今回は、外貨投資をする上で、大事な米ドル/円のお話。過去15年ほどの米ドル/円及びユーロ・英ポンドの動きに注目してみます。そこから何が見えてくるのでしょうか。
目次
2012年のアベノミクスが、米ドル/円の転換点
米ドル/円の月足チャート 2004年~
チャート作成:TradingView
米ドル/円が、過去どのように動いていたか。一本の棒が1ヶ月の値動きを表す月足チャートを見てみましょう。2004年からの動きを長期的に見る事ができます。
これを見ると、日経平均株価と似ている動きをしているところがあります。特に、2012年のアベノミクススタートまで円高が続いていました。2007年6月につけた124円135銭から東日本大震災・ギリシャ危機後につけた2011年10月の75.55円まで、長く円高が続きました。
黒田日銀の異次元バズーカ
そして長く続いたデフレを抜け出し、日本経済を成長させることを目標にアベノミクスがスタートした2012年。目玉は、黒田日銀のインフレ2%を目標とするリフレ政策でした。
※リフレ政策は、中央銀行の力でお金の流通量を増やしてマイルドなインフレを起こし、デフレを終わらせるという政策。
黒田日銀は、異次元の金融緩和というインパクトのあるパワーワードを打ち出し、2013年4月4日にこれをスタート。黒田バズーカを撃ち出した黒田総裁は、まぎれもなく日本経済のヒーローでした。はっきりした言葉で市場を引っ張り、2年間で目標を達成すると宣言。ただし、残念ながら10年近くたった今も、この目標は達成できていません。
もっとも、米ドル/円をはじめ為替相場には効果があり、2015年6月には125.86円まで円安が進み、リフレ政策=正義という風潮もあったことを忘れることはできません。
しかし2014年以降、米国によるシェール革命で原油安が生じ、物価が低下したこと。2015年8月に起きたチャイナ・ショック(中国発の世界同時株安)などが黒田日銀の足を引っ張ります。
結果、米ドル/円は、円高・物価は、デフレへと逆戻り。そしてここ数年、110円前後のレンジ相場になっています。
ユーロ/円の月足チャート
チャート作成:TradingView
さて、次に、欧州(EU)の通貨であるユーロ/円。こちらも、ざっくりとした流れとして、米ドル/円と似たような動きであることを、上のチャートで、お分かりいただけると思います。
2008年のリーマンショック以降に進んだ円高トレンド。そして、アベノミクスからの円安トレンドは同じ。ユーロ独自の材料として大きいのは、2016年6月に起きたEU離脱を決定づけるイギリスでの国民投票(ブレグジット)。これによって、EUの景気悪化などが予想され、ユーロは一時的に値下がりしました。
英ポンド/円の月足チャート
チャート作成:TradingView
次にブレグジットの主役となった英国の通貨、英ポンド/円のチャートを見てみましょう。
さて、3つの通貨を見てきた中で、あなたも気づいたのではないでしょうか?
値動きが似ているなと!
そう。為替相場の場合、米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円など先進国の通貨と日本円の交換レートは、似た値動きをしています。極端に言えば、欧米/円と見ることができると思います。
なぜ、こうなるのか。シンプルに言うと、こういうことです。
米国・欧州(EU)・英国などの先進国はお互いの繋がりが強く、似たような金融政策・景気になりやすいから。政府も中央銀行も密に連絡を取り合い、ヒットする商品も似ています。そのため、為替相場の動きも似たような動きになりやすいのです。