公務員はなぜ「安定」といわれるのか?その実態を詳しく解説

公務員 安定

学生のなりたい職業ランキングを見ると、男女問わず常に上位にランクインするほど人気の高い「公務員」。

やはり「公務員安定している」というのが理由のひとつで、コロナウイルスの影響もあり、そうした環境を求める人が以前よりもさらに増えてきているようです。

また、学生自身が安定を求めているほかにも、親世代以上の大人が公務員を強く勧めてくる場合もあるかもしれませんね。

しかしながら、公務員の実態についてをきちんと把握している方はそう多くないとも言われています。

そこで今回は、公務員が「安定」と言われる理由とその実態について記事にしましたので、ぜひご覧ください。

公務員の種類

公務員 種類

まず公務員には具体的に、どのような種類があるのでしょうか。

公務員とは、国や地方の公共団体などの職員として“広く国民に対し平等に働くこと”を活動目標に掲げ、営利を目的とせずに人と社会のために幸せな生活の舞台を作り出し、支える使命を担っています。

そして「全体の奉仕者」としての役割を持つ公務員の中でも、大きく分けて2つの種類があります。

  • 国家公務員
  • 地方公務員

それぞれの仕事内容や立場に大きな違いがありますので、確認していきましょう。

国家機関に所属する国家公務員

国の機関に従事する公務員のことを「国家公務員」といいます。

国家公務員には、国会議員、大臣、裁判官や検察官など特別な試験を受ける公務員のほか、採用試験を受けて働く国家公務員も全国で活躍しています。

国家公務員の主な仕事内容は、以下の通りです。

医療や教育、食の安全、治安維持、防災など暮らしにまつわる分野
裁判・国会の運営、安全保障、国家財政、外交といった政府機関を担う分野

世の中に広く影響を与えるほど、スケールの大きな業務に携わるというのがやりがいのひとつでしょう。

都道府県に所属する地方公務員

地方公共団体という組織に所属し、都道府県や市町村などの地方自治体で働く公務員を「地方公務員」といいます。

地方公務員の仕事内容は、主に以下のとおりです。

治安、消防、清掃、ごみ処理、交通、教育や文化事業、医療など地域を支える分野

このように、目の前の住民に対してダイレクトに貢献できるのが地方公務員の魅力といえますね。

公務員は安定した職業といわれる理由

続いては、公務員が安定した職業として言われ続ける理由を紹介します。

おもに以下の3つの理由があるとされています。

  • 給料が安定している
  • 年功序列制度
  • リストラの可能性が低い

それぞれ確認し、公務員のイメージをより具体化させていきましょう。

給料が安定している

公務員は経済的に安定していることで知られていますが、一般的な企業と比べて給与が高い場合が多いだけでなく、確実にボーナスがもらえるのも特徴です。

これは、公務員が「国家公務員法」や「地方公務員法」という法律で身分を保証される立場であることに由来しています。

また国や地域のために働くので、経済的な不況や業績、個人の能力に対しての評価リスクが少なく、一般企業ほど収入にあまり変動を与えません。

さらに、一般企業ではなかなか浸透していない育児休暇や産休、有給休暇制度などの手当も充実しており、待遇が良いのも公務員が安定とされる要素のひとつといえるでしょう。

年功序列制度

公務員の給与形態は「年功序列制度」です。

年功序列制度というのは、年齢や勤続年数に応じて、役職や給与が上がっていく仕組みのことをいいます。

先ほど「公務員は給与が高く必ずボーナスがもらえる」と紹介しましたが、実はこの年功序列制度により、公務員は初任給が比較的低く、年齢が上がるごとに昇給していく特徴があります。

だからといって入社当初は生活が苦しいというわけではなく、福利厚生を含めた手厚い待遇と合わせて初任給を迎えます。

入職から数年は給与の手取りは少ないと感じるかもしれませんが、整った環境で職務に向かいながら確実に給与が高くなることを考えると、安心して働けますよね。

対して一般企業は「成果型賃金制度」という、企業業績への貢献度に応じて賃金を決定する場合があります。

特に、ベンチャー企業といわれる新規事業に取り組む企業は、成果型賃金制度を採用している印象がありますよね。

年齢や勤続年数にかかわらず個人の実力や成果によって評価されるので、実力が認められれば勤務初年度から高い給与を手にすることも可能ですが、評価されなければいくら在籍年数だけが長くても給与が上がることはほとんどありません。

以上を踏まえると、勤続年数が最大の評価になる年功序列制度を採用している公務員は、一般企業の給与形態と比べて安定していると感じる人も多くいるでしょう。

リストラの可能性が低い

公務員は、基本的にリストラをされることがないとされてきました。

もちろんまったくリストラがないわけではありませんが、業績や不況に左右される一般企業と比較をすれば、その可能性は圧倒的に低リスク。

それでもリストラを受けるのは、犯罪をして刑罰を受けた場合や、情報漏えいや資金流用といった規律違反をした場合など、それ相応の理由があるからです。

きちんと業務を行っていれば、リストラを受けることはほとんどないでしょう。

先述したように、一般企業は会社の規模にかかわらず、業績によって倒産のリスクが常に存在しています。

10年で9割の会社が倒産するといわれる時代ですので、たとえ大手企業であっても、いつ働いている企業がなくなり、リストラを受けてもおかしくありません。

公務員はこうした業績問題に対して影響が少ないため、安定しているといわれるのです。

公務員の「安定」に対する誤解

ここまで公務員が安定といわれる理由について解説してきましたが、今回紹介した3つの中にも、実際は誤解している点や昔とは状況が違う点も多く存在します。

近年はより安定とはいえない傾向が強まってきているようで、公務員の「安定神話」が崩壊しつつあるとさえいわれているのです。

そこでここからは、公務員の安定説に対して、多くの人が持ってしまっている誤解を紐解いていきましょう。

実際の業務に対する給料ではない

年功序列制度を採用している公務員は、勤続年数を何よりも重視し、評価の対象としています。

しかし、いくら給与形態が安定しているとはいえ、精神的・体力的にきつい仕事内容でも給与がなかなか上がらず、不満を抱えながら働いている方も少なくありません。

また、忙しさやその人の仕事の向き合い方に差があっても、勤続年数が同じであれば基本的に給与も同じですので、こうした面から公務員の待遇を疑問視する声も上がっています。

リストラをする自治体の例も

公務員はリストラの可能性が低く安定していると先述しましたが、ここ数年の間に大規模なリストラを実施した自治体があることをご存知ですか?

例えば、2007年には35億円もの赤字を抱え事実上破綻した北海道夕張市が、260人いた市職員を100人まで減らし、残った100人の社員の給与も40%カットしました。

給与の大幅なカットにより、自主退職をした職員も多くいたそうです。

こうした財政問題は、夕張市に限った話ではなく、どこの自治体でも起こる可能性があります。

また2015年にも、大阪で職員のリストラを実行し大きな話題になったこともあり、「公務員で一度採用されたら一生安定」といわれる時代は終わりつつあることがわかります。

転職での選択肢が狭い

一般的に、公務員から企業への転職は難しいとされています。

なぜなら、公務員は数年で部署を移動するので専門性やスキルが身につきにくく、一般企業でずっと働いてきた人と比べると、どうしてもスキル不足と思われてしまうからです。

また、国民に奉仕する公務員とは違い、企業は利益を追求するので、この姿勢の違いについていけるか不安視されることも。

公務員がアピールできるスキルや経験はもちろんたくさんあるはずですが、一般企業で働いてきた人と比べると、市場価値が低いと見られてしまいがちのようです。

公務員の将来性

公務員 将来性

公務員が安定とはいえない理由について紹介しましたが、これからさらに、その傾向がより強まる可能性があることをご存知ですか?

ここからは「公務員の安定神話が崩壊する」とまでいわれる理由について、詳しく解説していきます。

AI(人工知能)の登場

もはや私たちの生活に欠かせないものとなった「AI(人工知能)」。

日々の生活をより豊かに便利に変えてくれますが、実はこのAIが発達することで予測される事態のひとつに、仕事の消滅が挙げられています。

例えば、ほとんどのコンビニやスーパーでスタッフなしのセルフレジが設置されたことで、いずれはレジ係は必要なくなるでしょう。

このように、人の代わりにAIが仕事を担う時代がすでに到来している中で、安定と言われ続けた公務員の仕事も今後なくなる可能性が高いといわれています。

例えば、比較的ルーティンとされる窓口業務や書類作成、確認業務などがAI化されることは容易に想像できますよね。

また、現在は給食調理員が行っている学校の給食も大部分をAIに代替できるでしょうし、ゴミ収集なども自動運転やロボットを活用して行うことも不可能ではありません。

「公務員になれば一生安定」と思い込んでいる方は、こうした事実に目を向けておくことが必要でしょう。

公務員を目指す理由が大事

人それぞれ仕事に対して考え方が違う中でも、その職業を選ぶ理由が必ずあるはずですよね。

その選択を決定する際には、仕事の「目的・使命」を参考のひとつにするとよいでしょう。

一般企業と公務員では、仕事の目的が最大の違いといっても過言ではありません。

一般企業は、会社の利益を追求することや会社の発展が最も重要視されるので、「会社の利益への貢献」が求められます。

一方、公務員は社会貢献性が強く、”広く国民のため”の奉仕が目的ですので、利益のためではなく「日本国民への貢献する意志」が大切です。

これまで解説してきた情報を理解した上で、「自分は何のために働くのか」「なぜ公務員を目指したいのか」が最も重要であることを忘れないようにしましょう。

まとめ

公務員が「安定」に対する誤解やその実態について解説してきましたが、人によって目指す職業が違うように、安定に対する考え方も十人十色、正解はありません。

まずは自分にとっての「安定の意味」を改めて問い直すことが必要かもしれませんね。

そして、仕事に何を求めているのかを確立したら、どんな職業であっても自分の夢や理想に向かって進んでいけるはずです。

AIが多くの仕事を担うこれからの時代でも、代替できない仕事の価値は必ず存在します。

今回紹介した記事を参考に、公務員を目指す方は公務員しかできない仕事の価値を追求してください!

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