「投資を身近に!」をモットーに、分かりやすくイメージしながらお伝えしています。
前回、実際に掛かる教育費は選択する進学先により大きくかわり、すべて公立でも最低1,000万円、すべて公立と私立を選択するのとでは、トータルで1,000万円ほどの違いがあることをみてきました。
今回から、この教育費の準備方法を【学資保険・投資・預金】と比較検討します。
目次
学資保険で準備
よくある学資保険では、たとえば毎月の保険料(積立額)が13,000円、払込期間は子どもが0歳から18歳になるまでの18年間でトータル280万円が元本です。それに対し、受け取れる学資金は300万円。よって返戻率は107%という商品があります。
この場合の注意点は3つあります。
- 返戻率(ヘンレイリツ)
- 学資金を受け取る期間
- 本来の学資保険の意義
1.返戻率とは
返戻率というのは、受け取れる学資金の総額÷元本ことです。つまり元本から何倍増えているかが分かります。このケースだと107%ですから「元本の1.07倍になりますよ」ということです。
しかしこの返戻率、保険の商品でしか見ることはありません。元本の2倍などであればインパクトがありますが、数倍程度だとピンと来ないのではないでしょうか。
むしろ私たちが目安にしているのは利回りで、たとえば昔の銀行の定期預金の利回りは6%あった等、利回りで示された方が分かりやすいと思います。しかし一般的に保険商品にはその説明はありません。
ざっと計算すると、この場合の利回りは0.8%。
返戻率≠利回りです。勘違いしないように気を付けましょう。
2.学資金を受け取る期間
商品にもよりますが、このケースの場合の学資金の300万円は18歳になって一気に受け取れるのではなく、大学に入学してからの4年間で分割して受け取ります。たとえば入学時に100万円、1年から4年までの4回で50万円ずつ、トータル300万円となります。
このケースの分割方法はまだ良い方で、商品によっては、4年生のときに200万円が支払われるものもあります。いよいよ子どもが卒業して、就職という時に、やっと大きなお金が入るプランです。
本当に必要なのは入学時であるはずです。このように本来の目的とは違う受取り時期になっているプランもあるので、加入時によく確認しておきましょう。
3.本来の学資保険の意義
「教育費を備える=学資保険」と思う人は多くいると思います。昔の学資保険は利回りが良かったので、なおさらです。現在は、上記のように「利回り」や「受取時期」をしっかり確認していく必要があります。
しかし学資保険で準備するのはあながち間違いではありません。そもそも学資保険の本来の意義は、積み立てを行ってくれる人(親等)が死亡しても積み立てたことにしてあげますよ、という「死亡保険」だからです。
たとえば契約者がお父さん、被保険者が子どもの場合、お父さんが亡くなると、毎月の13,000円は支払いはストップし、子どもが18歳を迎えたころから、予定された学資金が入ってきます。
とはいえ、既に教育費もまかなえるほどの死亡保険金を準備している場合、学資保険で積み立てる意味は、ほぼないとも言えます。
またここで死亡保障を考えるなら、「終身保険」で加入したらどうか?という保険屋さんからの提案もあったりしますが、これはまた別の機会にお話ししましょう。先にひとことだけお伝えしておくと「オススメしません」。
次回、【後編②】で投資商品で運用した場合を見ていきます。