サンクコストという言葉をご存知でしょうか?
メンタルが重要視される投資において、とても関連性の高いキーワードになっています。
今回は、サンクコストについて事例も踏まえて解説していきます。
目次
サンクコストとは
「サンクコスト(Sunk Cost)」とは、日本語では「埋没費用」といわれまして、『事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力』のことをいいます。
初めは「え?」となりますが、理解するとなかなか面白い概念です。
せっかくなので投資という行為で当てはめてみましょう。
例えば、
≪株式投資をしたら思惑に反して値下がりして損失となった≫
よくあることですね。
このとき、
- 投資資金
- 費やした時間
- 費やした労力
は、どうあがいても取り戻せません。
(タイムマシンで過去に戻る事ができれば話は別ですが・・)
この時点で株式売却をして手仕舞いしたり、追加投資をしたりしても取り戻せませんね。
これらの取り戻せない(回収不能)ものが、サンクコストです。
サンクコストの影響を知る
サンクコストがあることでどのような影響があるのでしょう。
例えば、失ったサンクコストを取り戻したいという心理的状態となります。経験がある方も多いと思います。
時系列でみるとこんなイメージです。
①【ニュートラルな状態】
ある銘柄が期待できそう(株価上昇しそう)なので投資した
↓
②【サンクコスト発生】
思惑に反して損失となった(株価下落)
↓
③【影響を受けた意思の発生】
・株価が戻れば損失がなくなるので待とうか?きっと上がる。
(損失を挽回したい心理・希望的展望)
・○○年間も保有してるし、勉強もたくさんした自信もあるしこのまま保有かな?
(費やした時間、労力、愛着を評価する心理)
④【ニュートラルな状態ではない意思決定】
当初ほどの根拠はないけど、損失確定も嫌だし、保有し続けた
・・俗にいう株の塩漬け状態です。
様々な心理的影響を受け、合理的な投資の意思決定ができていないのがみえますね?
これがサンクコストの影響と効果です。
合理的判断とは
では、合理的な判断はどのようなものなのか。
これは、ニュートラルな状態に戻り下す意思決定であると考えます。
なぜならば、投資行為は目標があり、計画があり、実行しているはずだからです。
このスタート地点に戻り、
- 今からしようとしている投資行為は合理的なのか?
- 感情的になっていないか?
- 今手元にある資産で最善は何なのか?
などを、サンクコストを評価・判断に一切加えずに決定するということです。
人間である以上、簡単ではないことも多いかもしれません。
サンクコストの影響の事例
続いて、サンクコストの影響を事例付きで解説していきます。
・パチンコでたくさん投資したが当たらない。ここでやめても大負けだし、そろそろ当たるかもしれないし、引くに引けなくなり追加で投資したが傷口を広げてしまった。
(それまで投資した金額と当たる確率は関係ないが判断に影響)
・長い行列のできているお店の列に並んだ。並んですぐならば他の店へ変更するのはたやすいが、長時間並んだので他の店へ変更をすることが難しくなった。
(それまで費やした時間がもったいないので判断に影響)
このように、合理的な判断ができなくなってしまうのがサンクコストの影響です。
まとめ
今回は、知識・テクニック面ではなく、投資行為における、私たちの内面の感情的な分野のお話でした。
サンクコストは、投資行為のみならず、日常生活においても、知らないうちに私たちに起こり得る感情・傾向でしたね。
わいてきた感情に支配されるのではなく、わいてきた感情はいったん認めて、その上で客観的に自分のこれからの行動を評価・判断する。
これが対応策となります。
ポイントは、「過去」ではなく『未来』にフォーカスすること、です。
判断を迫られているときには、ぜひニュートラルに戻り、まっさらな状態から考えてみてください。
人間であることを楽しみながら、投資と向き合い成長していきましょう。