なぜ日本はこんなに税金が高いのか?お金のプロが徹底解説!

日本 税金 取りすぎ

日本で暮らしていると、さまざまな場面で収めることになる「税金」。

毎月の給料明細を見て、「えっ!?こんなに税金って取られるの!?」と驚いた経験、あなたもありませんか?

それなのに、テレビではすぐに「増税」の話が議題に上がり、「私が収めた税金は、一体どこへ消えているんだ……」と、国とお金の行方が2つ同時に見えなくなってくる今日この頃。

税金額の大きさに「働いたら罰金(所得税)」「買ったら罰金(消費税)」「住んだら罰金(住民税)」など、ネット上では日本の税制を揶揄する表現まで広がっています。

このように ” 日本の税金は高い ” というのが大方の意見ですが、果たして本当にそうなのでしょうか?

今回は ” 高い ” と言われる日本の税金と、その真相について解説していきたいと思います。

日本の税金は本当に高いのか?

まず結論からお伝えすると、日本の税金はそこまで高くありません。
ただ、安いわけでもありません。

今の日本の主な税金と税率は下記のようになっています。

  • 法人税:38.01%
  • 個人税:15〜50%
  • 給与税:25.63%
  • 消費税:10%

(2021年2月4日現在)

この数値を見てみると、決して安くはありません。
ですが、実は他の国でも、同じくらいの税率は取っているんです。

例えばイギリスの例を見てみましょう。

  • 法人税:40%
  • 個人税:55.9%
  • 給与税:3.8〜15.3%
  • 消費税:0〜11.725%

(2021年2月4日現在)

と、法人税と個人税は日本を上回っています。
さらにスウェーデンの場合は、下記のとおりです。

  • 法人税:22%
  • 個人税:59.7%
  • 給与税:31.42%
  • 消費税:25%

(2021年2月4日現在)

このように所得に対する税や消費税といった、すべての国民が負担する税金は、日本よりも高い税率となっています。

このことからもわかるように、日本の税金は他国と比べても、突出して高いわけではありません。
むしろ項目によっては、日本よりも税率が高い国すら存在しています。

それでは、なぜ「日本は税金が高い」と言われてしまうのか?
続いては、その真相をお話しましょう。

日本の税金が高いと言われる本当の理由

他の先進国と比較しても、そこまで高くないはずの日本の税金。
それなのに「高い!」と言われる理由がいくつかあるのでご紹介します。

理由1:ケタ違いに安い国や地域がある

税制は世界各地で当然変わってきます。
中には、ケタ違いに税金が安く設定されている国も存在するんです。

代表的な国といえば、シンガポールです。

  • 法人税:17%
  • 所得税:最高20%
  • 相続税:なし
  • 贈与税:なし
  • 住民税:なし

(2021年2月4日現在)

法人税や所得税は、” 日本よりは低い ” というくらいですが、驚くべきは「相続税」「贈与税」「住民税」が存在しないこと。

シンガポールの他にも、香港も税金の安い地域として有名ですね。
こういったケタ違いに税率の安い国や地域があるため、そこと比較されることで、日本の税金は高く見えてしまうんです。

理由2:相続税が高い

税金の中には、日常生活に紛れているものも多くあります。

住民税や所得税は給料から天引きされていることが多いですし、消費税は買い物の値段に含まれるので、なかなか税金自体の金額を実感しにくい場面もあります。

だからこそ、「なかなかやって来ない場面」の税金は、大きなインパクトを与えがちです。
その最たる例こそが「相続税」。

日本の相続税は10%~55%に設定されていて、これは先進国の中でもトップクラスに高い税率。
先進国の中には相続税がない国も多く存在するため、その衝撃はかなり大きいですね。

また「相続税」は相続した額によって、税率が変わってきます。
1000万円以下なら10%ですが、3億円を超えると50%も税金に持っていかれます。

そのため、残されるご家族へ少しでも多く遺産を残したい方や、高額の遺産を受け取る方が、いざ相続の場面になった時「こんなに持っていかれるのか!?」と大きな衝撃を受けてしまうんです。

ちなみに相続税が高い理由は、「富を再分配し所得格差の固定化を防ぐため」と「勤労意欲をなくさないため」だそうです。

肉親が思いやりで残してくれた財産なのに「楽して稼いだら働かなくなるから」なんて理由で、税金を取っていくなんて、あまりにもひどい話な気がします。

理由3:インフラの整備にお金をかけている

インフラとは、道路・鉄道・上下水道・ダム、学校・病院・公園・などの、産業や生活の基盤になる施設のことで、これらを建設したり整えたりすることをインフラ整備と言います。

記憶に新しいところですと、2011年の東日本大震災の時。
東北地方の高速道路は、地震による「うねり」が至るところに発生しました。

車が通行するには「数ヶ月単位の工事が必要」だと思われていましたが、驚くことに翌日には特殊車両や緊急車両などが通行できる状態まで復旧し、多くの方々を驚かせました。

そう、日本はインフラ整備にそれくらい力を入れているんです。

有事の際の素早い対応や、地方都市での交通網や通信網の整備などを積極的に行っていくためには、当然多くのお金が必要となってきます。

なので、税率がどんどん上がっていってしまうんです。

理由4:節税できないように「がんじがらめの税制」になっている

日本の所得税は累進課税と言って、所得額によって税率が変わっていきます。
つまり、稼げば稼ぐほど税率が上がっていく仕組みなんです。

こんな状況ですから、高所得者は「自分の所得を上げないためにできることはないか」と頭をひねり、その結果「海外に資産を持つ」という発想が生まれます。

例えばオーストラリアで不動産を持ち1億円の利益が出ても、その利益がオーストラリアの銀行口座に入れば、オーストラリアでの収入になるので、日本での所得に1億円がプラスされることはないはずですよね。

税金の安い国に収入を分散させることができれば大きな節税を期待できるのですが、その思惑を阻む存在こそが「全世界所得課税方式」です。

この方式を簡単に説明すると、「日本人であるなら、世界中のどこで稼ごうが、一旦日本で申告しないといけない」というものです。

「全世界所得課税方式」によって、活動拠点が日本の方は世界のどこで収入を得ようが、必ず日本の所得に上乗せされてしまい、「累進課税の魔の手」から逃れることができないんです。

この制度を導入している限りは、税理士に相談しても、あまり節税をすることができません。

それに加え、今までは海外でマイナスが出た場合、それも日本の所得に合算でき、税率を抑えることもできたのですが、2021年から一部の仕組みが変更される動きがあります。

具体的には、海外で得た「利益は合算」しなければいけませんが、「マイナスは合算できなくする」動きがあるため、さらに厳しい環境になっていくと思われます。

どうして日本の税金はこんなにも厳しいのか?

インフラ整備や社会福祉など税金によって社会が成り立っているのはわかりました。
それにしても、やはり日本が税金に対して厳しい面があるのは確かです。

なぜ、ここまで税金に厳しいのでしょうか。
その理由は「天然資源」を持っていないことが原因です。

日本と同じようにインフラに力を入れながらも、税金が安い国があるのですが、それはドバイです。

ドバイはオイルマネーで国が潤っているため、税金を安くしても問題ないのですが、天然資源のない日本は、税収に頼らざるを得ない状況なんです。

逆に、日本と同じくシンガポールや香港も「天然資源」を持っていませんが、どちらも税金が安いことで有名です。その理由は、「税金が安いことを国の売りにしている」から。

税金が低いことで海外からお金持ちが集まり、自国民よりも多く利益をあげてくれるので、税率が低くても財源を集められているんです。

海外の方は、ある程度お金を稼いだら活動の拠点を移すことが多いのですが、日本が安全で住みやすい国だからなのか、日本人には「活動拠点を海外に移す」といった考えがあまりありません。
だから、厳しい税制にしても日本を離れず税金を払い続ける方が多いと、政府は考えているかもしれません。

少しでも節税するためには何をすればいいのか?

新型コロナウイルスの影響で、日本の経済は大きく落ち込みました。

この現状から脱却するために、さらなる増税がやってくることが予想されていますが、ここまでお話したとおり、日本の税制は全く逃げ道がないため、払わざるを得ない項目ばかりが、あなたの所得に迫ってきます。

そこで、大幅な節税を実現したいのなら、活動の拠点をシンガポールへ移すことをオススメします。

しかし、日本からシンガポールへ活動拠点を移す時にも、日本政府に抜かりはありません。

「出国税」というものが発生し、株や不動産など現金以外の資産に対して税金がかかってきます。(1億円以上の所得が対象)

かなり悔しい取られ方ですが、移住後の税率を考えたら、得のほうが大きいと言えるでしょう。

それすらも避けたいのであれば、移住をしてから資産を形成していくことになります。

ただ、「節税したいなら海外移住」と言われても、現実味はあまりありませんよね。

日本にいながら節税していくなら、不要になった資産や損になっている資産などを現金化すれば、個々にかかっていた税率を所得全体に分散でき、税率を下げられるケースがあります。

今年収める税金を少しでも安く抑えたいという方は、今回の記事を参考に、税理士さんと相談してみてください。

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