20歳のバースデーを迎えた、確定拠出年金

確定拠出年金

確定拠出年金制度が施行されてから20年が経ちました。当時は現役バリバリだった方でも、リタイア期を迎えているかもしれませんね。私も、「資産運用のアドバイスが重要な時代が来る」と張り切っていたことを思い出します。

現在、個人型と企業型を合わせた確定拠出年金の加入者は、1000万人に迫るところまで増加しました。第2号加入者の一部で企業型と個人型の両方に加入できる人がいるため、加入者総数は単純な足し算にはなりませんが、大台に乗るのは時間の問題だと思われます。

確定拠出年金の加入者は、1000万人に迫る

2001年10月1日のスタートした確定拠出年金制度は、退職金や企業年金の運用が難しくなったことが背景にありました。それまで主流だった確定給付型の企業年金は、企業が運用し、一般的な金融商品より比較的高い利回りを従業員に約束していました。運用が難しい環境になり、企業は、従業員に「掛け金は払うから殖やすのは自分でやるように」となったのです。

国民年金基金連合会の発表によると、2021年9月時点の個人型確定拠出年金(イデコ=iDeCo)加入者総数は約217万人です。前年の9月に比べると、26.1%の増加です。

企業型確定拠出年金は、運営管理機関連絡協議会による2021年3月末現在の速報値で、約750万人です。その後、半年間でどのぐらい伸びているでしょうか。

20年間、個人型、企業型ともに加入者数は右肩上がりで増えてきました。企業型の規約数・実施事業主数も着実に伸びています。一方、従来タイプの企業年金である厚生年金基金や確定給付企業年金の加入者数はどちらも減少しています。

iDeCoの運用指図者・自動移換者も増加

個人型(iDeCo)は、制度開始後しばらくの間、加入者よりも運用指図者と自動移換者合計の方が多い状況が続いていました。

運用指図者とは、掛金の拠出をせずに、以前の拠出分を運用している人です。60歳に達したり、国民年金の被保険者の資格を失ったりした人などが該当します。自動移換者は、離職や転職などで企業型の加入者資格を失った後、半年以上、移換などの手続きをせずに放っている人です。

iDeCoは、2017年1月から加入対象者の範囲が拡大されました。専業主婦やパートタイマーなどで家族の扶養に入っている配偶者、公務員などがiDeCoに加入できるようになり、加入者が増加。運用指図者と自動移換者合計を上回りました。2021年9月時点で、iDeCoの運用指図者は約74万人、自動移換者は約103万人、合計で約178万人です。

制度改正を重ね、現在は現役世代の全ての人が確定拠出年金に加入できます。運用指図者の減少に期待がかかりましたが、少しずつ増えています。また、iDeCoへの関心の高まりで自動移換者も減るかと思われていますが、こちらも少しずつ増えています。

企業年金がない職場の人の強い味方

ここからは、個人型(iDeCo)の現状を詳しく見ていきましょう。国民年金基金連合会が集計した2021年9月時点の加入者は、前述の通り、約217万人です。内訳は(グラフ1)の通りです。

2021年9月時点 iDeCo加入者内訳

(グラフ1)

第1号加入者は国民年金保険制度の第1号被保険者。自営業などの人です。第2号加入者は、民間企業の従業員や公務員など。第3号加入者は専業主婦(夫)などです。

加入者の約半数が、企業年金制度のない職場に勤めている人です。iDeCoは、中小企業などの従業員の老後の生活を支える重要な制度となっていることがわかります。

掛金、いくら払っている?

iDeCoの掛金について、「いくら払ったらよいか?」「みなさんいくら払っているのでしょう?」という質問を受けることがあります。

他人がいくら掛けているかは、あなたの老後とは全く関係ありません。ですが、やはり、気になる方は多いようです。国民年金基金連合会が公表したデータをご紹介しましょう。

加入者 掛金額 分布

(グラフ2)

 

第1号加入者は、掛金の上限が月6.8万円です。1万円未満や1万円台といった無理のない金額の人もいれば、6.5万円以上の上限ゾーンも多いようです。収入や他の金融資産の保有状況によって、まちまちなのでしょう。第2号加入者や第3号加入者は、多くの人がそれぞれの上限ゾーンに集まっています。制度を目いっぱい利用している方が多いようです。

掛金の妥当な額は、人それぞれのライフプランがあるので、一概には言えません。それでもあえて答えるならば、若い世代は「月々の掛金が生活を圧迫しない程度の金額」、子育てが一段落して老後の資金計画を立てやすい世代には「老後の生活資金として上乗せしたい金額を決め、残りの加入年数から割り出した金額」とアドバイスしています。

まとめ

確定拠出年金制度は、施行から20年が経ちました。iDeCo、企業型ともに加入者は順調に増えています。勤務先に企業年金がない人にとって、iDeCoは強い味方になっているようです。掛金上限まで制度のメリットを享受している人が多くみられます。

【参考サイト】
「企業年金連合会」ホーム > 連合会の事業・活動 > 統計資料等
「iDeCo公式サイト」