レバレッジ型・インバース型ETFにご注意を

レバレッジ型 インバース型 ETF

ETF(Exchange Traded Fund)は、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価などの株価指数や、金価格のようなコモディティ価格と連動する投資信託です。一般的には、投資初心者にも取引しやすいと言われている金融商品ですが、中には気をつけなければならないETFもあるので注意が必要です。

そもそもETFは「わかりやすさ」が特徴

ETFは「上場投資信託」のことで、証券取引所で株式と同じように売買されています。証券取引所の取引時間内ならいつでも売買できる、ニュースや新聞で報道される情報から価格を把握しやすい、などの特徴を持ちます。また、株価指数に連動するETFの場合、指数を構成する銘柄に分散投資するため、リスクを抑える効果があります。

ETFが東京証券取引所で初めて売買されたのは、2002年7月。当初、ETFが連動する指標は、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価などの代表的な株価指数に限られていました。シンプルなETFだけだったため、投資初心者でも取引しやすいとされていたのです。

近年では複雑なETFも

後に、諸外国のようにETFの多様化が求められ、業種別指数や規模別指数など、連動対象の株価指数が増やされました。さらに段階を経て、現在はコモディティ価格、先物取引に連動するETFも導入されています。

なかでも、レバレッジ型やインバース型のETFは、商品性がかなり複雑なうえ、リスクが高くなっています。にもかかわらず、証券会社などの案内で「ハイリターンが狙えます!」と、オイシイ面を強調した表現を見かけることがあり、ちょっと気がかりです。

なお、ETFで「レバレッジ型」と呼ぶタイプは、一般の投資信託では「ブル型」といいます。ETFの「インバース型」は、一般の投資信託では「ベア型」といいます。

レバレッジ型・インバース型とは

レバレッジ型 インバース型

レバレッジ型(ブル型)は強気の投資家が選ぶ

レバレッジ型とは、TOPIXや日経平均株価など、値動きの元になる指標(原指標といいます)の変動率の数倍の値動きをする「レバレッジ型指標」に連動するように設計されています。

例えば、「TOPIXレバレッジ(2倍)指数」は、指数の変動率が日々のTOPIXの変動率の2倍になる指数です。TOPIXが前日比1%値上がりした日は、TOPIXレバレッジ(2倍)指数は2%の値上がりとなるように作られています。

今後、相場上昇が見込めると思う強気の投資家が、レバレッジ型を選びます。

インバース型(ベア型)は弱気の投資家が選ぶ

一方、インバース型とは、TOPIXや日経平均株価などの原指標の変動率に対して、マイナスの倍数を乗じた値動きをする「インバース型指標」に連動するように設計されています。

マイナスの倍数というのは、原指標とは逆の動きをするということです。例えば、「TOPIXダブルインバース(2倍)指数」は、TOPIXの日々の変動率の-2倍の変動率になるように設計された指数です。TOPIXが前日比1%値上がりした日は、TOPIXダブルインバース(2倍)指数は2%値下がりするように作られています。

相場が下落した時に、反対の、しかも数倍の値上がりをするのですから、今後、下げ相場が続くと思う投資家が選択するのがインバース型です。

レバレッジ型・インバース型の注意点

レバレッジ型・インバース型のETFは、原指標が1日で動く変動率の数倍の動きをするように設計されているので、当然ながら、原指標に連動するETFと比べて日々の変動率が大きくなります。例えば2倍型であれば、1日の変動率の2倍、翌日も1日の変動率の2倍です。1日単位で複利の変動率となるのです。

そのため、相場が一方に上昇を続ける、または下落を続ける場合、投資期間が長くなるほど、原指標の変動率とレバレッジ型・インバース型の指標の変動率の差が大きくなる可能性があります。値上がり局面での利益額も、値下がり局面での損失額も、原指標に連動するETFより大きくなるので注意が必要です。

また、相場が上昇と下落を繰り返すような局面では、複利効果が仇になります。上げ下げを繰り返して原指標が数日前の価格を回復したとしても、レバレッジ型・インバース型の指標の特性では、数日前の価格に戻らないのです。相場が上げ下げを繰り返している時は、思ったほど利益が取れない可能性があることを覚えておきましょう。

まとめ

原指標に連動するETFと比べてリスクが高い、レバレッジ型・インバース型ETF。注意点を踏まえると、長期の資産形成を目的にしている人や、投資経験が浅く判断が難しという人には向いていません。主に短期売買でリターンを得たいという方針の投資家に向いているといえるでしょう。