確定申告で気をつけること│トレーダーから投資家へのステップアップ

こんにちは、池田和弘です。

本日は個人の確定申告の時期も近づいてきましたので、その確定申告についてお話をしたいと思います。

確定申告と節税

プロコラム

まず、確定申告についてのやり方はネットでも調べられますし、専門家を入れるのであれば税理士さんを付けてやっていただくのもありですが、実はそれほど複雑ではありません。

個人事業主で事業をされているとかではない限り、税務署に行けば本当に親切丁寧に教えていただけますので、そういった形で問題ないかと思います。

サラリーマンの方であれば年末調整を済ませているので、わざわざ確定申告をする方は少ないかと思いますが、例えば、個人事業主の方やサラリーマンでも副業をされている方に関してはこの時期に確定申告をされるでしょう。

年末調整を見たり、申告前の確定申告書を見て、「こんなにも税金を払うのか・・・」と感じる方も多いと思います。

サラリーマンの方は毎月、給料明細を見て「こんなに天引きされているんだ」と感じていると思いますが、その税額を下げるための方法がいわゆる節税です。

この分野は僕も得意としていて、これまで多くの専門家の方や税理士さん、会計士さんたちと一緒に様々な商品を節税してきました。

今の時期に役立つというよりは、今年の年末とか来年の確定申告時期までに心掛けていただきたい点があるので解説していきますね。

ただ節税すれば得できるわけではない

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まず当然ながら、税金のルールを知らないよりは知っているほうがいいです。

そのため、可能な限り自分でも勉強すべきですが、特に年収が高い方は少し勉強すると、税金はなんて高いんだろうと感じるでしょう。

ただ、一口に高いといっても、もちろん人によって感じ方が違います。

例えば、年収5000万円の方がいるとします。年収5000万円ともなると、税率はすごく高いですし、本人も税金が高いと感じるのは当たり前だと思います。

一方で、年収500万円の方でも400万円の方でも、税金が高いと感じるケースも少なくないはず。

そう考えると、税金の高い低いというのは感じ方の問題だと言えます。

もちろん、人間の欲として1円でも多く残したいというのはあるはずなので、節税をしたいという気持ちは誰もが持つものだと思いますし、持つべきものだと思うんです。

ただし、それが効率的であるかどうか、いわゆる節税すべきかどうかを客観的に見て分析する能力は付けたほうがいいと個人的に思っています。

どういうことかというと、特に個人の所得税は累進課税が適用されるので、所得が高くなればなるほど税率が上がっていき、最大55%にもなります。

そうすると、例えば40%、50%、55%くらいの税率で納税している、年収1000万円を超えの層になると、節税をしたいなと思うのが実情だと思うんですね。

ただし、本当に1000万円クラスは節税をすべきかどうかというのは、1つのポイントになってきます。

例えば、900万円以上1800万円以下、いわゆる900万円のゾーンは所得税と住民税を合わせると43%くらいの税率になるんですね。

税率43%で、年収1500万円(課税所得1500万円)の方が、税金500万円分なにかを買って節税したとしましょう。

すると課税所得は1000万円になるので、ちょうど500万円の部分は所得税と住民税を合わせて43%です。つまり500万円に対する43%なので215万円程度が少なくなるんですね。

このように、所得税率が高いところに属している方に関しては節税すると、確かに得をしているようには当然見えます。

しかし忘れてはいけないのは、例えば今の話だと43%の税金を減らすために必要な資金はいくらかということ。

ズバリ、500万円ですね。
課税所得1500万円の人が1000万円にしたいので、500万円分の節税をする。

節税をするというのは、何かを購入し、それを経費として計上することで経費分マイナスになったということです。

つまり215万円先ほどの500万円を節税したという話でいうと、215万円の税金を節約する代わりに500万円の支出が必要なんですね。

会社経営者で節税を考える方も多いと思いますが、会社も個人と同じことが言えます。

約30%の法人税がかかると考えた場合、1000万円分経費として計上したら300万円分の税金が圧縮される、要は節税されるという話ですが、この300万円の税金を抑えるにあたって、必要なお金は1000万円です。

先程の個人の話も同じですね。

年収4000万円以上の方は所得税と住民税を合わせて55%の所得税がかかるわけですが、例えば年収5000万円の方が、1000万円分何かを購入されて節税できたとしましょう。

その方は年収4000万円として申告ができるので、1000万円分は節税できたことになります。
税率55%、つまり1000万円に対して550万円の税金が圧縮されたと言えるんですね。

何が言いたいかというと、所得の高い低いで有効な節税率が変わってくるわけなんですよ。

そう考えると、あくまでこれは持論ですが、1500万円以下、特に1000万円前後ぐらいまでの方に関してはあまり節税する意味はないと思います。

つまり500万円、1000万円、2000万円くらいは貯金から出しても、将来的な投資に対してまったく影響はないんですね。

単に銀行の口座で眠らせているだけで「全然そんなお金は大丈夫ですよ」という方がいらっしゃれば、確かにわずかな税金でも削るのはありかもしれません。

ただ、資金効率という意味で考えたら、そこに使うよりは投資に回して、純粋に所得を伸ばしていくほうがいいのではないかと思います。

今お伝えした通り、節税するために使ったお金より少ない金額しか税金として免除されないわけです。

しかも、それも今年の話であって来年以降は多くの場合が事業用途として節税をするので、
例えば、節税を1000万円したとすると、その1000万円を次年度以降に回収していくことになるわけですね。

その回収時のお金は、当然ながら所得に足されるので、あくまで税金の繰り延べというのが基本的な節税の考え方になります。

ということは、今その資金を使って今年の税金を抑えて来年以降に税金を繰り延べるという考え方をするよりは、今その資金を使って総枠に総収入、ないしは生涯所得を増やすべきだと思います。

生涯所得を増やすというところにフォーカスしたほうが、多くの人にとってはプラスになるでしょう。

また、少し話がズレますが、所得が1500万円、2000万円を超える方は会社経営をされていたりお医者さんをされていたり、あるいは大手外資系金融会社で働いている方が多いと思います。

そういった特殊なお仕事をされている方に関しては、節税するメリットがあります。

節税をするにあたっては、収入がどれくらいあるのかを考えるべきでしょう。

税金を稼いだお金以上に支払うことはありません。

それでもなぜか手元のお金が減っているというのは、あくまでも自分がほかのことに使っているからそう感じるだけであって、個人でも税率は最高55%です。

半分強は取られていきますが、逆に考えると半分弱は手元に残るんですね。

多く稼いだら、必ずしも節税をしないといけないというわけではないので、そこを理解した上で対策していきましょう。

今回の確定申告、特に個人の方に関しては、去年の12月で締められているので、シンプルに現状のものをしっかりと申告してください。

2021年はまだ始まったばかりです。
今年の稼ぎに関しては、FXで稼いだのか給与で稼いだのかによって税金の種類は違うので一概には言えませんが、やはりしっかりと所得を増やしていく、しっかりと稼ぐ、という部分にフォーカスしましょう。

すると、投資に回せる資金も増えていきます。

ぜひこの部分を念頭に置いて、今後も資産形成に取り組んでいただければと思います。

それでは、本日は以上となります。
ご覧いただきましてありがとうございました。

池田和弘 資産運用のすべてを知る男、池田和弘にインタビュー|前編