マーケットに泳ぐ巨大なクジラを知る

老後の生活などを支える大切な公的年金制度。
この制度の原資はどのように運用されているかご存知でしょうか?

GPIFという機関が2001年から市場にて運用をしていますが、とてつもない大きな資金規模です。

私たち国民、および個人投資家にとっても大いに関係のあることですので今回はGPIFについて概要をまとめてみます。

GPIFとは?

年金制度では、現役世代が収めた年金保険料のうち、支払いなどに充てられなかったお金が将来世代のために積立られています。

日本は少子化・高齢化が進んでいるため、保険料を払ってくれる現役世代がどんどん減ってきているため、将来の保険料収入も減っていくのが濃厚です。そのため、運用で効率よく増やしていくことが重要な課題となっています。

ここで出てくるのが厚生労働省所管の
GPIF
(Government Pension Investment Fund:年金積立金管理運用独立行政法人) です。

国内最大規模の機関投資家であり、世界最大の年金基金でもあるGPIFが積立金を運用して増やし、財源を確保していく役割を担っています。

そんなGPIFは、とてつもない巨額の資産規模で株式などを売買しますから、市場価格へ大きな影響を与えることから市場の「クジラ」と呼ばれる存在なのです。

GPIFの資産

GPIFの資産総額は、177兆7030億円(2020年の12月末時点)と巨額の資産規模です。

GPIFの基本ポートフォリオ

  • 国内株式 25%
  • 外国株式 25%
  • 国内債券 25%
  • 外国債券 25%

という具合にほぼ4分散されており、定期的に基本ポートフォリオの方針を編成しています。

2014年頃までは株式に国内外合わせて25%ほどしか配分していませんでしたので、ここ数年は株式の比重を増やし積極的に運用している姿勢が感じられます。

GPIFの直近5年の収益率

  • 2016年度 +5.86%
  • 2017年度 +6.90%
  • 2018年度 +1.52%
  • 2019年度 -5.20%
  • 2020年度 +6.29%(~2020年度第3四半期)

GPIFの累積収益率

累積の収益率

+3.37%
(2001年度~2020年度第3四半期)

GPIFの累積収益額

85兆3011億円
(2001年度~2020年度第3四半期)

昨年からの金融緩和や財政出動に支えられた「金融相場」と呼ばれる株高の恩恵をしっかり受けています。
今後、株高が落ち着いてきた後、どのように収益を安定させていくのかも見ものですね。

GPIFの市場への影響

個人投資家からすると、巨額の株式を保有する基金ですがら、取り崩す際には株価を押し下げる要因になるのではないかと懸念が当然でてきます。

GPIFとしては、「概ね50年は取り崩す必要のないような長期的資金」であるとし、取り崩す場合であっても一度に取り崩すのではなく数十年かけて少しづつ取り崩していくなど「市場にできる限り影響を与えないよう十分に留意する」としています。

まとめ

個別株式投資や、投資信託にて資産運用をする場合、「クジラ」の存在は理解しておくとよいでしょう。

GPIFは公的資金なので運用成績が悪いときほどニュースで報じられる印象があります。しかし、グローバルでリスクをある程度とっていく姿勢に変更したりと、ここ数年の成績は評価をできるものと感じます。

GPIFの指針は国内の他の企業年金などのガイドラインにもなるといわれており、私たち個人投資家にも一つの参考になるものといえるのではないでしょうか。