投資への関心高まる!課題はリスクへの抵抗感

投資への関心高まる!課題はリスクへの抵抗感

セミナーや個人相談などの業務でみなさんのお声を聞く中で、投資への関心が高まっていることを実感しています。

以前なら、株式市場が活況の時に投資をしたい人が増え、市場が冷え込むと投資家は去る……を繰り返していました。

ここ数年は、相場環境に関係なく、老後の資産づくりを視野に、投資への関心が向いているように感じます。

その一方で、いまだリスクへの抵抗感が強い方もいらっしゃいます。

リスクへの対応が適切にできるようになれば、証券投資を活用する人が増えるのではないでしょうか。

金融商品を持つ目的トップは「老後の生活資金」

日本証券業協会では、3年に1度、個人投資家の証券投資への意識や実態を調査しています。

全国の20歳以上の7,000人を対象に、2021年6月~7月に行った「証券投資に関する全国調査」では、金融商品を持つ目的を複数回答で聞きました。

最も多い回答は「将来・老後の生活資金」。2018年より増えています。

2位の「将来の不測の事態への備え」は、3年前から減少、3位の「子供や孫の教育資金」も減っています。

「不測の事態」より「必ず訪れる老後」、「子や孫」より「自分の生活」ということでしょうか。

(グラフ1)

保有する人・興味を持つ人が増加した「株式」「投資信託」

保有する金融商品は何かを聞いたところ、預貯金に比べてリスク性の金融商品の保有率はまだまだです。

ですが、株式や投資信託の保有率は上がっています。

【各金融商品の保有率】主なもの。カッコ内は2018年

 

預貯金 :92.2%(92.8%)
株 式 :13.6%(12.6%)
投資信託:10.8%(  9.2%)
公社債 :  2.2%(  2.7%)
信 託 :  1.2%(  1.7%)
いずれも持っていない: 7.2%( 6.7%)

2018年の調査結果と比較すると、預貯金の微減に対して、株式は1ポイント増、投信は1.6ポイント増となっています。

ただ、気になる点が1つ。「いずれも持っていない」と回答した人が7.2%いました。3年前より増えています。

また、興味がある金融商品についても質問。
株式や投信の伸びが大きくなっています。

【興味を持っている金融商品】主なもの。カッコ内は2018年

 

預貯金 :54.7%(55.6%)
株 式 :18.1%(16.1%)
投資信託:14.5%(10.9%)
信 託 :  3.6%(  3.1%)
公社債 :  3.2%(  3.4%)
興味を持っている金融商品はない:34.9%(36.2%)

証券投資が必要だと思う人が増加

金融商品のうちの株式、債券、投信といった「証券投資」について、必要だと思う人が約3割でした。

必要だと思わない人の半分にも満たないのですが、年々増加しています。

(グラフ1)

必要だと思う人を年代別で見ると、30代が最も多く、次いで40代、20代となっています。

興味深いのは、60~64歳の層で必要性を感じている人が20~30代と同程度にいたこと。定年退職し、老後の生活を実感する頃、投資が必要だと感じるようになったということでしょうか。

ここで、証券投資を必要と思う人、思わない人それぞれの理由を、上位3つまでご紹介しておきましょう。

証券投資が必要/不必要と思う理由(表1)

「証券投資が必要とは思わない理由」を眺めていると、「損する」「ギャンブルのよう」というような、リスクへの抵抗感を和らげることができたら、考えが変わるのではないかと感じます。

そこで、代表的なリスク低減の考え方、「長期」「積立」「分散」について、知っているかどうかの結果を見てみましょう。

必要と思わない理由を解消

証券投資をしている・いないを問わず、全回答者を対象に、『「長期投資」・「積立投資」・「分散投資」がリスクを減らすのに有効ということを知っているか』を尋ねると、知らないという人が約6割でした。

この層に対して、金融や投資の知識を提供する場が今以上に整うと、投資をする人が広がるのではないでしょうか。

(グラフ3)

「証券投資の教育を受けた経験の有無」と「証券投資の必要性」の関係では、証券投資教育を受けた人の方が、受けていない人よりも、証券投資の必要性を感じている結果になっています。

学校で金融教育を取り入れる動きが出ていることを踏まえると、今後、若い世代を中心に、証券投資が広がっていくことが予想されます。

将来や老後の生活資金へのニーズが高まっていることも後押しされるでしょう。

【出典】「証券投資に関する全国調査2021年」(日本証券業協会)