働き方改革の影響もあり、「副業を始めたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか。
本職とは別の収入源を持っておくことで、将来への貯蓄に回したり、生活にゆとりが生まれたりと、生活の幅も広がっていくはずですよね。
しかしながら、副業が法律で禁止されている職業も、中にはあります。
その代表例が公務員であり、「警察官」もそのうちのひとつに含まれます。
警察官というのは、国民の安全と治安を守る重要な職業。
その仕事にやりがいや魅力を感じている方がいる一方で、今後の生活を考え、なんとか収入を増やしたいという思いを抱えている方もいるでしょう。
そこで今回は、警察官の副業事情について詳しく解説していきます。
今まで知らなかった発見があるはずですので、ぜひ最後までご覧くださいね。
目次
警察官の副業事情
まず、公務員である警察官は副業をしていいのか、疑問に思っている方も多いと思いますので、その点を中心に解説していきます。
副業は原則禁止
結論から述べると、警察官は原則として副業は禁止されており、違反すると国家公務員法、または地方公務員法に抵触します。
警察官に限らず、すべての公務員が同じルールですので、まずはこの点を理解しておきましょう。
その中でも、副業を隠れて行っていたことで懲戒処分を受ける警察官は毎年いて、メディアで取り上げられた例もいくつかあります。
「バレないから大丈夫だろう」と思っていても、納税額の増加や密告などによって発覚すれば、最悪の場合は警察官を免職になってしまいます。
警察官でもできる副業
上記でお伝えしたように、警察官に限らず、公務員であれば基本的に副業は禁止されていますが、実は例外もあります。
まずはどのような副業が例外に当たるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
投資・資産運用
公務員でもできる、代表的な副業のひとつが、投資や資産運用。
実は、不動産投資、FX、仮想通貨、外貨預金などといった投資が許可されているんです。
ここでは、3つの投資についてご紹介しますので、この機会にぜひ始めてみてください。
- 不動産投資
- FX
- 仮想通貨
不動産投資
不動産投資は、アパートやマンション、戸建てや駐車場など、何らかの不動産物件を購入して第三者に貸し出し、その家賃を利益として受け取る投資方法のことを言います。
不動産投資には多くのメリットがありますが、特に「長期の安定した収入源になる」という点が大きな特徴です。
あなたも、部屋を借りるときは、通常2年契約にすることが多いですよね。
また、2年の契約満了後も、その契約を更新をする方もいるでしょう。
このように、賃貸は年単位で借りることが多いので、長期的な収入が見込めます。
そして、賃料はよほどのことがない限り大きく下がることは少ないため、比較的安定した収入になるわけです。
ただし、入居者が退室しても、すぐに次の入居者が見つかる保証はなく、入居者がいなければ賃貸収入は入ってきません。
この点も考慮しつつ、慎重に吟味する必要があるでしょう。
FX
FX(外国為替証拠金取引)とは、2つの通貨を売買していく資産運用方法です。
FXは多くのメリットがありますが、中でも株や不動産と違い、世の中の状況がどのように変化しても、資産を増やせるという強みがあります。
例えば、2008年のリーマンショックでは、世界的な金融恐慌に襲われ、株や不動産は一気に下がりました。
もし、この時点で株、不動産を保有していたとすると、資産価値が下落した分、損失や目減りしていたでしょう。
一方FXは、2つの通貨を売買し、その為替差益で利益を得ていく手法ですので、投資対象通貨が上がった場合でも、下がった場合でも、相場の動きを見誤りさえしなければ、安定的に利益を上げていくことができるのです。
また、少額からでも始められるのは、投資初心者にとって非常に嬉しいポイント。
FXは、トレードに関する学習やリスク管理を徹底することで、初心者でもすぐに利益を目指せる投資と言えるでしょう。
仮想通貨
仮想通貨とは、電子データのみでやり取りされる通貨。
よく耳にすることのある「ビットコイン」もそのひとつです。
仮想通貨は、通常24時間365日取引が行えるのが魅力。
警察官の方でも、平日の勤務時間前後や休日を有効に使って、投資をすることができますよね。
また、仮想通貨はFXよりもさらに少額から取引を開始することが可能です。
ただし、仮想通貨は国家の管理を受けない通貨のため、万が一トラブルが起きた場合でも、一切保証がありません。
さらに、仮想通貨は、世界規模の規制やトラブルによって、その価値が急激に下がったりすることがあり、株などよりも市場価格の変動が激しいとされています。
このような仮想通貨の特徴を念頭に置いて、取引をすることが重要でしょう。
本業に関係する副業
警察官の仕事に関係がある副業も認められています。
例えば、以下のような内容が可能です。
- 書籍執筆・監修
- 講師
- 地域貢献活動
こうした場所で、警察官自ら正しい情報を発信することは、警察官のみならず、社会全体にとっても大変意義のあることだと言えるでしょう。
農業
営利目的ではない小規模農業や、実家の家業手伝いなどは副業や自営業に該当しません。
実は、警察官であっても、平日は仕事をして休日は農業をするという兼業農家は、意外と多いです。
ただし、病気休暇中に家業を手伝い、懲戒処分を受けた事例もあるので、注意が必要です。
また、農業は体力仕事でもあるので、本職に支障が出ないよう自己管理することも求められるでしょう。
フリマアプリでの不用品売却
手軽に始められる副業として人気なのが、オンライン上でのフリマ。
メルカリやラクマの普及によって、すでに活用している方も多いでしょう。
警察官の場合、自身の不用品をフリマアプリで売却することは、そもそも副業にあたらないのでOKです。
スマホ1つで出品から売却までできるので、今すぐにでも始められそうですよね。
ただし、商品を安く仕入れて高く売る「転売行為」は認められませんので、不用品売却と混同しないように注意しましょう。
警察官が副業を始める際の注意点
ここからは、警察官が実際に副業をスタートする際に、意識しなければならない注意点について、以下の3点を解説していきます。
- 許可申請の有無の確認
- 事業規模の資産運用はNG
- 副業年収が20万円以下の場合も危険
また、在籍している地方自治体が独自にルールを作っているケースもあるので、事前に確認しておくことをお勧めします。
許可申請の有無の確認
警察官は原則副業ができないとお伝えしてきましたが、「自営兼業承認申請書」を提出し、承認されると副業ができます。
「自営兼業承認申請書」は、副業禁止規定の例外を認めてもらうための申請書なので、この書類の提出が必要かどうか、確認しておきましょう。
例えば、不動産投資が事業規模になった場合は、この許可申請が必要になります。
※のちほど事業規模について解説します。
申請書は直属の上司が受理をし、その行政機関のトップが判断するため、1年半ほど待たされた事例もあり、すぐに始めることができない場合もあるようです。
事業規模の資産運用はNG
序盤で説明した資産運用は、警察官でもできる副業のひとつですが、「事業規模」になってはいけないというルールがあります。
不動産投資の場合は、年間収入で500万円まで。それを超過する場合は届出が必要となります。
過去には、アパート経営で8,000万円収入を得ていたことにより、処分されたケースがありますので、この点は特に注意し、賃貸収入の年額を確認しておきましょう。
詳しいは届出の条件については、こちらからご覧いただけます。
人事院HP:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
副業年収が20万円以下の場合も危険
警察官が認められている範囲の副業をして、20万円以上の収益が得られた場合は、確定申告が必須です。
確定申告をするには、確定申告書に必要事項を記入し、本職の源泉徴収書を添えて管轄の税務署へ提出します。
対して、副業の収入・所得の合計が年間20万円以下であれば、こういった申告は不要です。
そのため、「20万円のラインを超えなければどんな仕事でもOK」という認識を持っている方もいるかもしれません。
しかし、これはあくまでも「所得税」に限ってのこと。
市区町村に支払う「住民税」に関しては、20万円ルールのような特例措置はなく、小額であっても申告しなくてはなりません。
これを怠ると、脱税行為にあたります。
確定申告をしなくて良い場合でも、少しでも収入があれば、住民税の申告を忘れないようにしましょう。
副業選びのポイント
最後に、警察官でもできる副業に共通する3つのポイントをご紹介します。
これらは、これまで紹介してきた副業に共通することであり、副業の幅を広げたいと考えている方にとっても必ず確認してほしいポイントとなっています。
- 利害関係がないか
- 本業に支障が出ないか
- 社会的信用は担保されているか
利害関係がないか
副業可能な活動であっても、本職との利害関係があればできません。
もし利害関係があれば、摘発されそうになった際に、なんらかの忖度をしてしまう可能性があるからです。
治安を守る警察官として、信頼を失墜させる原因になるようなことは必ず避けましょう。
本業に支障が出ないか
警察官が副業を行う際には、本職に支障のない範囲にとどめておくことが大切であり、本職の勤務時間内に影響が出るのは当然NGです。
そのため、平日の業務時間外や休日でできる副業かどうか、確認する必要があります。
副業で疲れてしまい、本職で動けなくならないよう、体力的に無理のない範囲で働きましょう。
社会的信用は担保されているか
公務員は公共の利益のために働いているので、企業などよりも公的な信用を保つ必要があります。
特に、不正や治安を取り締まる側の警察官が不祥事を起こすと、警察組織全体の信頼性が大きく下がってしまいます。
警察官は、国民の模範となる存在であり、当然ながら不祥事を起こすことは、あってはならないのです。
こうした理由から、副業への制限も厳しく設定されているということを理解し、副業を選びましょう。
まとめ
警察官は、原則として副業を禁止されていますが、ある一定の条件を満たせば副業をすることが可能です。
しかし、些細なことでもルール違反をしてしまえば、職業柄厳しく責任を追及されます。
まずはしっかりとルールを確認し、万が一にも公務員法に抵触しないよう注意してください。
副業を行うことは、将来を見据えた資産構築はもちろん、自身のスキルアップにもつながり、結果的には本職にもプラスの影響が波及していくはずです。
ぜひ、今回の記事を参考にしてみてくださいね。
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