今回は、ポートフォリオの安定化と、世界の富裕層が実践している『ランドバンキング』 についてお話ししていきます。
『ランドバンキング』とは、近い将来(3年から8年)の間に値上がりが確実視される土地に、更地の段階で投資をする方法です。
比較的古くからある資産運用手法で、似たようなビジネスとして世界的に財を成した人物では、ロックフェラー、ウォルト・ディズニー、ドナルド・トランプ、ハワード・ヒューズなどがあげられます。
不動産投資で有名なものとして、REIT(リート:不動産投資信託)がありますが、こちらは投資信託の色合いが濃く、金融商品に近いものです。
また、物件を所有し、賃料などから収益を得るインカムゲインもありますが、こちらもランドバンキングとは、全く異なる収益モデルとなります。
なおランドバンキングには大きく分けて、ひとつの土地を複数者で購入するファンドタイプと、すべてを自分の名義で取得する不動産タイプがあります。
目次
ランドバンキングで収益をつくる流れ
それでは、どのようにランドバンキング(ファンドタイプ)で収益を作っていくのか、簡単な流れとポイントなどをお伝えしていきます。
こちらは比較的安価に参加可能なので、ぜひ参考にしてくださいね。
土地取得
まず、ランドバンキングにおける土地取得のポイントを8個、お伝えします。
- 土地が平らであり、すぐに開発が可能であるか?
- ライフラインが整備できているか?
- 今後、人口は増加するのか?
- 幹線道路へのアクセスは便利なのか?
- 具体的な開発プランはあるのか?
- 企業誘致などを積極的に行っているか?
- 学校、病院が近くにあるか?
- 公共、居住地域の開発計画はあるか?
投資組合の組成(シンジケーション)
次にランドバンキングにおけるシンジケーションとは何か、ご説明します。
- 不動産をユニット(不可分持分権)に分割し、投資単位を小口化して魅力的な投資機会が提供される
- 投資家は、このユニットを購入し、共同出資持分権者(エクイティ・パートナー)になる
- この持分権については、公的な証明書が州政府より発行される
開発計画
そして付加価値の創出とは何か、こちらもお伝えしていきます。
- コミュニティ計画を最優先として、環境インフラ整備などの要因を基本に、『開発計画草案』を作成
- 政府、自治体や開発業者と将来の開発について交渉
- 協議、交渉に基づいて『開発計画』を完成
土地売却から完了まで
最後に、投資家の利益を最大限にするためにはどうするべきか、お伝えします。
- 「開発計画」への承認と土地使途の再指定により、対象地を現地の開発業者などに売却する
- 開発業者からの購入申込には、持分全体の51%の賛成により売却する
- 売却されたら、売却代金を保有ユニット数に応じて分配(投資元本+利益が確定)
ランドバンキングの特徴とは?
- 満期までの期間を定められないため、想定期間より長引くことがある
- 中途解約できないことが多く、流動性が低い
- 個別の不動産プロジェクトへの投資形態をとるので、プロジェクトによって利益幅が異なる
【メリット】
- 個別不動産プロジェクトへの投資形態をとるので、株価や為替などの金融市場の動きに左右されることが少ない
- 更地の段階で安価な値段での投資となるため、値下がりを起こす要因が極めて少ない
- 更地のまま開発業者へ受け渡すため、中間的な費用がかからない
以上からランドバンキングは、市場経済や相場の動きと連動していないので、株式、債券、他の金融商品と組み合わせることにより、成績の上下動を抑えることができるようになります。
実際にランドバンキングの商品を組み込んだポートフォリオと、そうでない場合では変動率が大きく異なります。
もちろん前者の方が変動率の幅は少なくなります。
ランドバンキングをあなたのポートフォリオに組み込むことで、より安定した資産運用ができるようになるでしょう。
また今回はファンドタイプのランドバンキングをご紹介しましたが、すべてを自分の名義で取得する不動産タイプの手法については、今度お伝えできる機会があればと考えております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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