問い合わせの多い「転職時」のiDeCoや企業型DCについて、お伝えします。
「今までiDeCoをしていたけれど、転職先に確定拠出年金(企業型DC)があった」、反対に「今まで企業型DCをやっていたけれど、転職先に企業型DCが無かった」とさまざまです。
今回は、前者のケース「今までiDeCoをしていたけれど、転職先に確定拠出年金(企業型DC)があった」とき、iDeCoをどうしたらよいのか、また注意点について解説します。
目次
iDeCoの扱いは3通り
転職した企業に企業型DC(以後DC)があったとき、今までのiDeCoは次の3通りの扱いが考えられます。
- iDeCoを運用指図し、DCをはじめる
- iDeCoを移換し、DCをはじめる
- iDeCoを今まで通り継続する
上記どのケースになるかは、転職先の企業の規約によっても変わるため注意が必要です。
転職先の企業の規約は、次のケースが考えられます。
A. DCもiDeCoもできる(iDeCo併用可)
B. DCはできるがiDeCoはできない(iDeCo併用不可)
C. DCかiDeCoか選択できる(選択制)
それぞれ事例を挙げて説明します。
1.iDeCoを運用指図し、DCをはじめる
転職先の企業の規約は、A、B、Cすべてのケースが考えられます。
いずれも転職後の積立はDCで行い、今までのiDeCo口座はそのまま残し、積立はストップ。運用指図だけ行います。
2.iDeCoを移換し、DCをはじめる
こちらも、転職先の企業の規約は、1と同様にA、B、Cすべてのケースが考えられます。
転職先の企業に「個人別管理資産移換依頼書」を提出することで、「自分の資産を移し換えますよ」という意思表明となり、企業型DCに移換することができます。移換後、DCの口座で運用しはじめます。
ただし「移換」は次の点に注意ください。「移換」とは、今までiDeCoで運用していた分を一度『精算』し、現金化して移し換えるということです。
iDeCoで運用していた「〇〇インデックスファンド」と同じ商品が企業型DCにあるから「そのまま積み増しできる」ということではありません。勘違いしがちな点ですので、ご留意ください。
つまり移換する時に、運用の状況が上り調子で良い場合でも運用がストップすることになります。反対に下り坂で、元本割れしていないときであれば良いですが、万一元本割れを起こしているときに、強制的に現金化することになるため、その時点だけで見ると、少し損した気持ちになります。
とはいえ長い目でみれば、企業型DCで運用し始め、割った元本分を上回れば結果オーライとも成り得ます。この先、長く積立し、運用できるかどうかを中心に考えてみるとよいでしょう。
3.iDeCoを今まで通り継続する
この場合の転職先の企業の規約は【C.DCかiDeCoか選択できる(選択制)】が当てはまります。このときには、DCは行わず「前払退職金」として受け取り、iDeCoを継続します。
あるいは、そもそも転職先にDCがない場合、iDeCoを継続していきます。
以上、「転職先の会社にDCがあり、今まで行っていたiDeCoの扱い」について解説いたしました。
どのケースが自分に合っているのか、会社の規約を確認してから、選択してみてくださいね。