的な対応をした時期もありました。そして、ニクソン大統領の時代と比べて、貿易量や経済が大きく拡大している現在。金本位制を維持するのは、なかなか難しいと言わざるを得ません。

金本位制の復活を期待する哲学

もし、このまま、インフレが止まらなければ、金本位制復活の話が出てくると思います。なぜなら、金本位制の採用は、経済学・哲学の根本にかかってくる問題だからです。

多数派は、本位制という制度は、現代に合致しないという考え方。

お金をむやみに増やさない それが、金本位制の持つ哲学

一方、金本位制復活論者の考え方は違います。

●支配者は、インフレを起こして、民衆から富を奪う
●経済の支配者は、通貨制度を支配する少数の人々
●そもそも、格差拡大につながる高度成長経済は、人々を幸せにするのか
●通貨の発行量を増やしても通貨価値下落(インフレ)になるだけで、良いことではない。

どちらかというと大きな政府を否定し自由経済を主体とする考えが、金本位制の基本的な哲学。もちろん、政府が介入しない完全な自由派ではなく、ゴールドに、その重しの役目を期待する考え方。

確かに、この考え方であれば、政府や中央銀行は余計なことをせずに、ゴールドと通貨供給量のバランスにだけ気を配っていればいいとなりますね。

ゴールドの裏付けがないのに、不正に通貨供給量を増やす。それが、インフレや格差拡大の根本原因だという話にも確かに一理あると思います。

しかし・・・あなたはどう思いますか。私の考えとしては、さすがに、今回、お伝えしたようなデメリットを乗り越えて、金本位制が実現される可能性は、とても低いと思います。