インフレやデフレってどういうメカニズムで発生するの?

インフレ デフレ

アフターコロナへの動きのなかで、いま世界的に「物価上昇(インフレ)」が話題になり始めています。特にアメリカでは人手不足の解消がなかなか難しいようです。

物価上昇については、7月発表の6月データが、前年同月比5.4%とさらに大きくなってきたということもあり、「いつテーパリングがスタートするのか?」という話題が日増しに大きくなってきています。

テーパリングとは「先細り」という意味で、マーケット関係者の間ではよく使用されている言葉です。中央銀行が需要喚起のために行ってきた、資産買入による量的緩和を徐々に減らしていくことです。

もちろん現実の経済では、量的緩和をすれば需要が喚起され、金融引締めを行えば物価上昇に歯止めがかかるという単純な話ではありません。

そこで、経済や金融関係の難しい書籍を開くと「ウッ!」となってしまう筆者のようなかた向けに、インフレデフレのしくみについてご紹介します。細かい計算式や文章はひとまずおいといて、だいたいのイメージをつかんでいただければ幸いです。

政府債務が膨らんだからといってインフレになるわけではない

もしかしたら、「日本の借金がとんでもない状態になっている」というような表現は聞いたことがあるかもしれません。筆者も便宜上、「借金」という表現をすることもありますが、実はこれは大きな誤解を与える表現です。

一般的には「政府債務の増加」というような表現をします。政府の「債務」です。

債務者である政府の相手は、お金を支払う側の「債権者」である、銀行などの金融機関などとなります。

このやり取りにより、日本銀行(日銀)にある、債務者である政府の当座預金(決済口座)の口座残高のデータ(①)が増えます。一方、債権者である金融機関は、同じく日銀にある当座預金の口座残高のデータ(②)が減ります。

②から①へ現金紙幣が移動するわけではなく、単純に①のデータ(数字)が増え、②のデータ(数字)が減るだけです。

「政府が借金をしまくっている」「お札を刷りまくっている」という表現は、このメカニズムを理解していれば、そもそも間違っているのです。

インフレやデフレになるメカニズム

なぜインフレ(需要過多・供給不足)やデフレ(需要不足・供給過多)になるのか?難しい言葉や数式はおいといて、これはたった1つの図で説明できてしまいます。

インフレ・デフレのイメージ

インフレ・デフレのメカニズム

インフレ(物価上昇)というのは、生産能力をフル回転させた本来の供給力を、需要が大きく上回っている状態です。コロナショックの初期段階における、トイレットペーパーやマスクなどをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。

トイレットペーパーは日常生活で欠かせないものですが、日々の使用量や使用ペースはだいたい予測がつきますので、生産体制もそれにあわせてシステム化されています。

そこへ、コロナ禍の外出規制や海外からの輸入が大きく減少してしまうと勘違いした人々の買いだめにより、生産と物流が追いつかなくなり、各地で在庫がなくなってしまいました。

マスクも季節によって、生産計画がくまれているはずですが、ニーズ急増により在庫が減り、価格が高騰したのは記憶に新しいでしょう。

反対に、デフレ(物価下落)というのは、この逆です。需要に比べて供給力が有り余っているために、値下げしないと売れない状態になってしまいます。マスクの価格がピークアウトした後をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

むしろ羨ましいくらいのアメリカ

このインフレ・デフレのメカニズムを理解したうえで、アメリカをみてみましょう。

アメリカの場合は、外出規制中の民間への資金供給を少し多くやりすぎてしまったかもしれない状態のところへ、アフターコロナを見越した国民の活動が、徐々に活発になりました。潤沢な資金が準備されたうえに、その資金を活用した需要の拡大が効果的にうまくいきすぎたのです。

一方、日本は財政出動により供給力はある程度維持されたものの、資金供給がまだ不足しており需要回復が弱い印象を受けます。

あらかじめこのようなメカニズムを理解しておくと、各種データや統計を調べた結果の解釈がまた変わってくるのではないでしょうか。

資産運用に密接に関係する金融・経済・歴史という分野は、一般的にはとっつきにくいかもしれませんが、ある程度のイメージができていれば、自分にあったペースやレベル感で、より理解を深めることも可能です。

このようなアプローチは、お金を貯める・増やすということに直結するわけではありませんが、長期にわたって積立投資を継続していくなかで、なぜ資産運用をするのか?なぜ継続するのか?どう継承していくのか?といった判断の材料になると確信しています。

金融・経済・歴史については、まずは難しいことはさておき、「それってつまり、●●ってこと?」というようなざっくりとしたイメージから覚えていくことがオススメです。