株式投資に関するセミナーや参考書では、必ずと言っていいほど損切りの重要性が紹介されています。
ただ多くの投資家が、損切りの重要性を頭で理解しつつも、なかなか実践できておりません。特に初心者の方であれば、その傾向は顕著であると言えるでしょう。
では、どうすれば適切なタイミングで損切りに踏み切れるようになるのでしょうか?
本記事では、株式投資の損切りに役立つ取引ルール・相場格言を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
株式投資における損切りとは?
株式投資における損切りとは、注文時よりも価格が下がって含み損を抱えた銘柄を、売却して損失を確定させることです。
基本的に株式投資は、銘柄の値上がりを見越して買い注文を入れることになりますが、予想に反して価格が下がってしまった場合、どこまで下がるのか定かではありません。
そこで損失の拡大を防ぐために、早い段階から損失を確定させて口座資金を守るというのが、損切りの主な目的となります。
株式投資の損切りが難しいとされる理由
そもそもなぜ損切りが難しいとされるのか、それには明確な理由があります。
損切りを徹底して運用を安定させるためにも、まずは損切りを妨げる要因について知っておくと良いでしょう。
理由1:プロスペクト理論
人は誰しも、利益を取る喜びより利益を失う痛みを避けたがる特性があり、これを行動心理学では「プロスペクト理論」と呼びます。
損切りすべきだと感じていても、プロスペクト理論によって非合理な選択をすることになるため、利益はすぐに確定する一方で損失の確定は先延ばしにしてしまうのです。
これを克服するためには「取引回数をこなして損切りに慣れること」、そして「目先の利益ではなくトータルで利益を残す」という意識が必要になります。
理由2:値戻りの期待
株価が下がったとしても「待っていればいつかは戻ってくるだろう」と根拠なく考えてしまうのも、損切りが難しくなってしまう理由の1つです。
また含み損が大きくなりすぎると、冷静な判断力が保てなくなったり、都合よく物事を考えてしまったりするため、さらに損切りが難しくなってくるでしょう。
株式投資で長く生き残るためには、損切りを損失と捉えるのではなく必要経費と割り切って、淡々と確実に行っていかねばなりません。
損切りに役立つ取引ルール
相場状況に対応して損切りを判断するというのは、相場観の乏しい初心者にとって至難の技です。
そこでまずは、どういった状況になれば損切りを実行するのか、取引のルールを決めておくと良いでしょう。
取引ルール1:値幅 or 損失額
初心者にとって最も分かりやすい損切りラインの決め方は、「株価が〇%下落したら損切り」「含み損が〇円になったら損切り」というように、具体的な数値を定めておくことです。
ただ銘柄によって値動きの激しさ、想定される変動幅は異なるため、損切りラインの数値を一律に定めるべきではありません。
ある程度馴染みがある銘柄を選び、価格変動の大きさから適切な損切りラインを模索していく必要があるでしょう。
取引ルール2:トレンド転換
テクニカル指標によって、上昇トレンドから下落トレンドに転じることがあれば、そこもまた損切りすべきタイミングです。
値上がりが期待できなくなれば利益が取れないため、下落トレンドの渦中で銘柄を保有していた場合、含み損を拡大させる可能性が高くなります。
例えば「移動平均線が上向きから下向きに変わった」「ローソク足とトレンドラインが乖離し始めた」というように、指標からトレンド転換が判断できるようであれば、迅速に損切りを行うべきでしょう。
取引ルール3:週末や決算発表のタイミング
週末から週明けにかけて、何かしらの情報や出来事が起きれば株価も大きく反応します。
そのため週末や決算が発表される前のタイミングでは、極力銘柄の保有を避けるべきであると覚えておきましょう。
一か八かで損切りを保留するよりも、まずは資金を守ることを最優先に考えておいてください。
どうしても損切りできない時は?
自分の意志で損切りが難しい場合は「逆指値注文」の活用も一案です。
逆指値注文とは「損切を予約するための注文」であり、相場を監視していなくとも自動的に決済が入るようになるため、損失を一定範囲に限定できるというメリットがあります。
逆指値によって損切りを仕組み化しておくことで「チャートを見て悩む」「損切りのタイミングを逃す」といったこともなくなりますので、ぜひとも活用していきたいところです。
損切りを勇気づける相場格言
相場格言には、先人の学びや経験が凝縮されています。
損切りの勇気が出ない時は、本節で紹介する相場格言を思い出してみてはいかがでしょうか。
1:見切り千両
損切りすることによって損失が確定しますが、千金の価値があるほど大切なものが手に入ります。
それは「損切りを適切に実行した」「取引ルールを遵守した」という成功体験であり、これは今後の投資人生において、自分の資金を守る屋台骨となってくれるでしょう。
取引ルールを徹底させるための先行投資であると考えれば、損切りも躊躇しなくなるはずです。
2:意地商いは破滅の因(もと)
「意地でも最後まで保有し続けてやる」といった考えは、後々大きく響くことになるでしょう。
株式投資では、相場の状況を見て適切に立ち回る柔軟性が必要になりますので、「意地」や「初志貫徹」といった気概は、むしろ損失を拡大させることになります。
含み損を抱えた時は、その銘柄を今後も保有し続ける価値があるのか、冷静になって分析し直してみてください。
3:しまったはしまえ
それなりに取引回数を重ねると、「しまった」と思う局面に一度や二度は出会うはずです。
注文数を間違えたり取引ルールから逸脱していたり、「しまった」と思われる要因は様々ありますが、そうなった時点で勝負の大勢は決しています。
後悔しながらダラダラと銘柄を保有し続けても、大抵は傷口を広げるだけとなりますので、素直に損切りして取引態勢を一度整えるべきでしょう。
損切りを減らす方法
損切りの重要性についてはここまで紹介した通りですが、そもそも損切りしないためには、どういったポイントに気をつけるべきでしょうか。
損切りを減らす1つのコツとしては、取引毎に「週足・月足といった上位足のトレンドを確認すること」です。
例えば以下のチャートのように、週足や月足のチャートが下落トレンドであれば、買い注文を入れるべきではありません。
なぜなら株式相場では、上位足に移るほどチャートに及ぼす影響力は大きくなり、いくら下位足が上昇トレンドでも簡単に上位足の下落トレンドに飲み込まれることになるからです。
逆にいえば、下位足の下落トレンドで含み損を抱えたとしても、上位足の上昇トレンドで救われる可能性は高くなる、つまり損切りを迫られる機会が減るということです。
まとめ:生き残るために損切りは不可欠!
本記事では株式投資における損切りについて、以下のポイントを中心に解説しました。
- 損切りに概要について
- 損切りが難しいとされる理由
- 損切りに役立つ取引ルール
- 損切りできない時に活用したい逆指値注文
- 損切りを勇気づける相場格言
- 損切りを減らす方法
株式投資で長期的に生き残るためには、必ず損切りのテクニックを習得しなければなりません。
株価が回復する見込みや根拠があれば様子見することも一案ですが、考えもなしに損切りを先送りにしていると、いつかどこかのタイミングで大損を被るでしょう。
そのためまずは損切りそのものに慣れて、心理的な障害を取り払うことから始めてみてはいかがでしょうか。
以上、参考にしていただければ幸いです。
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