ここ数年、ビットコインのような仮想通貨が注目されており、投資の対象になったりもしていますが、いまひとつ仮想通貨が何なのか?ということについて理解されていない人も多いように感じます。
今回の記事ではこの仮想通貨について出来るだけわかりやすく説明していきましょう。
目次
仮想通貨とは
仮想通貨とは今まで私たちが手にしている貨幣のような、目に見えて手に触れられるものではなく、電子データのみでやり取りされる通貨になります。
仮想通貨は暗号資産とも言われ、法定通貨の様に国家による強制通用力も持っていません。
通常の通貨は発行している国家がその通貨を担保している(日本円なら日本国が発行しているという事で信用があり、世界中の人が一万円を一万円という価値で使う)のですが、仮想通貨には国家という後ろ盾がないものになります。
仮想通貨とは何かを理解できた次は、仮想通貨の仕組みを説明します。
仮想通貨の仕組み
仮想通貨は通常の法定通貨とは仕組みが根本的に異なり、通貨を管理する為の国家や中央銀行のような後ろ盾、組織が存在していません。
上記に述べたように、通貨の価値を担保、保証するものが無いのです。
ではどのように仮想通貨の価値を担保するのか?
主には仮想通貨を扱う者同士によるピア・トゥー・ピア(P2P:Peer to Peer)と呼ばれる方式が採用されています。
これはユーザー同士で取引の情報が管理されており、お互いの監視で不正を無くし、価値を認め、担保しましょうという考えから成り立っています。
発行数には上限を設け、流通量に対する需要と供給により価格が変動する性質を持っています。
次に仮想通貨の特徴を見ていきましょう。
仮想通貨の特徴
皆さんがよく耳にする仮想通貨は『ビットコイン』だと思いますので、ビットコインを事例に詳しく見ていきます。
特徴1:決済手段として認められた
ビットコイン(BTC)は決済手段として認められました。
日本では2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正、施行され、暗号資産(仮想通貨)は法定通貨ではなく、決済手段の一つと定義されることになりました。
また、代金の支払い等のために不特定の者に対して使用でき、かつ、不特定の者を相手方として購入・売却できる財産的価値で、電子的に記録され、インターネット等を使って移転することができます。
特徴2:他の暗号資産と交換することができる財産的価値がある
不特定の者を相手方として他の暗号資産(仮想通貨)と交換することができる財産的価値で、電子的に記録され、インターネット等を使って移転することができます。
(法定通貨や、プリペイドカードなど法定通貨建ての資産ではありません。)
これにより、ビットコイン(BTC)も、円やドルなどの法定通貨と同じように決済手段の一つになり、商品・サービスの支払いや、個人・企業間の送金などに利用できるようになったのです。
また、ビットコイン(BTC)はさまざまな国の法定通貨と交換できることから、国や地域をまたいで世界中で使われ始めています。
ここまで読まれた方は、本当に電子データだけで本当にお金と同じような使い方ができるのか?セキュリティーなど大丈夫なのか?と疑問が頭によぎったことでしょう。
次はこの仮想通貨を支える『ブロックチェーン技術』について説明します。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンはビットコインをはじめとした仮想通貨の基幹技術の事を指します。
この技術はビットコインの取引履歴を記録する際に特徴を発揮し、分散型台帳を実現するための重要な役割を担っています。
分散型台帳とは
ビットコインは、「いつ、誰と誰が、どのくらいのビットコインを取引したのか」という詳細なデータを暗号化し、「ブロック」に記録する作業を繰り返しています。
このとき、取引データが記録されるブロックは約10分に一つ生成され、関連する取引データによって鎖(チェーン)のようにつながっていきます。
その様子から「ブロックチェーン」と呼ばれているのです。
そしてブロックチェーンはシステムが強固で安全性が極めて高いことが特徴です。
なぜシステムの安全性が高いと言えるのか?
ブロックチェーンでは、取引データがネットワークに接続されている大量のコンピュータに保管されているという仕組みになっています。
もしもデータの改ざんを行おうとした場合、すべてのコンピュータに保管されているデータを改ざんしなければならないのです。
このような作業は非常に困難で経済的にも合理的ではなく(改ざんする手間が膨大なので得られる利益が割に合わない)、その結果としてシステムの安全性が保たれているという事になります。
そして、取引の際は取引記録データがネットワーク上に公開されており、参加者全員が取引の正当性を検証しているのです。
そのため、二重払いなどの不正も排除され、取引の安全性が保たれています。
もしもサイバー攻撃を受けて取引データが破壊された場合もきちんとバックアップされている状態になっています。
理由は一部のコンピュータが破壊されても、他のコンピュータからデータの復旧が可能だからです。
理論的にはすべてのコンピュータを同時に破壊すればシステムを破壊することができますが、実現するのは極めて困難でしょう。
仮想通貨は国家という権威ではなく、予め決められたプログラムに沿って取引を行う世界中のユーザーからの信頼によって、価値が保たれているというお金に対する価値の認識が今までとは大きく違う点であると言えるでしょう。
ビットコインが法定通貨と違う2つの点
ビットコインが法定通貨と違う点は、下記の通りです。
ポイント1:発行枚数に上限がある
私達の身の回りに存在する法定通貨では、政府や中央銀行の経済政策によって通貨の流通量を増減させることが可能となっています。
ですから政府などはそれにより景気動向を誘導していくことができます。
しかしその一方で、必要以上の通貨を流通させてしまうというようなミスを犯すと、通貨の価値が下がりインフレを引き起こしてしまうというような問題もはらんでいます。
ビットコインの場合、管理する政府や中央組織がないため、漫然と発行していては、やがて市場にビットコインが余り出し、通貨としての価値を下げる要因になります。
その為ビットコインはあらかじめ発行枚数の上限が決められており、通貨として担保してくれる後ろ盾がない分、発行上限が予め決めて、価値の暴落を下げているのです。
そのような性質のためビットコインの将来的な値上がりの予測や、それによる投機的な傾向に繋がっているとも言えるのです。
あと、法定通貨とビットコインの大きな違いはスピーディーに送金できるという点でしょう。法定通貨では送金ひとつでも手間が随分とかかります。
銀行窓口やATMでの作業を考えてくれただけでも理解できるともいますが、さらに海外への送金とかの場合、それは非常にめんどうくさいものになります。
ポイント2:世界中にリアルタイムで送金できる
ビットコインの場合、世界中にリアルタイムで送金できます。
インターネット環境さえあれば、ビットコインは24時間365日、世界どこでも相手に送金することが可能なのです。
また、従来の銀行での海外送金と比べて、取引にかかる時間が圧倒的に早いのです。通常海外送金は数日かかるのですが、ほんの數十分のうちに完了します。
これほどまでにスピーディーな海外送金が可能なのは、ビットコインをはじめとする仮想通貨が上述したようにブロックチェーンという特殊な技術を利用している点に理由があるからです。
仮想通貨の仕組み:まとめ
今回はビットコインを事例に上げましたが、仮想通貨で使われている技術はこれまでになかった新しいもので、その仕組みはとても複雑です。
そして、今まで私たちが考えていたお金の理念とは違う性質のお金とも言えます。
すべてを理解するには時間が必要かもしれませんが、仮想通貨のような新しい仕組み、理念のお金はこれからも出てくることが考えられますし、投資の対象としてビットコインを検討する事も出来ますので、この機会に少しでも理解を深めておいていただければと思います。