世界的に株価が乱高下したり、為替のドル円が、コロナショック初期の水準でもある112円をとったりと、リスク資産の変動が大きくなってきています。
筆者は立場上、いつなにを買ったら良い、売ったら良い、という銘柄推奨と投資タイミングに関するアドバイスはできませんが、マーケットが動いてくると電話がかかってくる回数が増えてきます。
そこで考えるきっかけにしていただこうと、たまに重要な局面では、なにかのチャートなどをただアップするという方法で、いま注目していただきたいもののヒントにしていただいております。
さて、つみたてNISA利用者や個人型確定拠出年金iDeCoの加入者で、毎月の積立額を上限くらいまでやっているかたは、基本的には毎月一定額を買うことが習慣化しているかと思います。
そこで積立てているお金とは別に、買増ししたい場合はどうしたら良いのでしょうか?
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優遇制度にとらわれすぎないように
前回ご紹介したように、余裕資金で投資するのであれば、課税口座である特定口座などを活用していただいてもまったく問題ありません。
筆者としては不思議な感覚なのですが、iDeCoやつみたてNISAを、毎月満額で積立てしているようなかたで意外と少なくないのが、利用している制度以外での買増し、積立てという話になると、とたんに興味をなくしてしまう、考えられなくなるかたがいるのです。
優遇制度マジックとでもいえるような現象かと思いますが、そもそも積立投資を始めるきっかけが、「税制などで優遇されている制度だからやってみようと思った」というパターンのかたに多いような気がします。
積立投資や、投資そのものに有効性を感じて始めたというよりは、有利な制度だからという動機で始めたかたの中に、このように本末転倒になってしまっていて、思考停止してしまう傾向にあるように思えます。
ビジネスも投資もタイミングはやっぱり重要
ビジネスパーソンならわかりやすい感覚かと思いますが、ビジネスにおいても資産運用においても、「アクセルの踏み時」というのはやっぱり大切です。
ビジネスであれば100%うまくいくということはありえませんが、当初は実現の可能性が低くても、60~70%くらいの確率で成功できそうになるまで、計画的にアプローチしていき、本格的にリソースを投下できる環境をつくる。
ここが勝負所というタイミングで、アクセルを適切に踏めないと、大きな機会損失や競合他社に追い抜かれるということは少なくないでしょう。
積立投資家であって、通常の積立とは別にスポットで一括投資をする、毎月積立に加えて、いまだけ毎日積立をしてみるということでも、それが投資用の余裕資金の範囲内であれば問題ないです。
そもそも世界中に分散投資して、長期で運用していきましょう、というそのポートフォリオの中には、必ず投資用の現金を含めることが一般的ですから、現金からリスク資産へのリバランス(リスクの再調整)という意味においても、むしろ望ましいケースとなることもあり得ます。
コロナショックのようなことがいつ起こるとも限らないわけですので、やはり定期的なメンテナンスは地味に重要ですし、コロナ禍の「K字回復」のように、思った以上に短期間で急回復することだってあり得ます。
単純に積立てし続ける、保有し続けるというのも、自分が納得していれば良いと思いますが、万が一なにかが起こってしまった場合に、せっかく蓄えてきた資産が、どうしようもない水準まで目減りしてしまうことだってあり得るのです。
リバランスというのは、自分の感情を抜きにして、自分がとれるリスクの範囲内で、客観的に自分の資産を見つめなおすことでもあるのです。
タイミング投資の可否より大切なこと
株価が大きく下がった、大きく円高になった、などの数字の動きだけを見て、追加投資をするのも良いですが、日常生活でなにが起こっているか、いま我々の生きている国や世界でなにが起こっているか、もっと興味をもっていただきたいという想いがあります。
筆者は仕事がら、新聞や書籍、ニュースなどの情報収集が日課になっておりますので、積立投資家の皆さまにも同じことをオススメはしませんが、もう少し経済や政治ニュースにも関心をもっていただくと面白いのではないかと思っております。
活字やちょっととっつきにくい内容であっても、毎日触れていくとだんだん慣れてきます。筆者も苦手な分野のニュースを、あえて無理して読んだりします。
積立投資を通じて、将来のための資産を築いていくことはもちろん大切ですが、それ以上に、もっと経済や金融について興味をもっていただき、ビジネスや日常生活の知恵として活用していただくための、きっかけとしていただきたいと願っています。