日本の少子高齢化は確実に進行しており、定年退職後にどれだけ年金がもらえるのか、不安に感じている方も多いでしょう。
そんな状況だからこそ、老後に必要なお金を自分で積み立てる『iDeCo(個人型確定拠出年金)』が人気を集めています。
iDeCoは老後の資産を構築できるだけでなく節税効果もあり、非常に優れた資産運用ですが、実は一つだけデメリットがあるんです…!
それが『特別法人税』の存在。
ただ、いきなりそんなことを言われても、iDeCoと特別法人税にどんな関係があるのか、ピンとこない方も多いと思います。
そこで今回は、iDeCoと特別法人税の関係や、なぜ特別法人税の存在がiDeCoのデメリットになるのかを詳しく解説していきます!
目次
そもそも特別法人税とは何か?
それではまず、特別法人税とは何かを説明していきますね。
特別法人税とは、企業年金の運用残高に対して発生する税金のことで、その税率は年率1.173%と決まっています。
ここで注目していただきたいのは” 企業年金 “。
本来、この企業年金の中には、厚生年金基金や確定拠出年金などが含まれているものの、iDeCoにあたる「個人型確定拠出年金」は入っていません。それにもかかわらず、ルール上はiDeCoも特別法人税の対象だと判断されるのが一般的なんです。
つまり、iDeCoをやっているのであれば、この特別法人税を必ず支払わないといけないわけですね。
ただ実際のところ、特別法人税は1999年に凍結され、その後も3年ごとに凍結期間は延長され続けています。
そして現在は、凍結期間が2023年3月31日まで延長されているので、いまiDeCoをやっている人は誰も特別法人税を支払っていません。
特別法人税がiDeCoに与える影響
ただ、今は凍結されているとはいえ、仮に特別法人税が復活したら、iDeCoにも大きな影響が出ます。
例えば、iDeCoの運用額(積立額と運用益の合計)が500万円のケースを考えてみましょう。
500万円の資産残高に対して、年間1.173%の特別法人税が発生するので、金額にすると58,650円になりますね。
ここが特別法人税のやっかいなところで、運用利益に対してのみ課税するのではなく、運用残高に対して課税されてしまう点がネックとなります。
つまり、積み立てを続けて運用残高が増えれば増えるほど、毎年の税金も比例して高くなっていくわけですね。
また、iDeCoは一度運用を始めると、原則60歳までは引き出すことができません。
そのため、仮に途中で積み立てをやめてもお金を引き出せず、iDeCo専用口座に残っている運用残高に対する特別法人税を毎年支払うことになるんです…!
ただし、そもそも特別法人税を凍結させた理由が「景気低迷や低金利による運用難に配慮するため」なので、定期預金の金利上昇が見込めない今の日本で、特別法人税の復活リスクは低いと言われています。
また、「老後に必要な資金は自助努力で何とかしてください」というメッセージを金融庁が発信し、そのために国もiDeCoなどの資産運用を行うことを国民に促している現状も加味すると、特別法人税の復活は現実味が薄いと言えるでしょう。
特別法人税の存在を加味してもiDeCoはやるべき
上記の理由から、特別法人税復活の可能性はかなり低いので、下手に復活リスクを恐れてiDeCoをやらないのはもったいないです!
実際に特別法人税が復活すれば、iDeCoを含む企業年金に加入している多くの方々から、批判が噴出するのは明らかですよね。
その意味でも特別法人税の復活は、法律の制定や改定を行う政治家にとっても、非常に大きなデメリットだと考えられます。
また直近では、富裕層への課税を強化する動きが目立つので、企業年金加入者(一般の自営業者やサラリーマン)からさらに追加で税金を取る可能性は低いと言えるでしょう。
そのため結論としては、特別法人税の存在を加味しても、節税効果や老後の資産構築を行えるiDeCoは十分におすすめできる資産運用ということになります。