2022年の確定拠出年金の改正点(上)加入できる年齢が拡大される

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2001年10月に確定拠出年金がスタートしてから20年。
高齢化の進行など環境の変化に伴い、確定拠出年金制度の見直しが重ねられています。

2022年に改正される項目について、3回シリーズで解説していきましょう。

(上)加入できる年齢が拡大される
(中)受給開始時期が75歳に延長される
(下)企業型の加入者がiDeCoに加入しやすくなる

第1回目は、『(上)加入できる年齢が拡大される』です。

確定拠出年金2022年の確定拠出年金の改正点(中)受給開始時期が75歳に延長される iDeCo2022年の確定拠出年金の改正点(下)企業型の加入者がiDeCoに加入しやすくなる

確定拠出年金に加入可能な年齢が引き上げられる

確定拠出年金制度は、加入できる年齢が決められています。

現在、個人型確定拠出年金(イデコ、iDeCo)は60歳まで。企業型確定拠出年金(企業型DC)は60歳までか、規約の定めがあれば、引き続き同じ事業所に雇用される者なら65歳まで加入可能になっています。

高年齢者の就労延長の広がりに歩調を合わせ、確定拠出年金の加入可能年齢が引き上げられることになりました。
2022年5月1日施行です。

では、加入可能年齢の引き上げについて、iDeCoと企業型DCに分けて説明しましょう。

iDeCoの加入可能年齢が65歳までに

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まずiDeCoは、国民年金被保険者であれば、65歳未満まで加入できるようになります。

ただし、現役時代にiDeCoに加入しiDeCoの老齢給付金を受け取り始めている人、公的年金の老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取り始めている人は、個人型DCに再加入することはできません(特別支給の老齢厚生年金については、本来の支給開始年齢から受給している場合はiDeCoへの加入資格があります)。

なお、60歳以降に初めてiDeCoに加入する人は、加入時(または運用指図者資格取得時)から5年が経過しないと老齢給付金を受け取ることができません。

ここで注意したいのは「国民年金被保険者であれば」という点です。
国民年金第1号被保険者(自営業者など)および第3号被保険者(専業主婦・主夫等)は、原則として、60歳以降は国民年金被保険者ではなくなります。

「え? それじゃあ、iDeCoには入れないでしょ」と思うかもしれませんね。

国民年金には「任意加入」という制度があります。
任意加入をすれば、60歳以降も引き続き国民年金被保険者になり、iDeCoに加入できます。

国民年金の「任意加入」とは?

国民年金保険の加入制度とは、未納の期間や、保険料支払いの免除・納付猶予を受けて追納をしていない期間がある場合に利用できる制度です。

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない人、60歳以降も保険料を納めて老後の受取年金額を増やしたい人が利用しています。

任意加入ができるのは、60歳以上65歳未満の人で、老齢基礎年金の繰り上げ受給をしていない人、そして厚生年金保険に加入していない人です。

また、外国に居住する20歳から65歳未満の日本人も任意加入ができます。
これまで海外に住む人は、国民年金の任意加入ができてもiDeCoには加入できませんでした。
2022年5月からは、海外居住者でも任意加入していれば、iDeCoに加入できるようになります。

60歳以降の厚生年金被保険者のiDeCo

公務員や、職場に企業型DCがない会社員、規約によってiDeCoへの加入が認められている企業型DCの会社員は、iDeCoに加入することができます。

これらの人が60歳以降も厚生年金被保険者として働いていれば、「国民年金保険の第2号被保険者」なので、65歳までiDeCoに加入することができます。

企業型DCは70歳未満まで加入可能

女性

現在は、企業型DCの規約に定めがあれば、60歳までと同じ事業所に継続して働く65歳未満の人は、規約が定めた年齢まで企業型DCに加入できます。

2022年5月1日以降、厚生年金被保険者であれば、70歳未満まで加入できます。
ただし加入できる年齢は、規約で60歳以上70歳未満までの間で定められ、企業ごとの制度設計によって異なります。
また、これまでの60歳~64歳の加入要件だった「同一事業所に継続して働く」は撤廃されます。

なお、60歳以降に初めて企業型DCに加入する人は、加入(または運用指図者資格取得時)から5年経過しないと老齢給付金を受け取ることができません。

現役時代に企業型DCに加入し、DCの老齢給付金を既に受け取り始めている人が、企業型DCのある会社に再就職をした場合、再度、企業型DCに加入することはできません。
ただし、この場合、iDeCoへの加入は可能です。

まとめ

シニア2022年5月1日以降、国民年金被保険者であれば、65歳未満までiDeCoに加入できるようになります。
海外居住者も、国民年金に任意加入していればiDeCoに加入可能です。

公務員、職場に企業型DCがない会社員、iDeCoへの加入が認められている企業型DCの会社員が、60歳以降も厚生年金被保険者として働いている場合、65歳までiDeCoに加入できます。

企業型DCでは、厚生年金被保険者であれば、65歳未満としていた加入者上限の年齢を70歳まで引き上げることができます。

今回は、働く年齢が引き上がっていることに対応した、確定拠出年金の加入可能年齢拡大の改正内容を説明しました。
次回は「(中)受給開始時期が75歳に延長される」として、受給開始時期の選択肢が広がる点をご紹介します。

確定拠出年金2022年の確定拠出年金の改正点(中)受給開始時期が75歳に延長される

【参考サイト】
厚生労働省 確定拠出年金制度「2020年の制度改正」