インカムゲインはどれくらい必要?

インカムゲインはどれくらい必要?

前回、キャピタルゲインとインカムゲインについて取り上げました。

今回は、インカムゲインの目標設定はどれくらいとしていくと良いのか、という点について、目安となる考え方に触れながらご紹介したいと思います。

キャピタルゲインとインカムゲイン キャピタルゲインとインカムゲイン

インカムゲインの目標設定

インカムゲインの目標設定について解説していきます。

①:老後の必要コストから

『人生100年時代』といわれますが、人生の3大支出の一つでもあり、長い間必要となる可能性のある「老後生活費」についてみていきます。

生命保険文化センターの調査(令和元年度)によると、夫婦2人で老後生活を送るには

  • 最低限必要な日常生活費:月額で平均22.1万円
  • ゆとりある老後生活費:月額で平均36.1万円

が必要というデータがあります。

データから読み解くと、この金額以上の収入があれば、貯蓄を取り崩していかなくても生活はできるということになります。

例えば、月額で22.1万円の公的年金等の収入があれば最低限の日常生活には困らないかもしれませんが、ゆとりある老後生活は厳しいです。

しかし、月額14万円(年間168万円)ほど、投資から生み出される収益を上乗せできれば、月額36.1万円使えるため、ゆとりある老後生活を送れるということになります。

インカムゲインの例で考えると、

  • 運用資金1億円ならば、年間1.75%の運用で年間175万円。
  • 運用資金5,000万円ならば、年間3.5%の運用で年間175万円。
  • 運用資金3,000万円ならば、年間6.0%の運用で年間180万円。

※手数料、税金等考慮せず

このような資金と運用が実現できるのであれば、公的年金とインカムゲインで、平均的な生活が送れそうだといえそうです。

②:FIREの考え方から

「FIRE」という言葉をご存知でしょうか?

「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字で、経済的独立と早期退職を目標とするライフスタイルのことです。

20代、30代でリタイアする生き方を啓蒙するFIREムーブメントが、2014年頃からアメリカでブームとなりましたが、日本では副業の解禁やテレワーク推進により、この1、2年で広まってきたようです。

特徴として、収入増や支出減を模索しながら、意図的に貯蓄率を最大化する点にあります。その結果、早く目標金額に到達させます。

投資からの収入とシンプルな生活を組み合わせたスタイルです。

4%ルール

米国においては、FIREでの資産の取り崩しに関して「4%ルール」が目安としてあります。
これは、年間に資産の4%(25分の一)づつ取り崩す=資産の4%で生活する
ということで、それを実現するために「年間生活費の25倍」をFIREの貯蓄の目標としています。

例)

  • 年間生活費が400万円であれば、1億円が貯蓄目標
  • 年間生活費が200万円であれば、5,000万円が貯蓄目標

➡実質利回り4%以上の資産運用が前提
実際にはインフレ等も加味する必要がありますが、25年間で取り崩しても減らさないために、単純計算でも4%以上の利回りを想定しています。

なお、FIREは、資産からの所得だけに頼るのではなく、副業や好きなことをやって収入を得るスタイルと組み合わせたりすることで、運用利回りはより低く、貯蓄目標金額はより少なく実現も可能となろうかと思います。

まとめ

今回は、世界一の長寿の国である日本の老後必要コスト、および、FIREの観点から、インカムゲインはどれくらいを目標とするとよいのか、について取り上げてみました。

人気だからと闇雲に投資商品を買うのではなく、インカムゲインを生み出す資産を目標とする時までにコツコツ育てていくのも投資の醍醐味です。

国内の金融商品のみですとパフォーマンスは小さく見込みがちですが、世界を見渡すと期待値の高い金融資産も結構あるものです。

社会が劇的に変化している今、ご自身の目標とするライフスタイル実現のために、柔軟な視点をもち「お金の知識」についても勉強していきたいものですね。

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